中小企業診断士の過去問 平成29年度(2017年) 企業経営理論 問28
この過去問の解説 (2件)
正解は2です。
マーケティングにおける価格に関する問題です。
各選択肢については、以下の通りです。
1→「品質のバロメーター」とは消費者が価格が高いと品質が良いと考える事です。「プレステージ」とは製品の評価の高さの事です。「威光価格」とは高い社会評価を反映させた価格の事です。これらは評価の高さが価格の高さになることが一般的なので、価格感度は低くなります。
2→コモディティ(均一)化の製品がブランドイメージを向上できると、需要曲線は上方に移動します(同じ値段であれば欲しい人が増える)。よって品薄となることでプレミアがつく数量プレミアムと、他社と内容が同じであっても他社より高い値段で売れる価格プレミアムができます。
3→高い市場占有率をもつ企業と、上位企業が相談すると競争の公平性が奪われてしまいます。
4→マーケティングコンセプトでは、顧客志向以外に製品志向や社会志向などがあり、顧客志向が最優先課題と言うわけではありません。また新製品の市場導入期は低価格(ペネトレーションプライス)や高価格(スキミングプライス)等の戦略がいくつかあり、利益指向を追及しない場合もあります。
【基礎知識】
正解は「コモディティ化に陥っていた製品のブランドイメージをマーケティング努力によって向上させることに成功すると、その製品の需要曲線は上方に移動し、数量プレミアム、価格プレミアム、またはその両方が発生する機会が生じる。」です。
価格戦略とブランド戦略の知識が必要になる問題です。
まず価格を設定するためには以下を検討することが必要です。
① 顧客はだれか
② コストはいくらかかっているか
③ 競合商品の価格と比較してどうか
上記3点を踏まえ、代表的な価格戦略は以下の3つがあります。
・スキミングプライス
スキミングとは“すくう”という意味です。利益をすくう価格設定ということになります。当初から高価格を設定し、高収益を上げて回収していきます。市場導入期やブランド構築できている場合に可能です。
・ペネトレーションプライス
ペネトレーションとは“浸透”という意味です。比較的低価格で参入し、シェアを拡大して限界費用を引き下げていきます。規模の経済が働く場合や需要の価格弾力性が高い(金額が変わった時の需要の変動量が大きい)場合に有効です。
・コストプラス
コストを踏まえて利益を上乗せして価格を決定します。一番オーソドックスな決定方法です。
これらをミックスして価格設定していきます。ブランドを高めると、競合商品と差別化が図れ、スキミングプライスが可能になったり、規模の経済や範囲の経済が利くような場合、ペネトレーションプライスで浸透させていく必要があります。
誤り。
威光価格はブランド等で商品に権威付けをすることで、価格に関わらず需要を獲得できるようにしていきます。つまり消費者の価格感度は下がります。
正しい。
ブランド化を進めると差別化を図ることができ、数量プレミアム(他の製品よりも売れやすくなる)、価格プレミアム(価格が高くても選ばれる)が発生します。
誤り。
カルテルで独占禁止法違反の内容ですね。公平性は高まりません。
誤り。
ペネトレーションプライス、スキミングプライスなど戦略はいろいろあります。
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