中小企業診断士の過去問
平成29年度(2017年)
企業経営理論 問34

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問題

中小企業診断士試験 第1次試験 企業経営理論 平成29年度(2017年) 問34 (訂正依頼・報告はこちら)

次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。

長年にわたり、羽毛布団の製造小売を行ってきたY社は、近年、拡大を続ける全国チェーンのインテリア専門店に羽毛布団の顧客を奪われてしまったため、新社長のP氏は羽毛を原材料とした新製品の開発を通じて、新たな顧客を創造するという構想を練り始めている。所有する生産設備もうまく活用する形での新製品開発に向け、P氏は中小企業診断士であるQ氏から基本的な製品開発のプロセスについてアドバイスを受けている。
その結果、いくつかのコンセプト案がリストアップされた。ここから一年間を費やしてそれらからいくつかの製品を市場投入段階まで到達させることを念頭に置いて、P氏はそのための準備に取り組んでいる。P氏は、まず市場動向を把握し、競合となりうる製品・企業を特定するための作業に着手している。

文中の下線部に関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • 新製品のコンセプト開発においては、既存顧客や顕在顧客に対象を絞り、その中での市場セグメンテーションを行うことが重要である。
  • 新製品のコンセプト策定に当たっては、組織内部の部門間での伝わりやすさを第一とし、顧客を含む、企業の外部に対する分かりやすさは事後的に検討される。
  • 製品コンセプトとは、ある製品が顧客に提供しうる価値を端的に示すものである。それによって、買い手が製品やサービスを購買したいと思うようになる。
  • 製品コンセプトの開発に先駆けて探索的調査が実施されることが多いが、観察法はその段階で有用でないとされている。

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この過去問の解説 (2件)

01

正解は3です。

製品コンセプトに関する問題です。

各選択肢については、以下の通りです。

1→新製品の開発は既存顧客や顕在顧客に対象を絞ることもありますが、むしろ新規の顧客にむけて行われることが多いです。

2→新製品のコンセプトは伝わりやすいに越したことはないですが、必ずしも第一にしなければならないものではありません。また購入する顧客に対する分かりやすさは必要であり、少なくとも事後的に検討されるものではありません。

3→適切です。製品コンセプトは顧客に価値を端的に示すものであり、買手が購買したいと思うようになります。

4→探索的調査とは、問題が不明瞭な時に問題を探すための調査です。また観察法は質問をすることが不明瞭な時に観察によって問題を探すものです。製品コンセプトの開発に当たっては問題が不明瞭な場合も多いので、このような場合は観察法が有用です。

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02

【基礎知識】

正解は「製品コンセプトとは、ある製品が顧客に提供しうる価値を端的に示すものである。それによって、買い手が製品やサービスを購買したいと思うようになる。」です。

製品開発のステップは以下のようになります。

① 市場機会の探求

ここでは市場に入っていけるのか、成長の余地はあるのかといったことを探求します。

特に競合相手のいない市場をブルーオーシャンといい、逆に競合の激しい市場をレッドオーシャンといいます。極力競合のいない、ブルーオーシャンを探すことになります。

ニーズやシーズを調査する場合には、方向性が見えない、仮説が立てれない場合などにする調査を探索的調査といい、開発の初期段階に行われます。その手法には、インタビュー、アンケート、行動調査(観察法)などがあります。

② 製品コンセプトの開発

コンセプト、アイデアでは、自社の強みから開発するシーズ型、お客様ニーズから製品を考えるニーズ型があります。どちらもうまく使い、戦略を構築していく必要があります。そして「誰にどのようなベネフィットをあたえるか」を設定することが製品コンセプトとなります。

③ 戦略の作成・検討(マーケティング戦略等)

価格や流通、プロモーション、製品のマーケティング戦略等を検討します。

④ 試作品開発・テスト

製品のモニター、テストです。

⑤ 新製品の投入

製品コンセプトとは、「誰に」、「何を」、「どのように売るか」を考えることで、消費者からすると、その商品を買う意味になります。よって、製品コンセプトは外部の顧客に伝える必要があるため、わかりやすさが重要になります。

選択肢1. 新製品のコンセプト開発においては、既存顧客や顕在顧客に対象を絞り、その中での市場セグメンテーションを行うことが重要である。

誤り。

まずはアイデアをシーズ、ニーズの両面から考えていきます。顧客を絞り込むこともありますが、新製品開発では、「何を」を考えてから、「誰に」のステップで考えていきます。

選択肢2. 新製品のコンセプト策定に当たっては、組織内部の部門間での伝わりやすさを第一とし、顧客を含む、企業の外部に対する分かりやすさは事後的に検討される。

誤り。

商品コンセプトは消費者、顧客に伝わらなければ意味がありません。

選択肢3. 製品コンセプトとは、ある製品が顧客に提供しうる価値を端的に示すものである。それによって、買い手が製品やサービスを購買したいと思うようになる。

正しい。記載の通りです。

選択肢4. 製品コンセプトの開発に先駆けて探索的調査が実施されることが多いが、観察法はその段階で有用でないとされている。

誤り。

前半は正しいが、後半の「観察法は有用でない」が誤り。

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