中小企業診断士の過去問
平成29年度(2017年)
企業経営理論 問38

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問題

中小企業診断士試験 第1次試験 企業経営理論 平成29年度(2017年) 問38 (訂正依頼・報告はこちら)

次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。

今日の消費者は、マーケティング情報に対して知覚的過重負担に陥っている。コストに見合ったコミュニケーション効果を消費者から引き出すために、企業の担当者は、次の点に注意を払っている。消費者が受け入れる情報や注意を向ける刺激がどのようなものであるかを理解すること、プロモーションの構成要素を適切にミックスさせること、さらには新たなコミュニケーションツールの活用や、統合型マーケティングコミュニケーションを実現することである。

文中の下線部に関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • 消費者が説得的情報に接し、それらを処理するとき、無意識的な場合と比べて意識的な場合に、情報はそのまま記憶に追加されやすい。
  • 消費者は、一般的に、事前に有していた知識や態度と合致した情報を受け入れる傾向がある。
  • 「天気がよい」といったポジティブな外部要因は消費者の好ましいムードを醸成するが、その結果、製品やブランドに関する説得的情報に向けられる消費者の注意は低下する。
  • 人は接触回数が多い対象の評価や選択確率を高める。よって、マーケティング成果を高めるためには、消費者に製品や製品情報に接触したことを明確に意識させるよう工夫することが望ましい。

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この過去問の解説 (2件)

01

正解は2です。

マーケティングにおける顧客とのコミュニネーションに関する問題です。

各選択肢については、以下の通りです。

1→説得的情報に接したとき、本文の様に「そのまま記憶に追加されやすい」のは無意識な場合です。意識的な時は頭の中で整理しながら判断するので、そのまま記憶に追加されることは無意識のままと比べると少ないです。

2→適切です。事前に有していた知識や態度と合致していれば、情報を受け入れる(腹落ちする)傾向にあります。

3→ポジティブな外部要因は好ましいムードが高まり、説得情報に向けられる消費者の注意も高まります。

4→接触機会が多いと選択確率が高くなります。この選択確率は、接触したことを明確に意識させるよりは無意識に刷り込ませたほうが生じやすいとされています。

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02

【基礎知識】

正解は「消費者は、一般的に、事前に有していた知識や態度と合致した情報を受け入れる傾向がある。」です。

消費者を説得する場合、その商品に対する関心や意識が高い場合と低い場合があり、説得に対する反応も変わってきます。

・関心、意識が高い場合 → 消費者は情報をきっちりととらえ、自身の記憶等と比べながら情報を整理、記憶、処理していく

・関心、意識が低い場合 → 消費者は情報を感覚的・直感的にとらえる。

関心、意識が高い場合は、消費者は情報を理解し、整理しながら取り込むため、論理的に説得していくことが可能ですが、低い場合は論理性よりも直感的な理解を促すほうが有効です。このように説得方法に違いが出てきます。

また、近年ではマーケティングに心理学を加えた考え方が発展してきてます。

例えば、商品等の情報に触れる機会が多いと好感を持ちやすいというザイオンス効果や、松竹梅と価格を設定すると、竹が選ばれやすいといった松竹梅の法則などがあります。

選択肢1. 消費者が説得的情報に接し、それらを処理するとき、無意識的な場合と比べて意識的な場合に、情報はそのまま記憶に追加されやすい。

誤り。

意識的な場合は、自身の情報等と照らし合わせたりしながら加工して情報を取り込みます。

選択肢2. 消費者は、一般的に、事前に有していた知識や態度と合致した情報を受け入れる傾向がある。

正しい。記載の通り。

選択肢3. 「天気がよい」といったポジティブな外部要因は消費者の好ましいムードを醸成するが、その結果、製品やブランドに関する説得的情報に向けられる消費者の注意は低下する。

誤り。

ポジティブな要因は消費者の意識を高める効果があるため、後半部分が誤り。

選択肢4. 人は接触回数が多い対象の評価や選択確率を高める。よって、マーケティング成果を高めるためには、消費者に製品や製品情報に接触したことを明確に意識させるよう工夫することが望ましい。

誤り。

ザイオンス効果で前半は正しいが、明確に意識させてしまうと効果が低減します。

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