中小企業診断士の過去問
平成29年度(2017年)
経営法務 問19

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問題

中小企業診断士試験 第1次試験 経営法務 平成29年度(2017年) 問19 (訂正依頼・報告はこちら)

以下の会話は、中小企業診断士であるあなたとX株式会社の代表取締役甲氏との間で行われたものである。この会話を読んで、下記の設問に答えよ。

甲氏:「α国に本社のあるβ会社との間で、当社で製造している機械を継続的に販売するために、英文の基本売買契約書を締結することになりました。相手方から次のような契約書案が届いたのですが、この条項は、何を定めているのでしょうか。」

If any of the following events occurs on either party,the other party may terminate this Agreement by giving a written notice thereof:
(a)if either party fails to perform any provision of this Agreement or any other agreements between the parties,which failure remains uncorrected for more than eighty days after receipt of awritten notice specifying the default;
(b)if either party files apetition or has apetition filed against it by any person for bankruptcy or corporate reorganization;
(c)if either party disposes of the whole or any substantial part of its undertaking or its assets;
(d)if control of either party is acquired by any person or group not in control at the date of this Agreement.

あなた:「これは、解除条項を定めています。具体的には、( A )場合に、契約を解除することができることになっています。」

甲氏:「債務不履行に基づく解除については、どうなっていますか。」

あなた:「( B )」

(設問)
会話の中の空欄Bに入る記述として、最も適切なものはどれか。
  • β会社との間の他の契約にβ会社の債務不履行があった場合でも、X株式会社は本契約を解除できません。
  • β会社に債務不履行があった場合、β会社は本契約を解除できます。
  • 契約条項違反があった場合、本契約を即時に解除できます。
  • 債務不履行の内容は書面で通知する必要があります。

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この過去問の解説 (2件)

01

項番1:不適切です。
英文契約書(a)項に「 this Agreement or any other agreements」との記載があるため、この契約以外の債務不履行であった場合でも、契約相手は本契約を解除できることとなります。

項番2:不適切です。
β会社に債務不履行があった場合、解除ができるのは契約相手であるX株式会社となります。

項番3:不適切です。
英文契約書(a)項に「which failure remains uncorrected for more than eighty days after receipt of awritten notice specifying the default」との記載があります。これは債務不履行後も80日間の猶予が与えられていることと考えられます。そのため、即時解除はできません。

項番4:適切です。
英文契約書(a)項に「a written notice」との記載があるため、債務不履行は書面通知が必要ということとなります。

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02

英文契約に関する問題です。毎年2問程度出題されます。

英語に抵抗のある方とない方で対応が分かれると思いますが、いずれにしても経営法務の頻出領域である会社法と知財法の理解を固めることを優先した方が良いと思います。

その上で余力があれば、英語に抵抗のない方は英文契約を得点源にするつもりで時間を割いても良いと考えます。

本問では、債務不履行に基づく解除について問われていますが、契約書(a)項が該当します。

(a)項には「いずれかの当事者が本契約のいずれかの条項または両当事者間のその他の合意を履行しなかった場合、その不履行が、不履行を明記した書面による通知の受領後 80 日を超えても修正されないままである場合」と記載されています(日本語訳はGoogle翻訳によります)。

選択肢1. β会社との間の他の契約にβ会社の債務不履行があった場合でも、X株式会社は本契約を解除できません。

本契約のいずれかの条項または両当事者間のその他の合意(選択肢中の「他の契約」に該当)を履行しなかった場合」とありますので、X株式会社は本契約を解除することができます

選択肢2. β会社に債務不履行があった場合、β会社は本契約を解除できます。

β会社が債務不履行を起こしたのであれば、本契約を解除できるのはX株式会社です。

日本語の表現として違和感があり、英文の内容を検討しなくても排除することができます。

選択肢3. 契約条項違反があった場合、本契約を即時に解除できます。

契約は即時に解除できません

「その不履行が、不履行を明記した書面による通知の受領後 80 日を超えても修正されないままである場合」に契約解除できます。

選択肢4. 債務不履行の内容は書面で通知する必要があります。

正解の選択肢となります。

なお、「書面」は本文中ではa written noticeと記載されており、直訳すると「書かれた通知」となります。

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