中小企業診断士の過去問
平成30年度(2018年)
経済学・経済政策 問14

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問題

中小企業診断士試験 第1次試験 経済学・経済政策 平成30年度(2018年) 問14 (訂正依頼・報告はこちら)

下図は、一部の中古品のように、財そのものがマイナスの効用を消費者にもたらし、費用をかけて処理されなければならない場合を描いている。
この図に関する記述として、最も適切なものを下記から選べ。
問題文の画像
  • 価格が負の値をとる領域では、お金を支払って中古品を出す家計の行動を需要曲線Dが、お金を受け取り中古品回収を行う業者の行動を供給曲線Sが示している。
  • 供給曲線S上で点Cから点Bの方への動きがあるとき、中古品の処理費用が高くなり、家計が中古品を出さなくなっていることがわかる。
  • 均衡が点Cである場合、この中古品は経済財となる。
  • この中古品のリサイクルに関する技術進歩があると、同じ処理費用で多くの中古品を処理できるので、需要曲線Dが右方シフトする。

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この過去問の解説 (2件)

01

財の価格がマイナスで取引される市場についての問題です。

わかりやすくするために上記の市場を身近なものに置き換えてみます。

例としてリサイクルが義務付けられている家電を処分する時に当てはめてみます。

供給者は家電を処分したい家計となり、需要者はリサイクル業者となります。

家計は可能な限り高い金額で家電を買い取ってもらうことを希望し、リサイクル業者はより安い金額で家電を買い取りたいと考えています。

処分したい家電の供給が過剰になると、リサイクル業者は買取をしなくなってしまいます。

それでは家計に処分したい家電が残りますが、残っても困ってしまうため家計はお金を払ってでも家電を処分したいと考えて、リサイクル業者にお金を払って家電を引き取ってもらうようになります。

このような市場では供給者が費用を払って、需要者が費用を受け取るため均衡点がマイナスとなります。

選択肢1. 価格が負の値をとる領域では、お金を支払って中古品を出す家計の行動を需要曲線Dが、お金を受け取り中古品回収を行う業者の行動を供給曲線Sが示している。
  • 家計が供給者となるため曲線Sとなり、中古品回収業者が需要者であるため曲線Dになるため、本選択肢は不正解です。

選択肢2. 供給曲線S上で点Cから点Bの方への動きがあるとき、中古品の処理費用が高くなり、家計が中古品を出さなくなっていることがわかる。
  • 点Cから点Bに移動するときは、中古品の買取価格が高くなっているので家計はより多くの中古品を出すため、本選択肢は不正解です。

選択肢3. 均衡が点Cである場合、この中古品は経済財となる。
  • 点Cの価格はマイナスであるためここで均衡するときは経済財とはいえないため、本選択肢は不正解です。

選択肢4. この中古品のリサイクルに関する技術進歩があると、同じ処理費用で多くの中古品を処理できるので、需要曲線Dが右方シフトする。
  • 本選択肢が正解です。

まとめ

一般的な市場の話とは少々異なるため取り組むのが少し困難だったかもしれませんが、身近な内容に置き換えて問題文を読めば対応できた問題でした。

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02

今回の設問では、中古品引き取りのように売り手が商品を手放すことでお金を失い、買い手は商品を得ることでお金を得るというパターンです。つまり、マイナスの価格で需要と供給が一致するので財そのものがマイナスの効用を示すという表現がされます。

需要曲線-供給曲線を考えるうえで、

需要曲線D=モノが欲しい中古品買取業者の行動。

供給曲線S=モノを売りたい中古品販売者の行動。

という関係性に留意しましょう。


各選択肢については、以下のとおりです。

1:誤りです。

需要曲線Dと供給曲線Sの説明が逆です。お金を支払って中古品を出す家計の行動が供給曲線S、お金をもらって中古品を買い取る販売者の行動が需要曲線Dです。


2:誤りです。

供給曲線S上で点Cから点Bの方への動きがあるとき、供給曲線の右上がりのグラフから、数量、価格共に上昇していることがわかります。

3:誤りです。

経済財とは、希少価値があり、入手するために代価を支払うことが必要となる財の事を言います。点Cはマイナスの価格であり、処分するためにお金を支払っているため、希少性があるとはいえず経済財の定義に当てはまりません。

4:正解です。

設問の通りです。


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