中小企業診断士の過去問
平成30年度(2018年)
運営管理 問6

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問題

中小企業診断士試験 第1次試験 運営管理 平成30年度(2018年) 問6 (訂正依頼・報告はこちら)

下表に示される作業A〜Fで構成されるプロジェクトについて、PERTを用いて日程管理をすることに関する記述として、最も適切なものを下記から選べ。
問題文の画像
  • このプロジェクトのアローダイアグラムを作成するためには、ダミーが2本必要である。
  • このプロジェクトの所要日数は8日である。
  • このプロジェクトの所要日数を1日縮めるためには、作業Fを1日短縮すればよい。
  • 作業Eを最も早く始められるのは6日後である。

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この過去問の解説 (2件)

01

【基礎知識】

PERT図とは、生産計画の中の生産スケジュールを決める際に用いられる手法の一つになります。

いつ、どの工程でどんなアウトプットが必要かが決まると、工程内において、どういった順番で作業を開始し、終了するかのスケジュールを決めていきます。このスケジューリング手法を整理すると以下のようになります。

スケジューリング手法 - フローショップスケジューリング 

                 - 少種多量生産(製品別レイアウト)

           - ジョブショップスケジューリング 

                 - 多種少量生産(機能別レイアウト)

           - プロジェクトスケジューリング 

                 - 個別生産 -ガントチャート

                               -PERT

今回の問題のPERTはアローダイヤグラムという図を作成して管理していきます。図の表現方法はご確認いただくとして、あるA作業があるとして、A作業を行おうとすると、その前に必ず完了しておく必要のある作業がある場合があります。これを先行作業と言います。また、A作業が前提になる後続作業もある場合があります。これらを矢印でつないでいき、それらの作業時間を合計していきます。

最終のアウトプットを実現するために、その作業のつながりの中でももっと遅くできあがるつながりをクリティカルパスといい、工程の効率を左右しますので、重点的に管理していく必要があります。

当問題はどのようにPERTで図式化できるでしょうか?

まず、最初①からスタートしていきます。

・ A、Bは先行作業がありませんので、いつでも開始することができます。よって①からA、Bの2つに分かれます。Aが完了した地点を②、Bが完了した地点を②とします。

・ C、Dを実施するには、Aを完了しておく必要があります。よって、②からC、Dの2つに分かれます。

・ Eを実施するためにはB、C、Dが先行工程となります。

・ Fを実施するためにはDが先行工程となります。

工程の順番を決めていきます。作業が分岐する点を整理していきます。

まず、1番目の工程(①)です。これは、A、Bに分かれます。そして、A作業を終えた時点を②、B作業を終えた時点を③とします。A、Bの横の()内の数値は作業にかかる日数を表しています。

① → A(3) → ②

    → B(4) → ③      

             

次に②(A作業終了時点)から後続作業のC,Dを考えます。この時、B、C、DはEの先行作業になっていますので、どこかで矢印を集めてEにつなげる必要があります。また、DはFの先行作業にもなっていますので、Fにつなげる必要も同時にあります。

① → A(3) → ②  →  D(2) → ④ → F(3)

          ↓C(3)        ↓

          ↓ ←←←←←←←←←←←

  → B(4) → ③  →  E(3)

このとき、通常各地点(①~④)から他地点に向かうには何らかの作業が発生しますが、④→③のつながりは特に作業が発生しません。先行作業であるためにPERT図の中でつないでいるだけの→になります。この矢印をダミーと言います。

E、Fが完了すると全体が完了になります。この地点を⑤とします。

① → A(3) → ②  →  D(2) → ④ → F(3)

          ↓C(3)        ↓   ↓

          ↓ ←←←←←←←←←←←   ↓

  → B(4) → ③  →  E(3) →→→→→→⑤

ここで、各地点で最も早く着手できる日数を考えます。

地点①はすぐに着手できますので、0日です。②はAが終わらないとできませんので、最短で着手できるのは3日後になります。③はBのあとすぐできれば4日後ですが、②から来るためには6日後、④から来るには5日後になり、全部そろわないとできませんので、一番遅い6日後になります。

このように各地点の作業が最も早く着手できる日数を追加していくと以下のようになります。

(0)→A(3)→②(3) → D(2)→④(5)→  F(3)

          ↓C(3)        ↓     ↓

          ↓ ←←←←←←←←←←←     ↓

    →B(4) →③(6) → E(3) →→→→→→→ ⑤(9)

つまり、⑤の完了地点に到着するには9日間かかることがわかります。

次に⑤から考えて、各地点で⑤が9日になるように一番遅く作業をスタートさせることができる日程を加えていきます。各地点に(最短/最遅)で記載していきます。具体的には⑤から各作業日程を引いていくことになります。

(0/0)→A(3)→ ②(3/3) → D(2)→④(5/6) → F(3)

            ↓C(3)        ↓        ↓

            ↓ ←←←←←←←←←←         ↓

     →B(4) →③(6/6) → E(3) →→→→→→→ ⑤(9/9)

この時、最短着手日=最遅着手日となる地点は余裕が全くないことになります。これを⑤までたどったラインがクリティカルパスとなります。余裕がなく、一番遅いラインになりますので、重点的に管理をしていく必要があります。

①(0/0)→A(3)→ ②(3/3) →D(2)→④(5/6)→ F(3)

             ↓C(3)        ↓     ↓

              ←←←←←←←←←←←     ↓

     →B(4) →③(6/6) → E(3) →→→→→→⑤(9/9)

選択肢1. このプロジェクトのアローダイアグラムを作成するためには、ダミーが2本必要である。

基礎知識の図を確認いただくと、作業の入らないラインは④→③の1本になります。誤り。

選択肢2. このプロジェクトの所要日数は8日である。

⑤の地点は9日になります。誤り。

選択肢3. このプロジェクトの所要日数を1日縮めるためには、作業Fを1日短縮すればよい。

所要期間を縮めるためにはクリティカルパスを1日縮める必要があります。Fはクリティカルパス上にありませんので、短縮しても全体は短縮できません。誤り。

選択肢4. 作業Eを最も早く始められるのは6日後である。

③地点の次になりますので、6日。正しい。

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02

正解は4です。

問題文より、アローダイアグラムを作成します。
まず、作業を順序関係を整理すると、
(1)始点→AとBの作業
(2)A→CとDの作業
(3)B、C、Dそれぞれ→Eの作業
(4)D→Fの作業
(5)E、F→終点  

この流れをアローダイアグラムに変換します。
作業の結合点であるノードから次のノードに移る矢印に作業を割り当てていきます。

ノード1からノード2へ作業A
ノード1からノード3へ作業B
ノード2からノード3へ作業C
ノード2からノード4へ作業D
ノード3からノード5へ作業E
ノード4からノード5へ作業F となります。

この時、矢印のないノード間の作業がダミー作業(作業期間のない作業)となります。この場合、3と4の作業間を指します。(1つだけです)

そして、作業日数の着手日を示すEPST(最早着手日)とLPST(最遅着手日)の情報を記載していきます。

ノード1(開始点)は(EPST,LPST) (0,0)
ノード2は(3,3)、ノード3は(6,6)、
ノード4は(5,6)、ノード5(最終点)は(9,9)
となります。

ここで、「クリティカルパス」とはEPSTとLPSTの差が無いルートを指します。
この場合は、1→2→3→5となり、所要日数は9日となります。

1→このプロジェクトにおけるダミー作業は1本です。よって誤りです。

2→このプロジェクトのクリティカルパスは9日になります。よって誤りです。

3→プロジェクトの所要日数の削減はクリティカルパス上の作業を短縮します。作業Fはクリティカルパス上に無い作業のため、所要日数を短縮できません。よって誤りです。

4→作業を最も早く始められる日はEPST(最早着手日)といいます。作業EのEPSTは6日です。よって正解です。

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