中小企業診断士の過去問
平成30年度(2018年)
運営管理 問12

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問題

中小企業診断士試験 第1次試験 運営管理 平成30年度(2018年) 問12 (訂正依頼・報告はこちら)

ある見込生産型工場における需要予測において、従来と比較して、過去の実績需要量の中でも現在に近いものほど次月の需要量に大きく影響することが分かってきた。予測精度を向上させる試みに関する記述として、最も適切なものの組み合わせを下記から選べ。

a  移動平均法においては、対象範囲を3カ月から5カ月に変更する。
b  移動平均法においては、対象範囲を5カ月から3カ月に変更する。
c  指数平滑法においては、平滑化定数を0.3から0.5に変更する。
d  指数平滑法においては、平滑化定数を0.5から0.3に変更する。
  • a と c
  • a と d
  • b と c
  • b と d

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この過去問の解説 (2件)

01

正解は3です。

移動平均法は、単純移動平均法と加重移動平均法の2つがあります。
単純移動平均法:実績データの単純平均を求め、その平均値を予想値とします。
加重移動平均法:実績データに異なる重みをつけて平均値を求め、予想値とします。

指数平滑法は、観測値が古くなるにつれて「重み」を減少させる移動平均法です。重みの減少の程度は平滑化定数で決定します。指数平滑法を式で表すと、
来月の予測売上高=今月の予測売上高+X(今月の実績-今月の予測売上高)
X:平滑化定数(0<X<1) 
となります。平滑化定数を大きく設定(1に近づける)すると、直近の重みが大きくなります。需要変動の大きい場合などに有効です。

1→移動平均法においては、対象範囲の月の単純平均を取るため、対象期間が短くなる(直近に近づく)場合に予測精度が上がります。よってaは誤りです。

2→指数平滑法においては、平滑化定数が1に近づく(大きくなる)ほど、直近の重みが大きくなります。よってdは誤りです。

3→移動平均法は対象期間が短くなる(直近に近づく)場合、指数平滑法においては平滑化定数が1に近づく(大きくなる)場合、直近の影響をより反映します。よって正解です。

4→平滑化定数が1から遠ざかる(小さくなる)と、直近の重みが小さくなります。よって誤りです。

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02

【基礎知識】

需要予測の問題です。特に見込生産の場合、需要予測に基づいて生産計画を立てていきますので、きわめて重要な作業になります。

手法は時系列分析と回帰分析の2つがあります。

時系列分析:過去のデータをもとに将来の値を予測する。

回帰分析:因果関係があると思われる他の変数により、将来の数値を予測する。

時系列分析は更に移動平均法と指数平滑法に分かれます。

移動平均法:過去のデータの平均値をとり、次期の需要と予測します。単純に平均を取る単純移動平均法と時期に重みを付ける加重移動平均法があります。加重とは、直近のデータの方がトレンドを表している場合、直近データを1.2倍にするなど、重みを付けることです。

指数平滑法:今期の予測値と実績値から次期予測値を算出する方法。今期予測値と今期実績値を足すと1となる平滑化係数をかけて求める。

 次期予測値 = α × 今期実績値 + (1-α) × 今期予測値

 (αを平滑化係数と言います)

α(平滑化係数)が大きいほど、今期実績値、つまり直近データを重視した予測となります。一方で平滑化係数が小さいほど、今期予測値、つまり過去からのデータをベースに推定した値を重視したものとなります。

回帰分析は、需要に影響を与える要因(説明変数)と需要の関係から予測しますが、説明変数が1つの場合を短回帰分析、2つの場合を重回帰分析と言います。

今回の問題は直近データを重視というところがポイントです。

【選択肢評価】

a 直近データを重視しているため、織り込む過去の期間が長くなっているため誤り。

b 直近データ重視のため、直近のデータで算定しているため正しい。

c 平滑化係数が大きくなると、直近データ重視のため、正しい。

d 平滑化係数が小さくなっており、過去データ重視となる。誤り。

選択肢1. a と c

上記説明より、不適切です。

選択肢2. a と d

上記説明より、不適切です。

選択肢3. b と c

正解です。

選択肢4. b と d

上記説明より、不適切です。

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