中小企業診断士の過去問
平成30年度(2018年)
運営管理 問16

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問題

中小企業診断士試験 第1次試験 運営管理 平成30年度(2018年) 問16 (訂正依頼・報告はこちら)

次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。

ある工場では、自動設備を利用して飲料の瓶詰を行っているが、瓶に詰められた内容量のバラツキを抑制する目的で新設備を試作した。この工場では、仮説検定を行うことで、試作機の性能向上を確かめたいと考えている。

現有設備を使用したときの内容量の標準偏差σ0が1.1mlであることから、新設備を使ったときの内容量の標準偏差をσとしたもとで、以下のように帰無仮説H0を設定した。対立仮説H1として、最も適切なものを下記から選べ。

H0:σ2=1.12
  • H1:σ2<1.12
  • H1:σ2>1.12
  • H1:σ2=1.12
  • H1:σ2≠1.12

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この過去問の解説 (2件)

01

正解は1です。

帰無仮説は、統計的仮説検定における最初に立てる仮説のことで、この帰無仮説を否定することで、本来証明したい対立仮説を正しいと結論付けるものです。
今回の問題では、現有設備の標準偏差(バラつき)1.1mlに対して、帰無仮説である新設備をH₀:σ²=1.1²と表し、同じものとしています。この帰無仮説を否定することで、対立仮説を結論づけるという流れになります。今回の新設備試作の目的はバラつきを抑制することにあるため、H₀:σ²=1.1²を否定し、新設備の標準偏差の方が低い状態、つまりH₁;σ²<1.1²を導くという結論になります。

1→上記の通り正解です。

2→対立仮説は、新設備のバラつきが現有設備よりも低くなります。よって誤りです。

3→対立仮説は、新設備のバラつきが現有設備よりも低くなります。よって誤りです。

4→≠はバラつきの大小が不明確なので、今回の目的である新設備の方が標準偏差が小さいことを満たしていません。よって誤りです。

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02

【基礎知識】

品質管理において、一番いいのは全数をチェックすることです。

しかしそういったことは不可能であるため、母集団から一定数を抜き取り、その結果から母集団の品質を推定していきます。これを推定統計と言います。推定統計の中でも母集団がおおむね想定できる場合、仮説検定という手法で推定していきます。

仮説検定では、実証したい内容を“対立仮説”と言い、その反対の内容を“帰無仮説”と言います。帰無仮説がありえないことを示して、対立仮説(実証したい内容)を証明していく手法です。

通常、正規分布すると、平均値から一定の量の範囲に大部分(7割ぐらい)の標本があることになります。この一定の量の範囲(±)を標準偏差と言います。つまり、この問題では、平均+1.1mlから平均‐1.1mlの間に7割ぐらいの標本があることになります。

今回帰無仮説はσ2=1.12となっており、新設備を使った場合、バラつきがこれより小さくなっている場合に試作機が想定の効果を上げていることになります。

選択肢1. H1:σ2<1.12

このとき、バラつきが小さくなるため、正しい。

選択肢2. H1:σ2>1.12

バラつきが帰無仮説より大きくなる。誤り。

選択肢3. H1:σ2=1.12

帰無仮説と対立仮説が一致してしまい、立証できない。誤り。

選択肢4. H1:σ2≠1.12

バラつきが帰無仮説より大きくなる可能性もあるため、誤り。

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