中小企業診断士の過去問
平成30年度(2018年)
経営法務 問4

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問題

中小企業診断士試験 第1次試験 経営法務 平成30年度(2018年) 問4 (訂正依頼・報告はこちら)

募集株式の払込金額(募集株式1株と引換えに払い込む金銭の額)が募集株式を引き受ける者にとって特に有利な金額になる第三者割当増資を株式会社が行うには、株主総会の特別決議が必要になる。
現在のX株式会社(以下「X社」という。)の発行可能株式総数は20株であり、発行済株式総数は、10株である。また、X社の企業価値は、100億円である。したがって、1株当たりの企業価値は、10億円である。
現在、X社は、40億円の投資を行うことによりX社の企業価値が50億円増加して150億円になる新規プロジェクトを計画しており、この40億円を第三者割当ての方法による募集株式の発行により調達しようとしている。
この場合において、募集株式の払込金額が募集株式を引き受ける者にとって特に有利な金額になる募集株式の数に関する記述として、最も適切なものはどれか。
なお、X社には債権者がいないこと及び募集株式の全てを引き受けてくれる投資家が存在することを前提とする。
  • 募集株式の数を2株とする。
  • 募集株式の数を4株とする。
  • 募集株式の数を5株とする。
  • 募集株式の数を10株とする。

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この過去問の解説 (2件)

01

正解は4です。

株主以外に株式を発行することを第三者割当と言い、いままでの株主と不公平が発生しやすいので、所定の場合株主総会の特別決議をしなければなりません。この場合の不公平とは今の株価より10%~15%を下回る価格で発行されれば特に有利な発行として株主に対し不公平と判断されます。

今の1株当たりの企業価値は10億円です。
それに対し、今回40億円の募集です。また企業価値が100億円→150億円と50億円増加します。こうなることで今回有利な発行になってしまう募集はどれか判断していきます。

1→2株の募集であれば、1株20億円、増加する企業価値分として25億円であり、今の企業価値10億円と比較し全く有利ではありません。

2→4株なら1株10億円、増加分が12.5億円であり有利ではありません。

3→5株であれば、1株8億円、増加分が10億円です。この場合増加分が同じなので特に有利とは見做されません。

4→最も適切です。10株であれば1株4億円、増加分が5億円なので特に有利となります。

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02

【基礎知識】

第三者割当増資前後の株式価値を考えます。

前:企業価値100億円、株式10株、一株当たり企業価値10億円

選択肢の中で、それぞれの投資影響を見ていきます。

選択肢1. 募集株式の数を2株とする。

後:企業価値150億円、株式12株、一株当たり企業価値12.5億円

  増資を引き受けた人は40億円投資して、2株(25億円)になるため、不利。

選択肢2. 募集株式の数を4株とする。

後:企業価値150億円、株式14株、一株当たり企業価値10.7‥億円

  増資を引き受けた人は40億円投資して、4株(42.8…億円)になるため、プラスにはなるが、全株主がプラスとなるため、有利とはいえない。

選択肢3. 募集株式の数を5株とする。

後:企業価値150億円、株式15株、一株当たり企業価値10億円

  増資を引き受けた人は40億円投資して、5株(50億円)になるため、プラスにはなるが、全株主の現行価格と同じのため、有利とはいえない。

選択肢4. 募集株式の数を10株とする。

後:企業価値150億円、株式20株、一株当たり企業価値7.5億円

  増資を引き受けた人は40億円投資して、10株(75億円)になるため、プラス。また、他株主の価格が下がり、引き受けた人に価値が移動しているため有利な取引と言える。

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