中小企業診断士の過去問
令和元年度(2019年)
企業経営理論 問35

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問題

中小企業診断士試験 第1次試験 企業経営理論 令和元年度(2019年) 問35 (訂正依頼・報告はこちら)

次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。

原油や原材料価格の低下、あるいは革新的技術の普及は、製造ならびに製品提供にかかる変動費を減少させるため、販売価格の引き下げが検討されるが、価格を下げることが需要の拡大につながらないケースもある。企業は、①需要の価格弾力性や交差弾力性を確認したり、②競合他社の動向や顧客の需要を分析、考慮したりして、価格を決定する。

文中の下線部②に関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • ウイスキー、ネクタイ、スーツなどの製品では、低価格の普及品から高価格の高級品までのバリエーションを提供することがある。このように、複数の価格帯で製品展開することを「プライス・ライニング戦略」と呼ぶ。
  • 短期間で製品開発コストを回収することを目指して設定された高い価格を「スキミング価格」と呼ぶ。このような価格設定は、模倣されやすい新製品に最適である。
  • 発売当日にCDやDVDを入手することに強いこだわりを持ち、価格に敏感ではない熱狂的なファンがいる。新製品導入にあたり、こうした層に対して一時的に設定される高価格を「サブスクリプション価格」と呼ぶ。
  • 若者にスノーレジャーを普及させるために、多くのスキー場は、往復交通費にウェアやスノーボードのレンタル料やリフト券を組み合わせた「キャプティブ価格」を設定し、アピールしている。

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この過去問の解説 (2件)

01

項番1:適切です。
記述の通りです。

項番2:不適切です。
スキミング価格設定は模倣されにくい製品に適しています。

項番3:不適切です。
サブスクリプションとは、一定期間、料金を支払うことによって、期間中に限り商品やサービスを利用できるサービスを指します。

項番4:不適切です。
キャプティブ価格は、主となる製品の価格を安くしたうえで、関連した製品の価格を高めに設定し、企業の利益を確保する価格設定を指します。本肢の場合は、キャプティブ価格ではなく単純なセット販売となります。

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02

価格戦略に関する問題です。

選択肢1. ウイスキー、ネクタイ、スーツなどの製品では、低価格の普及品から高価格の高級品までのバリエーションを提供することがある。このように、複数の価格帯で製品展開することを「プライス・ライニング戦略」と呼ぶ。

正解の選択肢となります。

選択肢2. 短期間で製品開発コストを回収することを目指して設定された高い価格を「スキミング価格」と呼ぶ。このような価格設定は、模倣されやすい新製品に最適である。

前半の記述は正しいですが、他社製品と明確に差別化されて、高付加価値を訴求することが出来るような新製品に適した価格設定です。市場に登場し始めたばかりの頃のiPadが、その代表例と考えられます。

選択肢3. 発売当日にCDやDVDを入手することに強いこだわりを持ち、価格に敏感ではない熱狂的なファンがいる。新製品導入にあたり、こうした層に対して一時的に設定される高価格を「サブスクリプション価格」と呼ぶ。

サブスクリプション価格(いわゆるサブスク)とは、定額料金で一定期間中サービスを利用することが出来る権利を指します。

余談ですが、CDやDVDを発売前日に入手するような強いこだわりを持つ行為を「フライングゲット(フラゲ)」といいますが、和製英語です。

選択肢4. 若者にスノーレジャーを普及させるために、多くのスキー場は、往復交通費にウェアやスノーボードのレンタル料やリフト券を組み合わせた「キャプティブ価格」を設定し、アピールしている。

往復交通費にウェアやスノーボードのレンタル料やリフト券を組み合わせた販売方法は、セット販売もしくはバンドル販売であると思われます。一般的に分かりやすい例としては、ファストフードのセット販売があります。バーガー、ドリンク、ポテトを別々にオーダーするよりも、セットでオーダーすることで安く購入出来ます。

セット販売もしくはバンドル販売の特徴は、企業側が売上高や利益を獲得し易いだけではなく、顧客側にもメリットがあることです。本問の場合、往復交通費にウェアやスノーボードのレンタル料やリフト券もセットになっており、利用者はこれを利用することで現地でレンタル料やリフト券を別途購入せずに済みます。

キャプティブ価格には、顧客側のメリットという考えはありません。「キャプティブ=囮」なので、企業が顧客を囲い込むために用いられます。代表例は、プリンター本体に対するインクカートリッジ、ゲーム機本体に対するゲームソフト、カメラ本体に対するフィルム、剃刀本体に対する替え刃等です。

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