中小企業診断士の過去問
令和元年度(2019年)
経営法務 問3

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問題

中小企業診断士試験 第1次試験 経営法務 令和元年度(2019年) 問3 (訂正依頼・報告はこちら)

会社法が定める会社の清算・特別清算に関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • 株主は、清算中の会社の残余財産が金銭以外の財産であるときは、当該会社に対し、当該残余財産に代えて金銭を交付することを請求することができる。
  • 清算中の会社の機関設計は、清算開始前の機関設計が維持されるため、指名委員会等設置会社が清算手続に入った場合、指名委員会等の各委員会が設置される。
  • 清算中の会社は裁判所の監督に属するため、清算人は、裁判所による提出命令がなくても、株主総会で承認を得た財産目録等を裁判所に提出しなければならない。
  • 特別清算は、株式会社だけではなく、合同会社にも適用される。

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この過去問の解説 (2件)

01

正解は1です。

清算・特別清算とは、会社の消滅に際して、まず債権の取り立てや債務の弁済を行い、株主等の出資者に対し、残余財産を分配する手続きのことを指します。

1→清算中の会社の残余財産が金銭以外の財産であるときは、残余財産に代えて金銭を交付することを請求することが可能です、これを「金銭分配請求権」と言います。よって正解です。

2→清算中の会社の機関設計については、株主総会は維持されますが、通常時の事業が維持されないため、その他の機関は維持されません。取締役会、取締役はなくなり、清算人会、清算人となります。指名委員会等設置会社においても、大会社かつ公開会社の場合、監査委員である取締役が監査役となること以外、委員会は維持されません。よって誤りです。

3→通常清算は、裁判所の監督下に置かず手続きが進められ、特別清算は裁判所の監督下で手続きが進められます。つまり、特別清算の場合は、株主総会で承認を得た財産目録等を裁判所に提出する必要がありますが、通常清算の場合は必要ありません。よって誤りです。

4→特別清算は、株式会社のみに認められるもので、合同会社を含む持分会社には認められていません。よって誤りです。

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02

【基礎知識】

清算とは、売掛金などの資産は売却して金銭に変え、借入金等の負債は返済して消滅させる手続きのことです。

また、特別清算とは、債務超過の場合などは負債をなくしてしまうことはできませんので、裁判所に介入してもらい、清算を進める手続きのことです。

つまり裁判所の監督のもと進められる点が通常の清算と異なり、株式会社のみ適用できる方法となっています。

株式会社においては株主など、利害関係者が多数いることが想定されるため、裁判所の監督が必要となるケースが多いと考えられるからです。

次に会社の機関設計です。現在の経営陣で問題が出ましたので、基本取締役等はその地位を失うことになります。代わりに清算人(会)、監査役(会)を置くことができます。

会社の機関が変更になりますので、定款の変更も必要となります。

選択肢1. 株主は、清算中の会社の残余財産が金銭以外の財産であるときは、当該会社に対し、当該残余財産に代えて金銭を交付することを請求することができる。

残余財産が金銭以外の財産であるとき、株主は金銭を交付することを請求する金銭分配請求権を持っています。よって正解。

選択肢2. 清算中の会社の機関設計は、清算開始前の機関設計が維持されるため、指名委員会等設置会社が清算手続に入った場合、指名委員会等の各委員会が設置される。

既存組織の経営がダメだったわけですから、定款を変更し、清算人(会)、監査役(会)の組織が設置されます。よって誤り。

選択肢3. 清算中の会社は裁判所の監督に属するため、清算人は、裁判所による提出命令がなくても、株主総会で承認を得た財産目録等を裁判所に提出しなければならない。

特別清算は裁判所の監督下で行われるため、提出が必要ですが、通常の清算は裁判所は絡みませんので提出義務はありません。よって誤り。

選択肢4. 特別清算は、株式会社だけではなく、合同会社にも適用される。

株式会社のみ適用です。誤り。

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