中小企業診断士の過去問
令和元年度(2019年)
経営法務 問2
このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。
問題
中小企業診断士試験 第1次試験 経営法務 令和元年度(2019年) 問2 (訂正依頼・報告はこちら)
会社法が定める株式会社の事業譲渡に関する記述として、最も適切なものはどれか。なお、反対株主の買取請求権に関する会社法第 469 条第 1 項第 1 号及び第 2 号については考慮しないものとする。
- 事業譲渡の対価は、金銭でなければならず、譲受会社の株式を用いることはできない。
- 事業譲渡をする会社の株主が、事業譲渡に反対する場合、その反対株主には株式買取請求権が認められている。
- 事業の全部を譲渡する場合には、譲渡会社の株主総会の特別決議によって承認を受ける必要があるが、事業の一部を譲渡する場合には、譲渡会社の株主総会の特別決議による承認が必要となることはない。
- 当該事業を構成する債務や契約上の地位を譲受人に移転する場合、個別にその債権者や契約相手方の同意を得る必要はない。
正解!素晴らしいです
残念...
この過去問の解説 (2件)
01
事業譲渡とは、営利目的のために組織された会社の持つ財産の全部または一部を、譲受会社に移転することを指し、譲受会社に権限が移転し、譲渡会社は競業避止義務を負います。譲受会社が対価として金銭を支払い、譲受会社がこれを受け取ります。
1→事業譲渡の対価は、契約自由の原則により自由です。よって金銭のみではなく、譲受会社の株式を用いることは可能です。よって誤りです。
2→事業譲渡をする会社の株主が事業譲渡に反対する場合、その反対株主には株式買取請求権が認められています。ただし、事業の全部譲渡と同時に解散決議を行った場合と、事業の全部譲渡の場合に、譲受会社が対価として支払う財産の帳簿価格が譲受会社の純資産の5分の1を超えない場合、反対株主の株式買取請求権は認められません。
本問では、「反対株主の買取請求権に関する会社法第469 条第1 項第1号及び第2号については考慮しないものとする。」とあるため、株式買取請求権は認められます。よって正解です。
3→譲渡会社において、事業の全部または一部の譲渡をする場合のどちらも原則として、株主総会特別決議が必要です。よって誤りです。
ただし、事業の一部譲渡であり、譲渡する事業の財産の帳簿価格が、譲渡会社の総資産の5分の1を超えない場合と略式手続きで譲受会社が特別支配会社に該当する場合は、株主総会の特別決議を省くことができます。
4→当該事業を構成する債務や契約上の地位を譲受人に移転することは、譲受人の利害に大きな影響を与えるため、個別にその債権者や契約相手方の同意を得る必要があります。よって誤りです。
参考になった数10
この解説の修正を提案する
02
【基礎知識】
事業譲渡は会社を売買する手法の一つです。
株式譲渡とは異なり、特定の部門、事業のみを売却できますので、コア事業に専念するために他の事業を売却するなどができます。
株式譲渡との違いを見ていきます。
株式譲渡は譲渡企業が譲受企業から対価を受けて、対象会社の株式を譲渡します。そのため、包括的に、契約などもそのまま引き継ぐため、短期間でスピーディーな移管が可能です。
事業譲渡は、特定の部門のみを引き継ぐことができますが、株式譲渡のような包括的な譲り渡しができないため、一つ一つの契約を継承していく必要があり、手間がかかります。
手続き的には株式譲渡は原則、全株主の同意が要りますが、事業譲渡は特定事業のみになりますので株主総会の特別決議により実行が可能です。
事業譲渡の通知は効力発生日の20日前に株主に知らせる必要があります。それを受けて、反対株主は公正な価格での買取を請求することができます。
金銭でなければならないという決まりはないので誤り。
基礎知識ご参照。正しい。
特別決議が必要であるため、誤り。
一つ一つ個別に継承していくことが求められるため、誤り。
参考になった数3
この解説の修正を提案する
前の問題(問1)へ
令和元年度(2019年)問題一覧
次の問題(問3)へ