中小企業診断士の過去問
令和元年度(2019年)
経営法務 問16
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問題
中小企業診断士試験 第1次試験 経営法務 令和元年度(2019年) 問16 (訂正依頼・報告はこちら)
以下の会話は、中小企業診断士であるあなたと、県内で複数の和菓子店を展開する甲株式会社の代表取締役A氏との間で行われたものである。会話の中の空欄に入る記述として、最も適切なものを選択肢の中から選べ。
A氏 :「おととい、東京にある乙株式会社から警告書が送られてきて驚いています。」
あなた:「どのような内容ですか。」
A氏 :「うちで販売するどら焼きの名前が、昨年、乙株式会社が「菓子・パン」について登録した商標と類似するそうで、直ちに販売を中止しなさい、という内容です。どうしたらいいでしょう。」
あなた:「確か、御社のどら焼きは昭和の時代から販売している名物商品ですよね。それであれば、先使用権を主張できるかもしれませんよ。」
A氏 :「その先使用権とはどういうものですか。」
あなた:「不正競争の目的でなく、( )、継続してその商標の使用をする権利を有する、という商標法上の規定です。」
A氏 :「ということは、うちのどら焼きの販売を中止する必要はないのですね。」
あなた:「そうです。知的財産権に詳しい弁護士さんを紹介しますので、相談されてはいかがですか。」
A氏 :「よろしくお願いします。」
A氏 :「おととい、東京にある乙株式会社から警告書が送られてきて驚いています。」
あなた:「どのような内容ですか。」
A氏 :「うちで販売するどら焼きの名前が、昨年、乙株式会社が「菓子・パン」について登録した商標と類似するそうで、直ちに販売を中止しなさい、という内容です。どうしたらいいでしょう。」
あなた:「確か、御社のどら焼きは昭和の時代から販売している名物商品ですよね。それであれば、先使用権を主張できるかもしれませんよ。」
A氏 :「その先使用権とはどういうものですか。」
あなた:「不正競争の目的でなく、( )、継続してその商標の使用をする権利を有する、という商標法上の規定です。」
A氏 :「ということは、うちのどら焼きの販売を中止する必要はないのですね。」
あなた:「そうです。知的財産権に詳しい弁護士さんを紹介しますので、相談されてはいかがですか。」
A氏 :「よろしくお願いします。」
- 乙株式会社の商標登録出願前から、御社がどら焼きについて御社商標を使用し、または使用する準備をしているときは
- 乙株式会社の商標登録出願前から、御社がどら焼きについて御社商標を使用していた結果、乙株式会社の商標登録出願の際、現に御社商標が御社の業務に係るどら焼きを表示するものとして、需要者の間に広く認識されているときは
- 乙株式会社の商標登録前から、御社がどら焼きについて御社商標を使用し、または使用する準備をしているときは
- 乙株式会社の商標登録前から、御社がどら焼きについて御社商標を使用していた結果、乙株式会社の商標登録の際、現に御社商標が御社の業務に係るどら焼きを表示するものとして、需要者の間に広く認識されているときは
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この過去問の解説 (2件)
01
正解は2です。
商標の先使用権に関する設問です。
先使用権とは、他人の商標登録出願前から同一または類似の商標を使用していた場合に、使用者が継続して無償でその商標を使用できる権利です。
先使用権が認められる要件として、周知性(需要者の間に広く認識されていること)も必要となります。
各選択肢については、以下のとおりです。
1→先使用権の要件である、周知性について記載がありません。
2→適切です。先使用権の要件である、他人の商標登録出願前から使用していた点と、周知性について記載されています。
3→先使用権の要件は、他人の商標登録出願前になります。
4→選択肢3の通りです。
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02
【基礎知識】
先使用権の成立要件が問われています。
特許庁発行の「先使用権制度の円滑な活用に向けて」において、先使用権が以下のようにまとめられています。
特許法第 79 条には、「先使用による通常実施権」の規定があり、当該通常実施権を「先使用権」といいます。
実用新案法第 26 条においては、実用新案権について特許法第 79 条の規定が準用されており、意匠法第 29 条においても、意匠権について特許法第 79 条と同趣旨の規定が置かれていますので、特段の断りがない限り、文中における「先使用権」についての考え方は、特許権、実用新案権及び意匠権について共通に適用することが可能です。
先使用権の要件は商標法32条に定められています。
第三十二条 他人の商標登録出願前から日本国内において不正競争の目的でなくその商標登録出願に係る指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務についてその商標又はこれに類似する商標の使用をしていた結果、その商標登録出願の際(中略)現にその商標が自己の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているときは、その者は、継続してその商品又は役務についてその商標の使用をする場合は、その商品又は役務についてその商標の使用をする権利を有する。当該業務を承継した者についても、同様とする。
特にポイントとなるのが、「需要者の間に広く認識されているとき」の部分です。これは周知性と言われています。
明確な基準はないのですが、企業の周知に対する努力、その商標に関するものの売上、近隣市町村での知名度など、総合的に判断されます。
周知性の要件が抜けています。誤り。
基礎知識ご参照。正しい。
周知性の要件が抜けています。誤り。
先願主義になりますので、出願~登録の間では、出願状況を見てまねた可能性もありますので、誤り。
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