中小企業診断士の過去問 令和元年度(2019年) 経営法務 問20
この過去問の解説 (2件)
共有不動産に対する行為では、
・共有者全員の同意が必要なもの
・各共有者単独で行うことができるもの
・所有割合が過半数で行うことができるもの
などがあります。
共有不動産の所有権確認の訴えの提起には、共有者全員の同意が必要です。
適切です。
共有不動産の不法占拠者に対する引渡請求は、共有者の権利を守る行為であり、単独で行うことができます。
共有不動産を妨害する者に対する損害賠償請求は、自己の共有持分の割合についてのみ行うことができます。
共有不動産を目的とする賃貸借契約の解除は、共有持分の過半数をもって行うことができます。
【基礎知識】
相続や二世帯で不動産を共有する場合があります。この時の法的な権限を問う問題です。
共有不動産は複数人で所有するわけですので、当然
・自由に売買できない
・他人に勝手に貸して収益を得ることができない
・相続で所有者が増えると更にややこしくなる
など、非常に不便な状況になっていることがわかります(当然うまく共有されている方もいらっしゃるかと思いますが)。
よって民法においては、共有物分割請求権を定め、自分の持ち分を他の所有者に買い取らせたり、共同で売却して、金銭で分割させることを半ば強制的に行うことができます。
しかし、あくまで共有者はそれぞれ所有権を有しています。ですので、財産の棄損があるような場合は対抗することができます。
共有物に対する行為と単独で実行できるかどうかは原則以下のようになっています。
・保存行為:共有物の現状を維持する行為 ⇒ 単独可
・管理行為:共有物を利用・改良すること(例:貸し出すなど)⇒過半数(持ち分換算)
・変更行為:共有物の形、性質に変更を加えること(売却)⇒全員の同意
所有権確認の訴えは、共有者全体が原告になることを求められる固有必要的共同訴訟。よって誤り。
引き渡しの訴えは共有物の現状を維持する行為=保存行為に該当するため、単独可です。正しい。
損害賠償は個々の所有権分については個々が請求する権利があるため、誤り。
利用・改良の管理行為に該当します。 誤り。
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