中小企業診断士 過去問
令和元年度(2019年)
問173 (経営情報システム 問13)

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問題

中小企業診断士試験 令和元年度(2019年) 問173(経営情報システム 問13) (訂正依頼・報告はこちら)

ある中小企業では、情報システムの導入を検討している。最終的に、2つの情報システム( AとB )を比較検討することになり、それぞれのRASIS( Reliability:信頼性、Availability:可用性、Serviceability:保守性、Integrity:保全性、Security:安全性)に注目することにした。
このとき、情報システムAの平均故障間隔(MTBF)は 480 時間、平均修理時間(MTTR)は 20 時間であった。一方、情報システムBの平均故障間隔は 532 時間、平均修理時間は 28 時間であった。
これら2つのシステムのRASISに関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • 安全性は、システムAの方がシステムBよりも優れている。
  • 可用性は、システムAの方がシステムBよりも優れている。
  • 信頼性は、システムAの方がシステムBよりも優れている。
  • 保全性は、システムAの方がシステムBよりも優れている。

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は2です。

RASISとは、システムの品質を評価する5つの指標の頭文字であり、以下から構成されます。

・信頼性:システムの壊れにくさ
・可用性:システムの稼働率の高さ
・保守性:メンテナンスのしやすさ
・保全性:データの完全性の高さ
・安全性:システムのセキュリティの高さ

各選択肢については、以下のとおりです。

1→安全性は、MTBFとMTTRのみからでは判断することができません。

2→適切です。可用性の指標である稼働率:MTBF/(MTBF+MTTR)を計算すると、A:0.96、B:0.95となり、Aの方が稼働率が高く、Bよりも可用性が優れていることが分かります。

3→信頼性は、MTBFが長い方が高くなります。よって、AよりもBの方が優れています。

4→保全性は、MTBFとMTTRのみからでは判断することができません。

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02

情報システムの評価指標のRASISについて問われている問題です。

問題文にあるように各項目の頭文字をとってRASISと呼称されています。

選択肢の項目についての説明です。

Security:安全性

サイバー攻撃などへの耐性のことです。定量的な指標はなく、問題文で与えられている内容から判断することはできません。

Availability:可用性

稼働率によって評価します。

稼働率は以下の計算式で求めます。

稼働率 = MTBF ÷ (MTBF + MTTR)

情報システムAの稼働率 96%

情報システムBの稼働率 95%

稼働率が高い方が評価が高いため、信頼性は情報システムAが高いことになります。

Reliability:信頼性 

平均故障間隔(MTBF)よって評価するシステムの壊れにくさのことです。

情報システムAのMTBFは480時間。

情報システムBのMTBFは 532 時間。

MTBFの数値が大きい方が稼働している時間が長いため評価が高くなります

よって信頼性は情報システムBが高いことになります。

Integrity:保全性

定量的な指標はなく、問題文で与えられている内容から判断することはできません。

選択肢1. 安全性は、システムAの方がシステムBよりも優れている。
  • 本選択肢は不正解です。

選択肢2. 可用性は、システムAの方がシステムBよりも優れている。

本選択肢が正解です。

選択肢3. 信頼性は、システムAの方がシステムBよりも優れている。

本選択肢は不正解です。

選択肢4. 保全性は、システムAの方がシステムBよりも優れている。

本選択肢は不正解です。

まとめ

選択肢には含まれていないServiceability:保守性についての説明です。

障害やメンテナンスによって情報システムが停止する時間のことです。停止している時間が短ければ稼働している時間が長いことになり、高い評価をされます。

平均修理時間(MTTR)によって評価されます。

本問の情報システムを評価してみます。

情報システムAのMTTR 20時間

情報システムBのMTTR 28時間

情報システムAの方が時間が短いため、保守性は情報システムAの方が高いという評価になります。

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03

RASISに関する問題です。RASISの問題は選択肢すべてを計算しなければいけない出題もあり、手間がかかることが多いです。

 

本問については計算が必要な選択肢は実質1つだけですが、安全性と保全性について計算式があるのかどうか(ないと断定できるか=不適切な選択肢であると判断できるか)について考えてしまうと余計な時間を消費させられてしまい、その分だけ手間がかかる厄介な内容です。

選択肢1. 安全性は、システムAの方がシステムBよりも優れている。

安全性を評価する指標はなく、システムAとBの優劣を判断することはできないため不適切な選択肢です。

選択肢2. 可用性は、システムAの方がシステムBよりも優れている。

可用性(Availability)は、稼働率を用いて評価します。稼働率は、MTBF÷(MTBF+MTTR)により求まります。

数値が高いほど、可用性が優れています。

 

与件文より、

情報システムAは480÷(480+20)=0.96

情報システムBは532÷(532+28)=0.95

 

以上から、可用性はシステムAの方がシステムBよりも優れているため正解の選択肢となります。

選択肢3. 信頼性は、システムAの方がシステムBよりも優れている。

信頼性(Reliability)は、平均故障間隔(MTBF)を用いて評価します。平均故障間隔が長い(大きい)ほど稼働時間が長いことを意味するため、優れています。

 

与件文で既に平均故障間隔は与えられており、信頼性はシステムBの方がシステムAよりも優れている(532時間>480時間)ため不適切な選択肢です。

 

※MTBF=Mean Time Betwenn Failures

「製品やシステムが直近に故障してから、次に故障するまでの正味時間(前の故障と次の故障の間の時間)」という意味です。

前の故障と次の故障の間は正常に稼働していますので、平均故障間隔は長ければ長いほうが好ましいです。

選択肢4. 保全性は、システムAの方がシステムBよりも優れている。

保全性(完全性)を評価する指標はなく、システムAとBの優劣を判断することはできないため不適切な選択肢です。

まとめ

【補足】

 

冒頭の解説で述べたようにRASISは手間がかかることが多いため、2分以内で正解の選択肢を特定することができた場合は、時間を節約するために他の選択肢が残っていても次の問題に進んでください。(すべての選択肢を計算しなければならない問題設定の場合は、2分以内では処理し切れない可能性が出てきます)

 

すべての選択肢を解かないと心配になると思いますが、見直しの時間で残りの選択肢を確認すれば十分です。

 

試験時間60分で25マーク対応しないといけない場合、1マークを2分以内に解けば25マークを50分以内に処理できます。見直しの時間を最低10分は確保できます。そのため、2分までで正解が特定できなくても次の問題に対応しなければ、見直しの時間が減ることになります。

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