中小企業診断士 過去問
令和2年度(2020年)
問24 (経済学・経済政策 問24)

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問題

中小企業診断士試験 令和2年度(2020年) 問24(経済学・経済政策 問24) (訂正依頼・報告はこちら)

夫婦による家事分担は重要である。会社員の太郎さんと主婦の花子さんには、夕方の家事に関して「協力する」「相手に任せる」という選択肢がある。
2人がともに「協力する」場合、楽しく家事ができ、お互いの負担を大きく減らすことができるので、ともに30の利得が得られる。また、どちらか一方が「相手に任せる」場合は、任せた方は苦労がなく50の利得が得られるが、1人で家事を行う方は−30と大きい負担となる。さらに、お互いに「相手に任せる」場合は、結果として2人が嫌々家事をすることになるので、ともに−10となる。
下表は、以上の説明を、利得マトリックスにまとめたものである。マトリックスの左側が太郎さんの利得、右側が花子さんの利得である。下表に関する記述として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
問題文の画像
  • 太郎さんと花子さんには、共通の支配戦略がある。
  • 太郎さんと花子さんは、お互いに異なる戦略をとると利得が増加する。
  • 太郎さんの最適反応は「相手に任せる」、花子さんの最適反応は「協力する」である。
  • ナッシュ均衡は、ともに「協力する」組み合わせである。

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この過去問の解説 (3件)

01

ゲーム理論に関しての出題です。

1 正しい 

 共通の支配戦略は「相手に任せる」です。両者にとって、相手がどちらの戦略をとっても利得が最大になるものが支配戦略です。

2 間違い 

 太郎さん、花子さんの両者にとって「相手に任せる」戦略を取る方が利得が大きくなります。

3 間違い

 太郎さん、花子さんの両者にとって「相手に任せる」戦略を取る方が利得が大きくなります。

4 間違い

 ナッシュ均衡はともに「相手に任せる」ことです。

よって、正解は1です。

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02

ナッシュ均衡に関する問題です。

ナッシュ均衡とは、すべてのゲーム参加者が一定のルールの下で、自らの利得が最大になる最適な戦略をお互いに選択し合っている状態のことを言います。

また支配戦略とは、ゲームの参加者が他者の動向に関係なく、自らの利得が最大になるように戦略をとりあっている状態を言います。

これを踏まえて選択肢の内容を検討します。

①太郎さん、花子さんにとっての支配戦略は「相手に任せる」ことです。

②太郎さん、花子さんにとっては、お互いに同じ戦略をとるほうが利得が高くなります。

③太郎さん、花子さんとも、最適反応は「相手に任せる」ことです。

④ナッシュ均衡になるのはお互いに「相手に任せる」ことです。

選択肢1. 太郎さんと花子さんには、共通の支配戦略がある。

正解です。

選択肢2. 太郎さんと花子さんは、お互いに異なる戦略をとると利得が増加する。

冒頭の説明より誤りです。

選択肢3. 太郎さんの最適反応は「相手に任せる」、花子さんの最適反応は「協力する」である。

冒頭の説明より誤りです。

選択肢4. ナッシュ均衡は、ともに「協力する」組み合わせである。

冒頭の説明より誤りです。

まとめ

ナッシュ均衡に関する問題でした。考え方をよく整理しておきましょう。

参考になった数14

03

ゲーム理論に関する問題です。

 

与件文に書かれてあるように、太郎さん(左側)、花子さん(右側)ともに自分にとって利得が大きい(数字が大きい)方を選べば良いだけです。それを示したものが下図になります。

 

【太郎さんの戦略】

花子さんが「協力する」を選択した場合、太郎さんは「相手に任せる」と50の利得があります。

花子さんが「相手に任せる」を選択した場合、太郎さんは「相手に任せる」と-10の利得があります。

→花子さんがどちらの戦略を採っても、太郎さんは「相手に任せる」戦略を採る方が良いです。(このことを「支配戦略」といいます)

 

【花子さんの戦略】

太郎さんが「協力する」を選択した場合、花子さんは「相手に任せる」と50の利得があります。

太郎さんが「相手に任せる」を選択した場合、花子さんは「相手に任せる」と-10の利得があります。

→太郎さんがどちらの戦略を採っても、花子さんは「相手に任せる」戦略を採る方が良いです。(このことを「支配戦略」といいます)

支配戦略以外に、各解答群で挙げられている用語について解説します。

 

・最適反応

自分の利得が最大化するような戦略を採る(数値が最も大きい戦略を採る)ことです。

 

・ナッシュ均衡

お互いに最適反応を採り合っている状態です。

選択肢1. 太郎さんと花子さんには、共通の支配戦略がある。

冒頭の解説より、太郎さんも花子さんも「相手に任せる」戦略をとると利得が最大化するため、共通の支配戦略があり正解の選択肢となります。

選択肢2. 太郎さんと花子さんは、お互いに異なる戦略をとると利得が増加する。

冒頭の解説より、太郎さんも花子さんもお互いに異なる戦略をとると利得は増加しないため、不適切な選択肢です。

選択肢3. 太郎さんの最適反応は「相手に任せる」、花子さんの最適反応は「協力する」である。

太郎さんの最適反応は「相手に任せる」、花子さんの最適反応も「相手に任せる」であるため不適切な選択肢です。

選択肢4. ナッシュ均衡は、ともに「協力する」組み合わせである。

ナッシュ均衡は、ともに「相手に任せる」組み合わせであるため不適切な選択肢です。

まとめ

【補足】

 

ゲーム理論は毎年出題される論点ではありませんが、冒頭の解説にあるように自分にとって利得が大きい(数字が大きい)方を選べば良いだけなので特段難しいわけではありません。

 

マトリックスの見方が分かれば間違うことはないため、過去問題を使ってマトリックスの見方を身に付けてください。(最初から解答を見ても構いません)

マトリックスの見方が分かれば、他の過去問題を使ってマトリックスの見方が正しいか、確実に正答できるかどうかを確認してください。

 

※ゲーム理論に限らず、毎年出題されるわけではない論点は最初から解答を見て、自分にとって理解しやすい論点かどうかをまず確認します。理解しにくいと判断した場合には、毎年出題される他の頻出論点を優先的に解けるようにした方が得点を上げやすいです。

(毎年出題される頻出論点は模試などでも出題される可能性が高く、自分の理解力を試す機会も多く得られます)

 

※毎年出題されるわけではない論点でも、受験する年によって本試験で出題される可能性は7科目すべてにありますが、7科目の出題領域全てをフォローする時間的な余裕はありません。7科目の出題領域全てをフォローしようとすると、どの論点の理解も中途半端になります。

 

中小企業の経営と同様、「全方位戦略」ではなく経営資源(=学習時間)を自社の企業ドメイン(=頻出論点)に集中させる「選択と集中」戦略が効果的です。(「全方位戦略」は、経営資源が潤沢にある大企業に適した経営戦略です)

 

60点を取れば科目合格できるので、日頃から毎年出題される頻出論点を中心に60点取れる学習をしておけば、どのような問題構成であっても心配になることはないはずです。

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