中小企業診断士の過去問
令和2年度(2020年)
企業経営理論 問37

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問題

中小企業診断士試験 第1次試験 企業経営理論 令和2年度(2020年) 問37 (訂正依頼・報告はこちら)

次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。

 企業は、ブランド・エクイティを創出し、維持し、強化するために、自社ブランドの市場状況と製品状況を考慮しながらブランド戦略を展開している。その成果を示す1つの指標が、毎年、ブランド価値評価の専門会社から発表される企業ブランド価値ランキングであり、それはランキングが上位であるほど強いブランドであることを示している。

文中の下線部②に関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • 近年のグローバル版の企業ブランド価値ランキングではGAFAのようなIT企業ブランドが存在感を増す中、日本版の企業ブランド価値ランキングでもモノを中心に据えたブランドではなく、IT企業ブランドが上位を占めている。
  • 消費者のブランド選択は、想起集合に含まれる比較的少数のブランドの中から行われる。しかし、近年のブランド数の増加に伴い想起集合サイズは大きくなっているため、強いブランドが想起集合にとどまることは以前より容易になっている。
  • 成分ブランディングは自社ブランドの品質評価を高める有効な方法である。強いブランドほど、採用した成分ブランドによって良いイメージが生まれるため、1つの成分ブランドを採用する。
  • 同等の製品でも、強いブランドを付した製品は高値で取引されたり売上数量が増加したりするなど、ブランドには顧客の知覚を変化させる機能があり、他のブランドとの違いを生み出す原動力となっている。
  • ブランド・エクイティとは、「同等の製品であっても、そのブランド名が付いていることによって生じる価値の差」であり、多くのブランド連想を有するほどブランド・エクイティは高くなる。

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この過去問の解説 (3件)

01

ブランド価値に関する出題です。

各選択肢については、以下のとおりです。

1 :誤りです。

国内のブランド価値ランキングはIT企業でなく、自動車メーカーなどが上位を占めています。

2 誤りです。

想起集合はブランド数の増加に伴って、サイズは大きくなるとは限りません。また、情報が増えていく中で想起集合にとどまることは容易ではありません。

3 :誤りです。

成分ブランディングは、必ずしも1つの成分で行う必要はありません。

4 :正解です。

その通りです。

5:誤りです。

ブランド・エクイティとは、ブランドの資産価値のことです。また、多くのブランド連想を有するほどブランド・エクイティは高くなる訳ではありません、ポジティブなブランド連想を有するほどブランド価値は高くなります。


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02

ブランドに関する出題です。
選択肢の中から「最も適切なもの」を選択します。

1.誤っている。
国内のブランド価値ランキングは自動車メーカーなどが上位を占めており、「IT企業ブランドが上位を占めている。」の記述が誤りです。

2.誤っている。
「想起集合」とは、ある人がある目的を満たすために何かしらの商品を購入しようと考えたときに、頭に浮かぶ(想起される)好意的な商品・ブランドの集合体のことです。当然にブランド戦略としては想起集合に入る(入りやすくなる)ことが重要となります。
ブランド数(消費者の選択肢)が増えたからといって想起集合のサイズが大きくなるというものではなく、一般的には1つのカテゴリーに1~3つ程度と考えられています。
また、新商品・新技術の台頭でカテゴリー内での競争が激しさを増すのはいうまでもなく、想起集合に留まることは容易ではありません。

3.誤っている。
「成分ブランディング」とは最終製品を構成する材料や部材、成分などのブランドを利用したブランディングのことです。1つの製品に対して複数のブランドが共存することも十分ありえます。

4.正しい。

正しい記述です。

5.誤っている。
「ブランド・エクイティ」とはブランドが持つ資産的価値のことです。「そのブランド名が付いていることによって生じる価値の差」のことではありません。

よって、選択肢4.が正答となります。

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03

ブランドに関する問題です。

 

各選択肢の日本語の記述からだけでも、正答することは十分可能な内容です。

選択肢1. 近年のグローバル版の企業ブランド価値ランキングではGAFAのようなIT企業ブランドが存在感を増す中、日本版の企業ブランド価値ランキングでもモノを中心に据えたブランドではなく、IT企業ブランドが上位を占めている。

日本版の企業ブランド価値ランキングでもモノを中心に据えたブランドはあり、IT企業ブランドだけが上位を占めているわけではありません

 

モノを中心に据えたブランドでは、自動車メーカーではトヨタ、アパレルではファーストリテイリング(ユニクロ)があります。

選択肢2. 消費者のブランド選択は、想起集合に含まれる比較的少数のブランドの中から行われる。しかし、近年のブランド数の増加に伴い想起集合サイズは大きくなっているため、強いブランドが想起集合にとどまることは以前より容易になっている。

近年のブランド数の増加に伴い想起集合サイズは大きくなっているわけではありません。また、強いブランドが想起集合にとどまることは以前より容易になっているわけでもありません

 

想起集合とは購入(選択)における好意的な選択肢の集合体を意味しますが、ブランド数が増加しても好意的な選択肢はある程度限られます。あるブランドに好意的なイメージを持っている場合に、全く知らないブランドを選択する(このことをブランド・スイッチといいます)ことは考えにくいからです。

 

そのため、ブランド数が増加しているのであれば強いブランドが想起集合にとどまることは以前より難しくなるものと考えられます。

選択肢3. 成分ブランディングは自社ブランドの品質評価を高める有効な方法である。強いブランドほど、採用した成分ブランドによって良いイメージが生まれるため、1つの成分ブランドを採用する。

強いブランドほど採用した成分ブランドによって良いイメージが生まれますが、1つの成分ブランドを採用するわけではありません(複数の成分ブランドを採用することもあります)。

選択肢4. 同等の製品でも、強いブランドを付した製品は高値で取引されたり売上数量が増加したりするなど、ブランドには顧客の知覚を変化させる機能があり、他のブランドとの違いを生み出す原動力となっている。

正解の選択肢となります。

選択肢5. ブランド・エクイティとは、「同等の製品であっても、そのブランド名が付いていることによって生じる価値の差」であり、多くのブランド連想を有するほどブランド・エクイティは高くなる。

ブランド・エクイティとは、「同等の製品であっても、そのブランド名が付いていることによって生じる価値そのもの」であり、その価値の差ではありません(他のブランドとの比較によって生まれるものではありません)。

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