中小企業診断士の過去問
令和2年度(2020年)
企業経営理論 問39

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問題

中小企業診断士試験 第1次試験 企業経営理論 令和2年度(2020年) 問39 (訂正依頼・報告はこちら)

パッケージ・デザインに関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • 多くのパッケージ・デザインにおいて蓋は左に回せば開くようになっているように、パッケージでは人にある行動を自然に起こさせるアフォーダンスが重視される。しかしコモディティ化が進む中、アフォーダンスとは異なる新しい使い方の提案は、パッケージを通して差別化を図り、価値を高めやすい。
  • 消費者がブランドに対して抱くイメージに対してパッケージ・カラーは強く影響を与えるため、食品パッケージの色を濃くすることによって濃い味の商品であることを伝達することができる。しかし、パッケージ・カラーの色の濃さが、実際の商品の味覚にまで影響することはない。
  • 脳の半球優位性に基づくと、パッケージにおいて画像は右に、文字は左に配置したほうが商品の評価を高めることができるため、このルールはほとんどのパッケージ・デザインで採用されている。
  • パッケージにおける便宜価値は、開けやすい、使いやすい、持ちやすい、捨てやすいといったパッケージの改良によって高めることができる一方、感覚価値は、パッケージ・デザインに対する情緒面の感覚が中身にまで移るような感覚転移の効果を生じさせることによって高めることができる。
  • ブランドを他の文化圏へ拡張する際に、パッケージがブランド・エクイティの維持や活用にどの程度役割を果たすかという点で評価される基準は、防御可能性と呼ばれる。パッケージ上のネームやカラーは、拡張先の特徴や文化的意味合いを考慮しながら移転を進める必要がある。

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この過去問の解説 (3件)

01

パッケージ・デザインに関する出題です。

選択肢の中から「最も適切なもの」を選択します。

1.誤っている。

「アフォーダンス」とは、デザインや形状、材質などがその製品自体の扱い方の情報を発信している、という考え方です。

アフォーダンスとは異なる新しい使い方の提案をすることが、必ずしも差別化や価値向上に繋がるという単純なものではなく、消費者に対して逆に受け入れにくさ(使い勝手の悪さ)を与えてしまうことも考えられます。

2.誤っている。

色彩心理効果は人の味覚や嗅覚にも影響を及ぼすといわれています。

3.誤っている。

一般的に左脳には言語中枢、右脳には図形・映像認識や情報処理に関係が深いとされています。

「脳の半球優位性」によれば、左脳は右側からの知覚、右脳は左側からの知覚に優れているので、画像は左に、文字は右に配置したほうがよいです。

また、これがほとんどのパッケージ・デザインで採用されているとまではいえません。

4.正しい。

「便宜価値(機能的価値)」と「感覚価値(情緒的価値)」について、正しい記述といえます。

5.誤っている。

「防御可能性」とは、そのブランドの要素を法的にどこまで保護できるか、競合に対してどこまで防御できるかを示すものです。設問の記述は「移転可能性」に関するものです。

よって、選択肢4が正答となります。

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02

パッケージ・デザインに関する問題です。

各選択肢については、以下のとおりです。

1:誤りです。

アフォーダンスとは異なる新しい使い方の提案は、必ずしもプラスにはなりません。

使いづらさを与える原因にもなります。

2誤りです。

パッケージ・カラーの色の濃さが、実際の商品の味覚にまで影響することも考えられます。

3誤りです。

ほとんどのパッケージ・デザインで採用されている訳ではありません。

4:正解です。

その通りです。

5:誤りです。

防御可能性ではなく移転可能性です。防御可能性とはブランド要素の選択基準の一つで法律上および競争上の観点で防御できるかどうかのことをいいます。


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03

パッケージ・デザインに関する問題です。

 

各選択肢の文章量が多く正誤判断に時間はかかりますが、日本語の記述だけでも正答することは十分可能です。

選択肢1. 多くのパッケージ・デザインにおいて蓋は左に回せば開くようになっているように、パッケージでは人にある行動を自然に起こさせるアフォーダンスが重視される。しかしコモディティ化が進む中、アフォーダンスとは異なる新しい使い方の提案は、パッケージを通して差別化を図り、価値を高めやすい。

コモディティ化が進む中、アフォーダンスとは異なる新しい使い方の提案は、パッケージを通して差別化を図り、価値を高めやすくはなりません

 

前半の記述は正しいため、コモディティ化が進む中でアフォーダンスとは異なる新しい使い方の提案を行なうことは、差別化を図るどころか逆に価値を下げてしまう可能性があります。

選択肢2. 消費者がブランドに対して抱くイメージに対してパッケージ・カラーは強く影響を与えるため、食品パッケージの色を濃くすることによって濃い味の商品であることを伝達することができる。しかし、パッケージ・カラーの色の濃さが、実際の商品の味覚にまで影響することはない。

パッケージ・カラーの色の濃さが、実際の商品の味覚にまで影響することがあります

 

選択肢3. 脳の半球優位性に基づくと、パッケージにおいて画像は右に、文字は左に配置したほうが商品の評価を高めることができるため、このルールはほとんどのパッケージ・デザインで採用されている。

パッケージにおいて画像は右に、文字は左に配置したほうが商品の評価を高めることができるわけではなく、このルールはほとんどのパッケージ・デザインで採用されているわけでもありません

選択肢4. パッケージにおける便宜価値は、開けやすい、使いやすい、持ちやすい、捨てやすいといったパッケージの改良によって高めることができる一方、感覚価値は、パッケージ・デザインに対する情緒面の感覚が中身にまで移るような感覚転移の効果を生じさせることによって高めることができる。

正解の選択肢となります。

選択肢5. ブランドを他の文化圏へ拡張する際に、パッケージがブランド・エクイティの維持や活用にどの程度役割を果たすかという点で評価される基準は、防御可能性と呼ばれる。パッケージ上のネームやカラーは、拡張先の特徴や文化的意味合いを考慮しながら移転を進める必要がある。

ブランドを他の文化圏へ拡張する際に、パッケージがブランド・エクイティの維持や活用にどの程度役割を果たすかという点で評価される基準は、移転可能性と呼ばれます。

 

移転可能性という用語を知らなかったとしても、「ブランドを他の文化圏へ拡張する」ことが「防御可能性」であるという記述には整合性がないため、選択肢から排除することができれば十分です。

まとめ

【補足】

 

選択肢中にある「脳の半球優位性」とは、右半球は空間認識、図形認識、音楽的能力に優れており、左半球は言語機能、計算能力に優れているというものですが、試験によく出てくる用語ではありませんので、試験対策上、暗記する必要はないと思われます。

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