中小企業診断士の過去問
令和2年度(2020年)
運営管理 問12

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問題

中小企業診断士試験 第1次試験 運営管理 令和2年度(2020年) 問12 (訂正依頼・報告はこちら)

ある工場では、3台の機械を用いて2種類の製品X、Yの生産が可能である。下表には、製品を1単位生産するのに必要な各機械の工数と製品を1単位生産して得られる単位利益、および現状で使用可能な各機械の工数が示されている。また、下図は、下表に示した各機械における使用可能工数の制約を図示したものである。
総利益が最も高くなる方策として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
問題文の画像
  • 機械Aの使用可能工数を現状から4引き上げて6とする。
  • 機械Bの使用可能工数を現状から4引き上げて12とする。
  • 機械Cの使用可能工数を現状から4引き上げて16とする。
  • 機械Bの使用可能工数を現状から2引き上げて10、機械Cの使用可能工数を現状から2引き上げて14とする。

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この過去問の解説 (3件)

01

「線形計画法」に関する出題です。
「線形計画法」とは、2つ以上の製品を生産できる前提で、企業は何をどれだけ生産すれば総利益が最大化するかを検討する際に用いる手法で「リニア・プログラミング(LP)」とも呼ばれます。
単位利益(限界利益)が大きい製品の生産量を増やすことで総利益は効率的に拡大することが出来るため、その値が大きい製品の生産量から検討を行うことが基本原則となります。
本問の場合は選択肢に各機械の使用可能工数変更の条件がありますので、それぞれのパターンで計算を行い、総利益が最大化するものを探していきます。

また、計算を行う上での共通の条件として製品Xの生産数量をX,製品Yの生産数量をYとし、製品Xの単位利益をα、製品Yの単位利益をβとします。

選択肢1.について
機械Aの使用可能工数を現状から4引き上げて6とした場合を検討します。
機械A:X≦6
機械B:2Y≦8 → Y≦4
機械C:4X+2Y≦12 → Y≦-2X+6
上記の方程式を図に落とし込んでそれぞれが交わる点ごとの総利益を計算します。
①(X,Y) = (0,4) = 4β = 4 × 5 = 20
②(X,Y) = (1,4) = α + 4β = 1 × 3 + 4 × 5 = 23
③(X,Y) = (3,0) = 3α = 3 × 3 = 9
よって選択肢1,においては②のケース(製品X=1/製品Y=4)のときが最大利益が得られる組み合わせであり、総利益は23となります。

選択肢2.について
機械Bの使用可能工数を現状から4引き上げて12とした場合を検討します。
機械A:X≦2
機械B:2Y≦12 → Y≦6
機械C:4X+2Y≦12 → Y≦-2X+6
①(X,Y) = (0,6) = 6β = 6 × 5 = 30
②(X,Y) = (2,2) = 2α + 2β = 2 × 3 + 2 × 5 = 16
③(X,Y) = (3,0) = 2α = 2 × 3 = 6
よって選択肢2,においては①のケース(製品X=0/製品Y=6)のときが最大利益が得られる組み合わせであり、総利益は30となります。

選択肢3.について
機械Cの使用可能工数を現状から4引き上げて16とした場合を検討します。
機械A:X≦2
機械B:2Y≦8 → Y≦4
機械C:4X+2Y≦16 → Y≦-2X+8
上記の方程式を図に落とし込んでそれぞれが交わる点ごとの総利益を計算します。
①(X,Y) = (0,4) = 4β = 4 × 5 = 20
②(X,Y) = (2,4) = 2α + 4β = 2 × 3 + 4 × 5 = 26
③(X,Y) = (2,0) = 2α = 2 × 3 = 6
よって選択肢3,においては②のケース(製品X=2/製品Y=4)のときが最大利益が得られる組み合わせであり、総利益は26となります。

選択肢4.について
機械Bの使用可能工数を現状から2引き上げて10、機械Cの使用可能工数を現状から2引き上げて14とした場合を検討します。
機械A:X≦2
機械B:2Y≦10 → Y≦5
機械C:4X+2Y≦14 → Y≦-2X+7
上記の方程式を図に落とし込んでそれぞれが交わる点ごとの総利益を計算します。
①(X,Y) = (0,5) = 5β = 5 × 5 = 25
②(X,Y) = (1,5) = α + 5β = 1 × 3 + 5 × 5 = 28
③(X,Y) = (2,3) = 2α + 3β = 2 × 3 + 3 × 5 = 21
④(X,Y) = (2,0) = 2α = 2 × 3 = 6
よって選択肢4,においては②のケース(製品X=1/製品Y=5)のときが最大利益が得られる組み合わせであり、総利益は28となります。

以上より、選択肢2.の方策を採用した場合が、最も総利益が高くなることがわかります。


よって、選択肢2.が正答となります。

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02

「線形計画法」に関する出題です。

総利益をk=3X+5Y、つまり Y=-0.6X +k として下のグラフに追記し、kが最大になるようなXとYの組み合わせを選ぶと考えるとイメージしやすくなると思います。

1 :機械Aの使用可能工数を現状から4引き上げて6とする。

→Aの直線が X≦6となります。

2 :機械Bの使用可能工数を現状から4引き上げて12とする。

→Bの直線が Y≦6となります。

3 :機械Cの使用可能工数を現状から4引き上げて16とする。

→Cの直線が 4X+2Y≦16となります。

4:機械Bの使用可能工数を現状から2引き上げて10、機械Cの使用可能工数を現状から2引き上げて14とする。

Bの直線が Y≦5となり、Cの直線が 4X+2Y≦14となります。

それぞれのパターンでkが最大となるような(X,Y)を求めると、

選択肢2の(0,6)で最大値k=30となります。

よって2が正解となります。


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03

線形計画法を用いて、総利益が最も高くなる方策を問う問題です。

 

非常に時間がかかる問題であることから余った時間で対応することになりますが、図からは単位利益が高い製品Yを多く生産した方が良いということは読み取ることができます。

 

また、総利益が最も高くなる計算式としては、P(利益=Profit)=3X+5Yと求めることができます。

選択肢1. 機械Aの使用可能工数を現状から4引き上げて6とする。

機械Aの使用可能工数が6に引き上げられると、製品Xが1、製品Yが4の時に利益が最大となります。冒頭の解説にある計算式に代入すると、P=(3×1)+(5×4)=23となり、不適切な選択肢です。

選択肢2. 機械Bの使用可能工数を現状から4引き上げて12とする。

機械Bの使用可能工数が12に引き上げられると、製品Xが0、製品Yが6の時に利益が最大となります。冒頭の解説にある計算式に代入すると、P=(3×0)+(5×6)=30となり、正解の選択肢となります。

選択肢3. 機械Cの使用可能工数を現状から4引き上げて16とする。

機械Cの使用可能工数が16引き上げられると、製品Xが2、製品Yが4の時に利益が最大となります。冒頭の解説にある計算式に代入すると、P=(3×2)+(5×4)=26となり、不適切な選択肢です。

選択肢4. 機械Bの使用可能工数を現状から2引き上げて10、機械Cの使用可能工数を現状から2引き上げて14とする。

機械Bの使用可能工数が10、機械Cの使用可能工数が14にそれぞれ引き上げられると、製品Xが1、製品Yが5の時に利益が最大となります。冒頭の解説にある計算式に代入すると、P=(3×1)+(5×5)=28となり、不適切な選択肢です。

まとめ

【補足】

 

運営管理は試験時間が90分、40マーク以上出題される科目です。ちょうど40マークとすると3点×20マーク(60点)、2点×20マーク(40点)となります。

 

なお、本年の運営管理は44マーク出題されており、3点×12マーク(36点)、2点×32マーク(64点)と2点の配点が20マークも多く、2点の割合が6割以上となっています。

 

つまり、1問捨てても最大3点の失点になります(午前中の25マーク出題の科目では、4点の失点になります)。4点と1点という配点は考えにくく、余った時間が少なく適当にマークを付けて不正解だったとしても1マークを失う傷は小さくて済みます。

 

手数のかかる問題に時間を残すか、確実に得点できる問題を2問3問4問と積み重ねるかによってペース配分が異なるため、普段からご自身の中でイメージを持っておきましょう。

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