中小企業診断士の過去問
令和2年度(2020年)
運営管理 問19

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問題

中小企業診断士試験 第1次試験 運営管理 令和2年度(2020年) 問19 (訂正依頼・報告はこちら)

保全体制と保全費に関する記述として、最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。

a  故障が頻発しているような状況では費用の多くが故障の修復に使われるため、保全費のうちでは改良のための費用の比率が高い。
b  設備が安定稼働するようになると状態監視保全によって不具合の原因を事前に処置できるようになるため、事後保全費が下がる。
c  状態監視保全の結果の解析が進むと、時間計画保全の周期が短くなり、保全費全体は減少する。
d  設備保全活動に必要な費用で、設備の修理費、点検・検査にかかる保守費用、保全予備品の在庫費用等の総称が保全費である。
  • a と b
  • a と c
  • a と d
  • b と c
  • b と d

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この過去問の解説 (3件)

01

保全活動に関する出題です。

選択肢の中から「最も適切なもの」を選択します。

保全活動とは、設備や機械の性能を保つための「維持活動」と、過去の故障の実績から壊れにくい設備や設計に変える「改善活動」のことを指します。

この「維持活動」は故障を未然に防ぐために行う「予防保全」と、故障してから修理を行う「事後保全」に分かれ、さらに「予防保全」は定期的に検査等を行う「定期保全」と、設備の劣化傾向を管理し故障する前の最適な時期に最適なメンテナンスを行う「予知保全」に分かれます。

また、「改善活動」は壊れにくい設備への変更を行う「改良保全」と、計画・設計段階から故障を排除する作りをする「保全予防」に分かれます。

保全体制とは、これらの保全活動を行う体制のことであり、保全費は保全活動を行う際に発生する費用のことを指します。

この問題は、それぞれの選択肢がどの保全活動にあたるのかを判断し、その活動にかかる費用との関係が正しいものかを判断することで正答を選ぶことができます。

選択肢a. ・・・ 誤っている。

故障が頻発しているような状況においては、故障が起きたら修繕するという体制を取ることになります。このように、故障が発生した後に修理を行う保全体制を「事後保全」と呼びます。「事後保全」は「維持活動」に分類されます。

そのため、「改善活動」の比率が高いとしている設問は誤っていると判断できます。

選択肢b ・・・ 正しい。

設備が安定稼働している状況では、一定の監視下で必要に応じた保全を行う「状態監視保全」という体制を取ります。このような保全体制は「予知保全」に分類されます。

「予防保全」を行っている場合、故障を未然に防ぐことができるため、「事後保全」にかかる費用は下がります。そのため、この設問は正しいと判断できます。

選択肢c ・・・ 誤っている。

「時間計画保全」は定期的にメンテナンスを行う保全手法であり「定期保全」に分類されます。「状態監視保全」の結果の解析が進むと、故障等の劣化の傾向がわかるため、頻繁にメンテナンスを行う必要がなくなります。そのため、「時間計画保全」の周期は「短く」する必要がなくなり「長く」なるため、保全費全体は減少します。そのため、この設問は間違っていると判断できます。

選択肢d ・・・ 正しい。

記述の通りです。保全費とは、設備の性能を維持させるための「維持活動」に関する費用と、設備の性能劣化を改善する「改善活動」に関する費用を指します。そのため、設備の修理費、点検・検査にかかる保守費用、保全予備品の在庫費用等の総称が保全費であるという記述は正しいと判断できます。

上記により、選択肢bとdが正しい組み合わせとなるため、選択肢5が正答となります。

参考になった数9

02

保全活動に関する出題です。

選択肢の中から「最も適切なもの」を選択します。

選択肢a. ・・・ 誤っている。
保全費には設備の性能を維持させるための「維持活動」に関する費用と、設備の性能劣化を改善する「改善活動」に関する費用とがあります。
故障が頻発しているような状況においては、その修復に使われる費用の目的は設備の性能を回復・維持させるものであるといえるため「維持活動」に関する費用の比率が高くなると考えられます。

選択肢b ・・・ 正しい。
「状態監視保全」とは予防保全の一種で、対象となる設備を一定の監視下におき、その故障兆候に基づき、その状態に合わせた設備の調整や部品交換など保全活動を実施することで安全を確保する保全手法のことです。設問記載の通り、不具合の原因を事前に処置できるようになるため、事後保全費は当然に下がることになります。

選択肢c ・・・ 誤っている。
「時間計画保全」とは予防保全の一種で、定期的に設備のメンテナンスを実施して安全を確保する保全手法のことです。
状態監視保全の結果の解析が進むと、故障の兆候が認められる設備の不具合原因を事前に対処することが出来るようになるため、時間計画保全の周期は「長く」なります。
保全費全体が減少するという記述は正しいです。

選択肢d ・・・ 正しい。
記述の通りです。保全費には設備の性能を維持させるための「維持活動」に関する費用と、設備の性能劣化を改善する「改善活動」に関する費用とがあり、設備の修理費、点検・検査にかかる保守費用、保全予備品の在庫費用等がこれにあたります。

選択肢b.とd.が正しい組み合わせになります。
よって、選択肢5.が正答となります。

参考になった数3

03

保全体制と保全費に関する問題です。一部、費用区分の内容が問われている選択肢があり、難易度はやや高めです。

 

与件文に「最も適切なものの組み合わせ」とありますので、適切な記述の解答群が複数ある問題設定であることをまず確認しておきましょう。

確実に正解だと判断できる解答群を1つ見つけることができれば、組み合わせのペアになっている解答群に絞って正誤判断を行います(例えば、cが正解だと判断したらdは見ません)。

 

確実に正解だと判断できる解答群が見つかった場合に限られますが、この方法で多少は時間を節約することができます。

 

以下、誤りの解答群のみ解説します。

a. 故障が頻発しているような状況では費用の多くが故障の修復に使われるため、保全費のうちでは改良のための費用の比率が高い。→改良のための費用の比率は低くなります。
c. 状態監視保全の結果の解析が進むと、時間計画保全の周期が短くなり、保全費全体は減少する。

→時間計画保全の周期が長くなります。

選択肢1. a と b

不適切な選択肢です。

選択肢2. a と c

不適切な選択肢です。

選択肢3. a と d

不適切な選択肢です。

選択肢4. b と c

不適切な選択肢です。

選択肢5. b と d

正解の選択肢となります。

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