中小企業診断士の過去問
令和2年度(2020年)
経営法務 問7

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問題

中小企業診断士試験 第1次試験 経営法務 令和2年度(2020年) 問7 (訂正依頼・報告はこちら)

以下の会話は、X株式会社(以下「X社」という。)の取締役甲氏と、中小企業診断士であるあなたとの間で行われたものである。この会話を読んで、下記の設問に答えよ。
なお、X社は、会社法上の大会社ではなく、かつ公開会社ではない。

甲氏:「X社は、これまで、私一人が取締役として事業を行っていましたが、今後、会社を大きくしたいので、まず手始めに取締役の人数を増やしたいと思っています。株式会社の機関設計には、いろいろな組み合わせがあると聞いて悩んでいます。どうしたらよいでしょうか。」
あなた:「取締役会を設置するかについては、どのように考えていますか。」
甲氏:「取締役会を設置したいと考えています。」
あなた:「そうすると、X社では、取締役会を設置するということなので、[ A ]。監査役については、何か考えていますか。」
甲氏:「まだ、どうしたらいいのか決めていません。どうすればよいですか。」
あなた:「会計参与や会計監査人を置くことは考えていますか。」
甲氏:「いいえ。知り合いの会社でも会計参与や会計監査人は置いていないと聞きましたので、X社でも、置かないこととしたいです。」
あなた:「現在、X社の定款では、全ての株式の譲渡には株主総会の承認を必要とすると定めていますが、これを変更することは考えていますか。」
甲氏:「取締役会を設ける予定のため、全ての株式の譲渡制限については、取締役会の承認を必要とするという定款の定めに変更しようと思っています。」
あなた:「これまでのお話をまとめると、今後、X社は、取締役会を設置する、会計参与や会計監査人は設置しない、定款で全ての株式に譲渡制限に関する定めを置くという会社にするということでよいですか。」
甲氏:「はい、そうです。」
あなた:「そうすると、X社では、[ B ]。」

会話の中の空欄Bに入る記述として、最も適切なものはどれか。
  • 監査役会を設置しない場合、定款の定めにより、監査役の権限を会計監査に関する事項に限定することができます
  • 監査役会を設置する場合には、監査役は3人以上必要ですが、社外監査役を置く必要はありません
  • 監査役を置く代わりに、指名委員会等設置会社にして監査委員を置いたり、監査等委員会設置会社にして監査等委員を置くことができます
  • 監査役を設置しないこともできます

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この過去問の解説 (3件)

01

会話の中の空欄を埋める問題です。

選択肢1. 監査役会を設置しない場合、定款の定めにより、監査役の権限を会計監査に関する事項に限定することができます

正しいです。

会社法389条の定めの通りです。

選択肢2. 監査役会を設置する場合には、監査役は3人以上必要ですが、社外監査役を置く必要はありません

誤りです。

監査役会設置会社では監査役は3人以上必要で、半数以上は社外監査役である必要があります。

選択肢3. 監査役を置く代わりに、指名委員会等設置会社にして監査委員を置いたり、監査等委員会設置会社にして監査等委員を置くことができます

誤りです。

X社が委員会等設置会社になるためには会計監査人を置く必要があります。

選択肢4. 監査役を設置しないこともできます

誤りです。

取締役会設置会社は委員会等設置会社を除き監査役の設置が必要です。

参考になった数18

02

監査役および監査役会に関する問題です。

選択肢1. 監査役会を設置しない場合、定款の定めにより、監査役の権限を会計監査に関する事項に限定することができます

適切です。

会社法第389条で「その監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨を定款で定めることができる。」と定められています。

選択肢2. 監査役会を設置する場合には、監査役は3人以上必要ですが、社外監査役を置く必要はありません

不適切です。

3名以上の監査役で構成され、その構成員の半数以上は社外監査役でなければいけません。

選択肢3. 監査役を置く代わりに、指名委員会等設置会社にして監査委員を置いたり、監査等委員会設置会社にして監査等委員を置くことができます

不適切です。

取締役会設置会社では、会計参与を置かない場合、監査役を置かなければいけません。

選択肢4. 監査役を設置しないこともできます

不適切です。

取締役会設置会社は、監査役を置かなければいけないと定められています。

参考になった数11

03

株式会社の機関設計(取締役会設置会社かつ、譲渡制限株式会社)に関する問題です。

 

経営法務特有の会話形式の問題となっており、文章をすべて読んでいると時間がかかってしまいます。本問に関しては取締役会設置会社かつ、譲渡制限株式会社の要件が分かれば正答できますので、空欄Bの少し前の「これまでのお話をまとめると~」から読めば対応可能です。

 

なお、与件文の「X社は、会社法上の大会社ではなく、かつ公開会社ではない」という制約条件も、必ずおさえておいて下さい。特に本問においてはX社が取締役会設置会社かつ、譲渡制限株式会社であるため、制約条件の設定次第で正解が異なる可能性があります。

選択肢1. 監査役会を設置しない場合、定款の定めにより、監査役の権限を会計監査に関する事項に限定することができます

正解の選択肢となります。

選択肢2. 監査役会を設置する場合には、監査役は3人以上必要ですが、社外監査役を置く必要はありません

監査役会を設置する場合には、監査役は3人以上必要であり、その半数以上は社外監査役である必要があります

 

つまり、監査役を最低限の3人とする場合は、社外監査役を2名としなければなりません。

選択肢3. 監査役を置く代わりに、指名委員会等設置会社にして監査委員を置いたり、監査等委員会設置会社にして監査等委員を置くことができます

与件文の「X社は、会社法上の大会社ではなく、かつ公開会社ではない」という制約条件があるため、指名委員会等設置会社や監査等委員会設置会社にすることはできません

選択肢4. 監査役を設置しないこともできます

X社は取締役会設置会社かつ、譲渡制限株式会社であるため、監査役の設置が必須となります。

まとめ

【補足】

 

本問では問われていませんが、「公開会社ではない」ということは「譲渡制限株式会社である」ことと同じです。また、会社の株式を1株でも譲渡制限株式にしていれば、その会社は譲渡制限株式会社となります。

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