中小企業診断士の過去問
令和2年度(2020年)
中小企業経営・中小企業政策 問30

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問題

中小企業診断士試験 第1次試験 中小企業経営・中小企業政策 令和2年度(2020年) 問30 (訂正依頼・報告はこちら)

中小企業の経営者であるA氏は、後継者に事業を円滑に引き継ぎたいと考えている。中小企業診断士のB氏は、「経営承継円滑化法」による総合的支援をA氏に紹介することとした。
以下は、A氏とB氏との会話である。

B氏:「後継者に事業を承継する場合などに、経営承継円滑化法に基づき、事業承継の円滑化に向けた支援を受けることができます。」
A氏:「どのような支援を受けることができるのでしょうか。」

文中の下線部に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
  • 遺留分に関する民法の特例
  • 事業再編、事業統合を含む経営者の交代を契機として経営革新を行う場合、その取り組みに要する経費の3分の1補助
  • 事業承継に伴う多額の資金ニーズが生じている場合、都道府県知事の認定を受けることを前提として、信用保険の別枠化による信用保証枠の実質的な拡大
  • 都道府県知事から経営承継円滑化法の認定を受けた場合、相続税・贈与税の納税の猶予・免除

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この過去問の解説 (3件)

01

最も不適切なもの」を選択させる問題です。

事業承継そのものは頻出論点ですが、本問は正誤判断が難しいと思われる内容のため、最も不適切なものを選択させる設定にしている可能性があります。

選択肢1. 遺留分に関する民法の特例

遺留分に関する民法の特例があります。

選択肢2. 事業再編、事業統合を含む経営者の交代を契機として経営革新を行う場合、その取り組みに要する経費の3分の1補助

経費の2分の1補助です。

選択肢3. 事業承継に伴う多額の資金ニーズが生じている場合、都道府県知事の認定を受けることを前提として、信用保険の別枠化による信用保証枠の実質的な拡大

信用保険の別枠化による信用保証枠の実質的な拡大を受けることが出来ます。

選択肢4. 都道府県知事から経営承継円滑化法の認定を受けた場合、相続税・贈与税の納税の猶予・免除

相続税・贈与税の納税の猶予・免除を受けることが出来ます。

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02

経営承継円滑化法につていの出題です。

同法は事業承継に伴う税負担の軽減や民法上の遺留分への対応をはじめとする事業承継円滑化のための総合的支援策を講ずるための法律です。

以下の4つの支援措置を受けられます。

・事業承継税制

・遺留分に関する民法の特例

・金融支援

・所定不明株主に関する会社法の特例

以上より、

1.正しい

後継者が、遺留分権利者全員との合意及び所要の手続を 経ることを前提に、遺留分に関する以下の特例を措置を受けられます。

①生前贈与株式等・事業用資産の価額を除外

②生前贈与株式等の評価額を予め固定

2.間違い

事業承継・引継ぎ補助金の支援内容です。

3.正しい

事業承継の際に必要となる資金について、都道府県知事の認定を受けることを前提に、以下の融資と信用保証の特例措置が受けられます。

①株式会社日本政策金融公庫法及び沖縄振興開発金融公庫法の 特例(融資)

対象:中小企業者及びその代表者、事業を営んでいない個人

②中小企業信用保険法の特例(信用保証

対象:中小企業者の代表者、事業を営んでいない個人

4.正しい

事業承継に伴う税負担を軽減する以下の特例を措置受けられます。

①非上場株式等に係る贈与税・相続税の納税猶予制度

②個人の事業用資産に係る贈与税・相続税の納税猶予制度

よって、正解は2

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03

経営承継円滑化法での支援を簡単にまとめると以下のようになります。

 

1.税制支援(贈与税、相続税の納付猶予及び免除)

2.金融支援

3.遺留分に関する民法の特例

4.所属不明株主に関する会社法の特例

 

上記をふまえて各選択肢をそれぞれ解説します。

選択肢1. 遺留分に関する民法の特例

支援の一つであるため本選択肢は不正解です。

選択肢2. 事業再編、事業統合を含む経営者の交代を契機として経営革新を行う場合、その取り組みに要する経費の3分の1補助

経営承継円滑化法の支援措置ではないため、本選択肢が正解です。

選択肢3. 事業承継に伴う多額の資金ニーズが生じている場合、都道府県知事の認定を受けることを前提として、信用保険の別枠化による信用保証枠の実質的な拡大

経営承継円滑化法の支援措置ではないため、本選択肢は不正解です。

選択肢4. 都道府県知事から経営承継円滑化法の認定を受けた場合、相続税・贈与税の納税の猶予・免除

支援の一つであるため本選択肢は不正解です。

まとめ

税制支援、金融支援、所属不明株主に関する会社法の特例は各都道府県が認定を行い、遺留分に関する民法の特例は中小企業庁が確認を行なっています。

細かい論点ですがおさえておけるように学習しておきましょう。

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