中小企業診断士の過去問
令和3年度(2021年)
経済学・経済政策 問10

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問題

中小企業診断士試験 第1次試験 経済学・経済政策 令和3年度(2021年) 問10 (訂正依頼・報告はこちら)

完全資本移動の場合のマンデル=フレミング・モデルについて考える。下図において、IS曲線は生産物市場の均衡、LM曲線は貨幣市場の均衡、BP曲線は国際収支の均衡を表す。この経済は小国であるとする。変動相場制のケースでの経済政策に関する記述として、最も適切な組み合わせを下記の解答群から選べ。

a  金融緩和政策は、資本が海外から自国に流入することにより、自国通貨高を生じさせる。
b  財政拡大政策は、資本が海外から自国に流入することにより、自国通貨高を生じさせる。
c  金融緩和政策は、輸出を増加させることを通じて、自国のGDPを増加させる効果を持つ。
d  財政拡大政策は、輸出を増加させることを通じて、自国のGDPを増加させる効果を持つ。
問題文の画像
  • aとc
  • aとd
  • bとc
  • bとd

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この過去問の解説 (3件)

01

マンデル=フレミング・モデルの問題です。

a 間違い

金融緩和政策 → LM曲線 下がる→ 利子率 下がる→ 資本流出 → 自国通貨安

b 正しい

財政拡大政策 → 国民所得 増加 → 利子率 上がる → 資本流入 → 自国通貨高

c 正しい

金融緩和政策 → 自国通貨安 → 輸出 増える → GDP 増える

d 間違い

財政拡大政策 → 自国通貨高 → 輸出 減る→ GDP 減少 

よって、bとcが正しいので正解は3

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02

【基礎知識】

マンデルフレミングモデルです。この問題を解くにはIS-LM分析が前提の知識になります。

BPは国際収支が均衡する点をプロットした曲線です。国際収支が均衡するとは、総合収支つまり、経常収支(輸出―輸入)と資本収支(利子率の関数、自国の利子率が高いと資本流入が増える)の合計が0になるということです。

資本移動が完全な場合は、利子率を他国よりも少しでも高くすると資本収支はなくなりますので、利子率に対して平行の曲線となります。逆に資本移動がない場合は垂直になります。

この状況で、金融政策、財政政策の効果を見ていきます。

金融緩和政策をとると、LM曲線は右にシフトします。結果、IS-LMの均衡点がBPよりも下、つまり利子率が低い状態になります。この状態では金利が低いため、自国通貨への需要が減り、為替は上がってしまいます。

一方で、利子率の低下は投資を促進し、IS曲線を右にシフトさせます。そしてBP、IS、LMが交わる均衡点まで移動することになります。この場合、GDPは増加し、金融緩和の有効であることがわかります。

次に財政拡大政策です。財政拡大政策はIS曲線を右にシフトさせます。その結果、利子率が高まり、国際収支は黒字になります。一方で利子率の上昇は投資の縮小を招き、IS曲線を左にシフトさせます。また、為替レートの上昇も輸出の減少、輸入の増加を招き、IS曲線を左にシフトさせ、結果的に元の交点に戻ってしまいます。

財政政策、金融政策の効果を固定相場制、変動相場制、資本移動の硬直・伸縮的で分けると

       固定相場制      変動相場制

資本市場  財政   金融    財政   金融

完全硬直  ×(無効) ×     〇    〇

完全伸縮  〇     ×     ×    〇

となります。有効(〇)・無効(×)とは、GDPの増加に寄与するかどうかの観点です。

【選択肢評価】

a 金融緩和は利子率の低下を招き、資本が流出するので誤り

b 正しい

c 利子率の低下は為替レートの低下を招き、輸出を増やす。よって正しい。

d 財政政策は利子率上昇→為替レートの上昇→輸出減、輸入増となるため誤り。

選択肢1. aとc

上記説明より、不適切です。

選択肢2. aとd

上記説明より、不適切です。

選択肢3. bとc

正解です。

選択肢4. bとd

上記説明より、不適切です。

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03

a:不適切です。金融緩和政策によりLM曲線が右方向に移動すると、利子率が低下しますので自国通貨安を生じさせます。

b:適切です。財政拡大政策により、所得や物価が上昇すると、自国通貨高につながります。

c:適切です。金融緩和政策により自国通貨安となると、輸出が増加します。

d:不適切です。財政拡大政策により自国通貨高となると、輸出は減少します。

 

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