中小企業診断士の過去問
令和3年度(2021年)
財務・会計 問3

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問題

中小企業診断士試験 第1次試験 財務・会計 令和3年度(2021年) 問3 (訂正依頼・報告はこちら)

備品( 取得日:2018年4月1日、取得原価:800,000円、償却方法:定率法( 償却率年25% )、記帳方法:間接法、決算日:3月31日 )が不要となり、2020年3月31日に除却した。なお、除却した備品の評価額は250,000円である。固定資産除却損として、最も適切なものはどれか。

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この過去問の解説 (3件)

01

固定資産の減価償却と除却についての出題です。

2018年4月1日に800,000円で購入した固定資産

1年目 2019年3月31日

減価償却費 800,000×25%=200,000

固定資産 800,000ー200,000=600,000

2年目 2020年3月31日

減価償却費 600,000×25%=150,000

固定資産 600,000ー150,000=450,000

2020年3月31日に除却

評価額 250,000

固定資産除却損 450,000ー250,000=200,000

よって正解は200,000円(3)

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02

【基礎知識】

除却損、減価償却に関する基本的な会計知識を問う内容です。

使わなくなった備品でも固定資産として帳簿に置いていると固定資産税などもかかってきます。そこで、帳簿から取り除くことをするのですが、これを除却と言います。厳密には物理的にその備品を処分する“廃棄”とは異なります。

次に減価償却ですが、備品などの中でも、多年度にわたって使うようなものがあります。例えば建物、パソコンなどもそうかと思います。初年度に購入し、現金は支払っているのですが、その効果が多年度にわたるため、費用収益対応の原則を踏まえ、多年度にわたって費用を計上していきます。その年度ごとにわたって計上していく費用を減価償却費と言います。そして費用を計上し、資産の価値を減らしていく(資産の簿価を下げていく)ことを償却と言います。

減価償却していく年数は資産によって定まっており、一定の率で減少させる定率法と、一定の額で減少させる定額法があります。今回の問いは定率法で関節法という前提ですので、それを踏まえます。

一連の流れを仕訳で追いかけるとわかりやすいかと思います。

①期首に備品を取得(例:現金で取得) ⇒償却率25%

  備品  10,000  現金  10,000

②初年度(2018年度)終了時

減価償却費 2,500  減価償却費累計額 2,500  

⇒償却率が25%ですので、10,000×25%が償却費となります。

このとき、備品を貸方に持ってきて、決算時に直接備品額を減らす方法を直接法と言います。

今回は減価償却費累計額という項目に減価償却費を積み上げていき、決算時も備品価格は取得時のままの金額が見え、減価償却費累計額が別途見える形になります。

③2年目(2019年度末)終了時

減価償却費 1,875  減価償却費累計額 1,875  

⇒償却率が25%ですが、備品の価値は1年目に償却されていますので、(10,000-2,500)×25%が償却費となります。

減価償却費累計額は2,500+1,875で4,375となります。この時の備品の簿価は10,000-4,375=5,625となります。除却(帳簿からなくす)する場合は簿価から時価に計算しなおし、貯蔵品勘定で処理を行います。

 減価償却費累計額 1,875   備品  10,000

 貯蔵品(時価)  2,000

 固定資産除却損  6,125

 仮に貯蔵品(時価)の評価額が2,000しかないとき、減価償却費累計額を足し合わせても備品価格と差が出ます。この時に固定資産除却損(評価額が低い場合)で調整をし、上記のような仕訳となります。

【選択肢評価】

仕訳をすると、

 減価償却費累計額  350,000    備品  800,000

 貯蔵品       250,000

となりますが、バランスしていないため、借方に固定資産除却損を追加します。

 固定資産除却損   200,000

 よって、200,000円となります。

選択肢1. 100,000円

上記説明より、不適切です。

選択肢2. 150,000円

上記説明より、不適切です。

選択肢3. 200,000円

正解です。

選択肢4. 250,000円

上記説明より、不適切です。

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03

固定資産除却に関する問題です。

 

2018年4月1日に800,000円で取得した備品を2020年3月31日に除却しているため、2年間償却したことが分かります。

償却方法は定率法で、 償却率は年25%です。

 

【1年目(2018年4月1日~2019年3月31日】

減価償却費:800,000×0.25=200,000

備品評価額:800,000-200,000=600,000

 

【2年目(2019年4月1日~2020年3月31日】

減価償却費:600,000×0.25=150,000 ※「定率法」であることに注意

備品評価額:600,000-150,000=450,000

 

除却済み備品の評価額が250,000円であると与件文に示されていますので、2年目終了時点での備品評価額との差額が答えとなります。

選択肢1. 100,000円

不適切な選択肢です。

選択肢2. 150,000円

不適切な選択肢です。

選択肢3. 200,000円

正解の選択肢となります。

選択肢4. 250,000円

不適切な選択肢です。

まとめ

【補足】

 

細かいことですが、与件文に「固定資産除却として、最も適切なものはどれか」と損失であることが明記されています。つまり、計算過程さえ正しければ正答できる比較的易しい設定になっています。

 

今後同様の出題がある場合に、計算過程をやや複雑にした上で「固定資産除却として、最も適切なものはどれか」という問いにして、各選択肢を「○○円の評価益」「○○円の評価損」と設定すれば難易度が高まることも考えられます。

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