中小企業診断士の過去問
令和3年度(2021年)
財務・会計 問4

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問題

中小企業診断士試験 第1次試験 財務・会計 令和3年度(2021年) 問4 (訂正依頼・報告はこちら)

のれんに関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • 自己創設のれんは、時価などの公正な評価額が取得原価となる。
  • のれんは取得後、5年以内に毎期均等額以上の償却をしなければならない。
  • のれんは被買収企業の超過収益力に対する対価とみなされる。
  • 負ののれんが発生した場合、当該期間の特別損失とする。

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この過去問の解説 (3件)

01

のれんに関する知識を問う問題です。

のれんとは、買収や企業合併などにより取得された企業の超過収益力のことです。

1 間違い

自己創設ののれんは現状の会計制度において計上することは認められていません

2 間違い

のれんは、20年以内に定額法およびその他の合理的な方法により償却されます

3 正しい

設問のとおり、被買収企業の超過収益力のことをのれんといいます

4 間違い

負ののれんが発生した場合、当該期間の特別利益として計上します

よって、正解は3

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02

【基礎知識】

のれんはM&Aなど企業買収をした際に、買収された企業の時価評価純資産と、実際の買収価額の差額のことを言います。時価評価純資産よりも実際の買収価格が高い場合、その企業には持っている金銭的価値以上のものがあるということになり、その対価となります。

のれんに対する取り決めは、以下の通りです。

・20年以内の期間で償却を行う。ただし、金額的に重要でなければ一括償却も可。

・のれんは無形固定資産で償却費は販管費に計上

上記の取り決めは正ののれん、つまり、実際の純資産よりも買収価格が高い場合の処理になります。一方で純資産よりも買収価格が低いケースもあります。企業を全部売却するよりも低い価格で買うことになります。こういった場合、何らかのリスク(訴訟リスクなど)を抱えていたり、売却側が金額よりも条件を優先するような場合に発生します。この時のれんはマイナスとなり、基本的には、その期の特別損失として処理されます。

自己創設のれんについてです。基本企業会計は客観的に評価されるものでできています。一方で企業の抱える資産には目に見えない、定量化が難しいようなものもあります。例えば、営業力が非常に高いことやトヨタのカンバン方式のような優れた生産方法を保有するなどです。こういった資産は定量化できないため、BS、PLには影響を与えませんが、他社に売却されるなどの際にのれんとして表出します。

選択肢1. 自己創設のれんは、時価などの公正な評価額が取得原価となる。

自己創設のれんは定量化が難しく、BS等に表れないものになります。

選択肢2. のれんは取得後、5年以内に毎期均等額以上の償却をしなければならない。

20年以内の償却となります。

選択肢3. のれんは被買収企業の超過収益力に対する対価とみなされる。

正しい

選択肢4. 負ののれんが発生した場合、当該期間の特別損失とする。

負ののれんは本当は被買収企業の純資産では高い金額を低い金額で買収するケースになり、処理としてはその期の特別利益として認識することになります。

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03

のれんに関する問題です。

 

本問では一部の選択肢で見慣れない用語がありますが、正答することは十分に可能です。

選択肢1. 自己創設のれんは、時価などの公正な評価額が取得原価となる。

自己創設のれんは、客観的な評価ができないため貸借対照表への計上が認められません

 

「自己創設のれん」とは、経営者の並外れた経営能力、模倣困難な企業組織、ステークホルダーとの特殊な関わりを指します。これらの要因が絡み合って当該企業に超過収益力をもたらしますが、上記で述べられている要因を数値化することはできない(客観的な評価ができない)ため貸借対照表への計上が認められません。

選択肢2. のれんは取得後、5年以内に毎期均等額以上の償却をしなければならない。

のれんは取得後、20年以内に定額法もしくはその他合理的な方法により規則的に償却しなければなりません。

選択肢3. のれんは被買収企業の超過収益力に対する対価とみなされる。

正解の選択肢となります。

 

本問の選択肢の記述は、のれんの説明そのものズバリであるため、そのまま暗記しておきましょう。

選択肢4. 負ののれんが発生した場合、当該期間の特別損失とする。

負ののれんが発生した場合、当該期間の特別利益とします。

まとめ

【補足】

 

経営者の並外れた経営能力、模倣困難な企業組織、ステークホルダーとの特殊な関わりといった要因を数値化することはできますが、あくまで主観的であり、いくらでも恣意性が介入する余地があります。

 

つまり、高い価値をつけようと思えば容易にできるため、客観的な評価はできません。

したがって、貸借対照表への計上が認められないということになります。

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