中小企業診断士の過去問
令和3年度(2021年)
財務・会計 問15
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問題
中小企業診断士試験 第1次試験 財務・会計 令和3年度(2021年) 問15 (訂正依頼・報告はこちら)
以下の資料に基づき計算した加重平均資本コストとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。なお、負債は社債のみで構成され、その時価は簿価と等しいものとする。
- 6.16%
- 7.68%
- 8.32%
- 8.80%
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この過去問の解説 (3件)
01
【基礎知識】
企業は資金を色んな所から調達します。BSの貸方がどこから調達したかを表します。BSの貸方は自己資本と負債に分かれます。自己資本は企業のお金で返済義務もありませんが、投資家が一定の利回り(株価の上昇や配当金)を期待しており、その期待に応えていく必要があります。その率を自己資本コストと言います。
また、負債は当然金利がかかりますので、コストがかかります。ここで気を付ける必要があるのが税金です。株式の還元は税引き後利益から行われるため、節税効果はありませんが、負債の場合、自己資本コストと比較して、費用になりますので、一定の節税効果があります。資本コストを考えるときはこの効果についても考慮する必要があります。
仮に売上1000、費用500、税引き前利益500、法人税30%を考えます。仮にこの時の負債を500、負債利子率を4%、自己資本を500、自己資本コストを12%とします。
自己資本コストは税引き前利益500×(1-30%)=350 となります。ここから自己資本コストは支払われますので、自己資本コスト=500×12%=60となります。
一方負債は500×4%=20ですが、費用に計上されるため、その分の税金について節税効果があります。つまり、20×0.3=6が本来支払う税金から減ることになります。
よって20-6=14が負債のコストになります。これは負債利子率4%×(1-法人税率30%)=2.8%
500×2.8%=14で求めることができます。
自己資本のコストと負債のコストを加重平均したものを加重平均資本コストと言い、その企業の資金調達にかかるコストを表しています。
【選択肢評価】
当企業は4,000万円の負債があり、その利回りは4%となっています。節税効果を考慮すると、4,000万円×(4%×(1-法人税率))=112万円
また、自己資本は1,200円×50,000株=6,000万円 あり、その自己資本コストは12%となっています。
それぞれのコストを加重平均して求めたのが加重平均資本コストとなります。これは以下の式で表されます。
資本コスト合計 ÷ 借入額・自己資本額の合計(調達額の合計)
当てはめると
資本コスト合計 = 4,000万円×4%×(1-30%) + 6,000万円 × 12%
= 112万円 + 720万円 = 832万円
調達額の合計 = 4,000万円 + 6,000万円 = 10,000万円
よって加重平均資本コストは
832万円 ÷ 10,000万円 × 100 =8.32%
上記説明より、不適切です。
上記説明より、不適切です。
正解です。
上記説明より、不適切です。
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02
加重平均資本コストの問題です。
加重平均コストの公式は以下の通りです。
加重平均資本コスト(WACC)=(負債÷総資産×税引後負債コスト)+(株主資本÷総資産×株主資本コスト)
問題の情報から以下の計算式となります。
加重平均資本コスト=4,000÷(4,000万+6,000万)×4%(1ー0.3)
+6,000÷(4,000万+6,000万)×12%
=8.32%
よって、正解は3
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03
加重平均資本コスト(以下、WACC)に関する問題です。
計算式は以下のとおりとなります。
WACC=(税引後負債コスト×負債)+(株主資本コスト×資本)
資本は株価×発行済株式総数により求めることができます。負債の簿価は明記されているため、資本と負債の比率が6:4であることが分かります。
その他、自己資本コストとは株主資本コスト、社債利回りが「税引前」負債コストです。税引後負債コストは、税引前負債コスト×(1-税率)で求めることができます。
不適切な選択肢です。
不適切な選択肢です。
正解の選択肢となります。
不適切な選択肢です。
【補足】
本問は、表で与えられた数値を計算してからWACCを求める必要があり、ひと手間かけさせられる設定になっていますが、WACCの計算式が頭に入っていれば対応できるレベルです。
WACCも頻出論点であり、過去問題が豊富にあります。科目合格ためには頻出論点は必ず正答できる必要があるため、繰り返し過去問題を解いて対応できるようにしておきましょう。
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