中小企業診断士の過去問
令和3年度(2021年)
企業経営理論 問8
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問題
中小企業診断士試験 第1次試験 企業経営理論 令和3年度(2021年) 問8 (訂正依頼・報告はこちら)
サラス・サラスバシー( S.D.Sarasvathy )は、経験豊富な起業家の経験より抽出された実践的なロジックから構成されるエフェクチュエーション( effectuation )という概念を生み出した。エフェクチュエーションは、「手段( means )」からスタートし、「これらの手段を使って、何ができるだろうか」と問いかけることから始める。その点で、「結果( effect )」からスタートし、「これを達成するためには、何をすればよいか」を問うコーゼーション( causation )と対比されるものである。
このエフェクチュエーションを構成する5つの行動原則に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
このエフェクチュエーションを構成する5つの行動原則に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
- 許容可能な損失( affordable loss )の原則とは、創業後に事業を継続するかどうかを判断する際に、事前に設定した許容可能な損失の上限に達したという理由で、事業を途中でやめないということである。
- クレイジーキルト( crazy−quilt )の原則とは、起業活動に必要な自分以外との関係性をあらかじめ作成した設計図に基づいてつくるのではなく、起業後に自分を取り巻く関与者と交渉しながら関係性を構築していくことである。
- 手中の鳥( bird in hand )の原則とは、もともと自分が持っているリソースを使って行うことである。具体的には自分が何者であるか、自分は誰を知っているか、そして自分は何を知っているのかを認識して、それらを活用することから始めることである。
- 飛行機の中のパイロット( pilot in the plane )の原則とは、予測できないことを避けようとするのではなく、予測できないことのうち自分自身でコントロール可能な側面に焦点を合わせ、自らの力と才覚を頼って生き残りを図ることである。
- レモネード( lemonade )の原則とは、予測できないことを前向きに捉え、不確実性を梃子のように利用しようとすることである。
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この過去問の解説 (4件)
01
これはエフェクチュエーションに関する理解を問う問題です。
1.許容可能な損失(affodable loss)の原則とは、予測不能な未来に対し、どの程度まで損失を許容できるか、ということを事前に設定することを指します。
2.クレイジーキルト(crazy-quilt)の原則とは、さまざまな布を不規則に縫い合わせて作るパッチワークの様に、競合、顧客であろうと関係なく、さまざまな関係者とパートナーシップを築きあげていくという考え方を指します。
3.手中の鳥(bird in hand)の原則とは、もともと自分が持っているリソースを使って行うことを指します。
4.飛行機の中のパイロット(pilot in the plane)の原則とは、不測の事態に備えて、状況に応じた臨機応変な行動をすることを指します。予測不能な出来事を避けようとするのではなく、自らがコントロール可能な側面に焦点を合わせることを指します。
5.レモネード(lemonade)の原則とは、予測できないことを前向きに捉え、不確実性を利用しようとすることを指します。
したがって、正解は、1です。
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02
エフェクチュエーションを構成する5つの原則に関する問題です。
不適切なものは、1です。
1.× 許容可能な損失( affordable loss )の原則とは、予測不能な未来に対し、その程度まで損失を許容できるかを事前にすり合わせておくことです。
これにより、未来の予測ができなくても、事前に設定した許容可能な損失を上限として、事業継続の意思決定やリスクコントロールを行います。
2.〇 問題文の通りです。
3.〇 問題文の通りです。
4.〇 問題文の通りです。
5.〇 問題文の通りです。
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03
正解は、「許容可能な損失( affordable loss )の原則とは、創業後に事業を継続するかどうかを判断する際に、事前に設定した許容可能な損失の上限に達したという理由で、事業を途中でやめないということである。」です。
【基礎知識】
エフェクチュエーションの問題です。
エフェクチュエーションとは、サラス・サラスバシー氏が提唱した理論で、優れた起業家に共通する意思決定プロセスや思考(考え方)を発見・体系化した市場創造の実行理論です。
現在の先が読めない時代(VUCA時代)では、目標から行動を逆算するのではなく、何ができるかを起点に取り組むことを推奨しています。
〇何ができるかを考えるための3つの視点
① 自身の特質、能力、属性
② 教育、専門性、経験
③ 社会的ネットワーク
エフェクチュエーションの考え方は以下の5原則から成ります。
① Bird in Hand:できることから考える
② Affordable Loss:致命的でないリスクの許容範囲を事前に考える、スモールスタート
③ Crazy Quilt:競合さえもパートナーにできないか考える(クレイジーキルトとはつなぎ合わせた布のことです)
④ Lemonade:使い物にならなくても使い方を考え、新たな価値を創造する(レモンを与えられたらレモネードを作る)
⑤ Pilot in the plane:状況に応じて臨機応変に対応する(パイロットは計器を見るが、数値以外も状況に応じて考える)
誤り。AffordableLossは事前に許容範囲のリスクを設定し、それに基づいて行動することです。
正しい。記載の通りです。
正しい。記載の通りです。
正しい。記載の通りです。
正しい。記載の通りです。
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04
サラス・サラスバシーが提唱する「エフェクチュエーション理論」に関する問題です。
サラス・サラスバシーの著書を読んでいない人には対応できないのではないかと思いがちですが、「最も不適切なもの」を選択させる設定になっていますので、日本語の表現から違和感があるものを選択することで対応できます。
許容可能な損失( affordable loss )の原則とは、創業後に事業を継続するかどうかを判断する際に、事前に設定した許容可能な損失の上限に達したという理由で、事業を途中でやめるということです。
最も不適切なものを選択するため、本選択肢が正解の選択肢となります。
正しい内容であるため、不適切な選択肢となります。
正しい内容であるため、不適切な選択肢となります。
正しい内容であるため、不適切な選択肢となります。
正しい内容であるため、不適切な選択肢となります。
【補足】
本問に限らず、出題された書籍を読むべきか?という疑問が湧くと思いますが、読む必要は全くありません。
中小企業診断士の試験に毎年のように出題される、マイケル・ポーターの書籍に関しても同様です。
これらの書籍を読まなければ、合格できないわけではありません。
書籍のボリュームも大きく、理解しようとするのは大変な労力がかかりますし、試験勉強に費やす時間が無くなってしまいます。
これらの理論をもっと知りたいと思われる方は、診断士登録されてからビジネススクールに通われることをおススメいたします。
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