中小企業診断士の過去問
令和3年度(2021年)
企業経営理論 問9
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問題
中小企業診断士試験 第1次試験 企業経営理論 令和3年度(2021年) 問9 (訂正依頼・報告はこちら)
次の文章を読んで、問題に答えよ。
株式会社Xの前社長Aは長男Bに代表取締役社長の座を譲り、企業経営から完全に引退した。しかし、Aは株式全体の55%を引退後も所有しており、Bは株式を所有していない。株式会社Xではない会社に勤務しているAの次男Cが20%、Aの三男で常勤の専務取締役であるDが10%、Aの配偶者で専業主婦のEが15%の株式を有している。
Bが社長に就任した後、数年間は経営が順調であったが、最近は業績が急に悪化して経営の立て直しが求められるようになり、家族が集まり会議が開催された。A、B、C、D、Eそれぞれが、スリーサークルモデルのどこに位置しているかを下図で確認した上で、それぞれの立場に最もふさわしい発言をしているものを下記の解答群から選べ。
株式会社Xの前社長Aは長男Bに代表取締役社長の座を譲り、企業経営から完全に引退した。しかし、Aは株式全体の55%を引退後も所有しており、Bは株式を所有していない。株式会社Xではない会社に勤務しているAの次男Cが20%、Aの三男で常勤の専務取締役であるDが10%、Aの配偶者で専業主婦のEが15%の株式を有している。
Bが社長に就任した後、数年間は経営が順調であったが、最近は業績が急に悪化して経営の立て直しが求められるようになり、家族が集まり会議が開催された。A、B、C、D、Eそれぞれが、スリーサークルモデルのどこに位置しているかを下図で確認した上で、それぞれの立場に最もふさわしい発言をしているものを下記の解答群から選べ。
- Aの発言:大株主として、Bの親として、また日々の経営を任されたものとして今後は行動していかなければならない。
- Bの発言:信頼できる右腕がいなかったことも失敗の大きな要因の1つなので、代表取締役の権限で、現在別の会社で働いている友人のF君を新たに専務取締役に決定する。
- Cの発言:私は、日常の経営に携わっているわけではない。株主への配当がしっかりできるように経営してほしい。
- Dの発言:私は、日々の経営には関心も責任もない。今までと同様に、今後もBの経営を株主としてしっかり監視する。
- Eの発言:次の株主総会でBが代表取締役社長に選ばれるかどうか心配であるが、私はBの母親というだけであって、株主総会で何もできない。
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この過去問の解説 (4件)
01
事業承継に関する理解を問う問題です。
それぞれが位置している場所は、問題文からA②、B④、C②、D①、E②となります。
1.Aは大株主であるし、親であるが、完全に引退している
2. Bは代表取締役社長であるが、専務取締役の選任は株主総会決議なのでBは株式を持っていない
3. Cは経営に関与していないが、20%を保有する株主である
4. Dは常勤の専務取締役である
5. EはX社の株式15%を保有しており株主総会で議決権行使ができる
したがって、正解は、3です。
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02
ファミリービジネスのスリーサークルモデルに関する問題です。
正解は3です。
スリーサークルモデルは、ファミリービジネスが、事業(ビジネス)、オーナーシップ(所有→株式)、ファミリー(家族)の3つのサブシステムで構成されるという考えです。
1.×A(前社長)は、2に位置します。株式を所有し、家族であるが、事業(経営)に関わっていません。
2 ×B(現社長、長男)は、4に位置します。事業を行い、家族であるが、株式を所有していません。専務取締役の選任は株主総会決議が必要です。
3.〇C(社外勤務、次男)は、2に位置します。株式を所有し、家族であり、事業に関わっていません。
4.×D(常勤専務、三男)は、1に位置します。株式を所有し、家族であり、常勤専務として事業に関わっています。
5.×E(専業主婦、前社長の妻)は、2に位置します。株式を所有し、家族であるが、事業に関わっていません。株主総会で、議決権を行使できます。
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03
正解は、「Cの発言:私は、日常の経営に携わっているわけではない。株主への配当がしっかりできるように経営してほしい。」です。
【基礎知識】
ファミリービジネスの本質を理解するために、スリーサークルモデルが使われます。
まさに問いの3つの円になりますが、円のそれぞれの部分に当てはまる代表的な立場は以下の通りです。
それぞれの立場で利害関係が異なります。よって、それぞれがそれぞれの立場を理解し、協調的に調整しながら発展していく必要があります。
1 オーナー社長、株を持つ親族の役員、社員
2 株、資産を持ち、従業員ではない親族
3 親族以外の株を持つ役員、従業員
4 株を持たない親族の役員、従業員
5 親族、社員以外の株主
6 一般役員、従業員
7 資産を持たず、役員、従業員ではない親族
これに当てはめると、問題のA~Eは、円の以下の部分に当てはまります。
A 2
B 4
C 2
D 1
E 2
誤り。Aは2の立場ですが、発言内容は1になっています。
誤り。Bは4の立場ですが、オーナー(株主)の発言です。取締役の選任が株主総会の普通決議が必要です。
正しい。Cはビジネスに関わっていないが、配当に対する要望を述べています。
誤り。Dは専務取締役ですので、日々の経営に関心がないのはおかしい発言です。
誤り。Eは株を所有していますので、株主総会で発言が可能です。
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04
スリーサークルモデルに関する問題です。
スリーサークルモデルの図は与えられていますが、与件文の内容と各選択肢の記述を照らし合わせるだけでも正答することが可能です。
与件文にあるように、Aは企業経営から完全に引退しているため、「日々の経営を任されたものとして今後は行動していかなければならない」という発言は不適切です。
与件文にあるように、Bは株式を所有していないため、代表取締役であっても友人のF君を専務取締役に決定する権限はありません。
正解の選択肢となります。
与件文にあるように、Dは常勤の専務取締役であるため、「日々の経営には関心も責任もない」という発言は不適切です。
与件文にあるように、Eは15%の株式を有しているため、株主総会で何もできないわけではありません。
【補足】
本問で見られるように、家族経営(ファミリービジネス)は経営と所有が分離しておらず、そこに家族関係が絡み合ってきます。
中小企業には経営と所有が一体となった家族経営の企業が非常に多く、中小企業診断士としてはこのような背景を把握した上で企業診断を行なう必要があります。
なお、スリーサークルモデルは2年に1回程度出題されており、出題頻度としては高めです。
中小企業診断士が向き合う事業承継などのテーマとも親和性が高いため、過去問題を復習してきちんと対応できるように備えておきましょう。
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