中小企業診断士 過去問
令和3年度(2021年)
問72 (企業経営理論 問22)
問題文
企業の長期的成長のためには、既存事業の深化( exploitation )と新規事業の探索( exploration )のバランスを取る経営が重要だと言われている。C.A.オライリー( C.A.OʼReilly )とM.L.タッシュマン( M.L.Tushman )は、この深化と探索を両立する組織能力を両利き( ambidexterity )と名づけた。
両利きの経営を実践するための組織に関する記述として、最も適切なものはどれか。
両利きの経営を実践するための組織に関する記述として、最も適切なものはどれか。
このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。
問題
中小企業診断士試験 第1次試験 企業経営理論 令和3年度(2021年) 問72(企業経営理論 問22) (訂正依頼・報告はこちら)
企業の長期的成長のためには、既存事業の深化( exploitation )と新規事業の探索( exploration )のバランスを取る経営が重要だと言われている。C.A.オライリー( C.A.OʼReilly )とM.L.タッシュマン( M.L.Tushman )は、この深化と探索を両立する組織能力を両利き( ambidexterity )と名づけた。
両利きの経営を実践するための組織に関する記述として、最も適切なものはどれか。
両利きの経営を実践するための組織に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 既存事業ユニットと新規事業探索ユニットが経営理念を共有し、公平性を確保するために、共通の事業評価基準を構築する必要がある。
- 既存事業ユニットと新規事業探索ユニットのオペレーションを効率的に管理するために、機能横断的なチームを設計する必要がある。
- 既存事業ユニットと新規事業探索ユニットを構造上分離しつつ、異なる文化が生まれないようにするため、ビジョンを共有する必要がある。
- 既存事業ユニットと新規事業探索ユニットを構造上分離し、探索ユニットに独立性を与えるとともに、全社的な資産や組織能力にアクセスする権限を与える必要がある。
正解!素晴らしいです
残念...
この過去問の解説 (4件)
01
オライリー&タッシュマンの「両利きの経営」に関する問題です。
既存事業の深化とは、既存の事業を深めることであり、改善を重視します。
新規事業の探索とは、新規事業を開拓することであり、実験と行動による学習を重視します。
また、両利きの経営を推進するアプローチは次の3つです。
1.両利きの連続的アプローチ →時間の経過とともに組織構造をシフトさせることで、両利きを達成します
2.両利きの構造的アプローチ →組織内にリソースを共有したサブユニットを結成することで、同時に両利きを達成します
3.両利きの⽂脈的アプローチ →個人が探索と深化の間で時間を分けられるように組織の機能を設計することで、両利きを達成します
正解は4です。
1.× 新規事業探索ユニットは構造上分離することが必要です。必ずしも、既存事業ユニットと経営理念を共有し、公平性を確保するために、共通の事業評価基準を構築する必要はありません。
2.× 新規事業探索ユニットは構造上分離することが必要です。必ずしも、オペレーションを効率的に管理するために機能横断的なチームの設計が必要ではありませんが、全社的な資産や組織能力にアクセスする権限を与える必要があります。
3.× 新規事業探索ユニットを構造上分離することにより、異なる文化が生まれても問題はありません。
4.〇 問題文の通りです。
参考になった数26
この解説の修正を提案する
02
正解は、「既存事業ユニットと新規事業探索ユニットを構造上分離し、探索ユニットに独立性を与えるとともに、全社的な資産や組織能力にアクセスする権限を与える必要がある。」です。
【基礎知識】
両利きの経営についてです。
既存事業は生産コストの引き下げや改良製品等で改善を進め、新規事業では新分野の開拓、既存事業とのシナジーなどで新たな事業を立ち上げていくことです。この両輪が企業の成長には必要だという考えが両利きの経営です。
サクセストラップという概念があります。両利きの経営を進めていくにあたり、成功している方向へ引っ張られるという考えです。既存事業は成功の上に成り立っていますので、どうしても新規事業の探索は既存事業に引っ張られます。
よって、組織を構築していくのには以下の点に配慮することが必要です。
・既存事業、新規事業の組織をきっちりと分けること。評価制度なども。
・両事業で経営資源、リソースは共有すること。
・強力なリーダーにより対立を防ぎ、ビジョン、価値観を共有していくこと。
誤り。評価制度も分けるべきです。全く異なる事業になりますので、同一評価軸ですとどちらかが不利になります。
誤り。組織を分けるべきという考えに反します。
誤り。少し悩みますが、新規事業を立ち上げるのに、異なる文化が生まれることを否定していません。
正しい。組織を分離しながらもリソースは共有していくという考えに合致しています。
参考になった数7
この解説の修正を提案する
03
両利きの経営に関する理解を問う問題です。
両利きの経営とは、チャールズ・A・オライリーとマイケル・L・タッシュマンは提唱した経営論で成功を収めた企業がより発展をし、長く経営を維持するために現在の主力事業以外にも積極的な新規事業を考えことが重要だとしています。
したがって、正解は、4です。
参考になった数8
この解説の修正を提案する
04
両利きの経営を実践するための組織に関する問題です。
既存事業ユニットと新規事業探索ユニットでは、事業評価基準は異なります。
他の選択肢で述べられていますが、両利きの経営では既存事業ユニットと新規事業探索ユニットを構造上分離することになるため、機能横断的なチームを設計する必要はありません。
本問と直接関係ありませんが、機能横断的なチームを設計する必要があるのはマトリックス組織の場合です。
既存事業ユニットと新規事業探索ユニットを構造上分離するため、双方の事業文化は異なるものになり、ビジョンを共有することはできません。
正解の選択肢となります。
参考になった数5
この解説の修正を提案する
前の問題(問71)へ
令和3年度(2021年) 問題一覧
次の問題(問73)へ