中小企業診断士の過去問
令和3年度(2021年)
企業経営理論 問31

このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。

問題

中小企業診断士試験 第1次試験 企業経営理論 令和3年度(2021年) 問31 (訂正依頼・報告はこちら)

S社は国内外から仕入れたさまざまなスポーツ・シューズを、9つの自社の実店舗および数年前に開設した自社オンライン店舗において販売している。S社の今後の流通政策に関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • S社が店舗を最初の1つから現在の状態まで増やしてきた過程においては、顧客接点が物理的に増加した。今後同社がオムニチャネル化を進めるためには、顧客管理方法を変更することが必要であるが、現在の顧客接点をさらに増やすことは必ずしも必要ではない。
  • S社では、9つの実店舗で多くの顧客が商品を見たり試着したりした後にオンライン店舗で購入すると、オンライン店舗に売り上げが偏り、9つある実店舗の従業員のモチベーションが低下するリスクがある。このため、S社は顧客が実店舗からオンライン店舗へ流れることを防いだ方がよい。
  • 近年は同一の消費者であっても、実店舗を利用する場合とオンライン店舗を利用する場合とでは、利用動機や購入頻度、単価などが大きく異なることが顧客データから分かってきた。このため、実店舗における顧客データとオンライン店舗のそれとは切り離して活用することが望ましい。
  • 顧客対応のための組織体制や従業員の評価システム、在庫データの管理などの観点からは、各顧客には検討から購入までを一貫して同一店舗内で行ってもらうことが望ましい。S社がオムニチャネル化の推進の可否を今後検討していく上では、こうした点を十分に考慮する必要がある。
  • 消費者便益の観点からは、店舗外でもパソコンやスマートフォンなどからいつでも購入できるオンライン店舗に明らかにメリットがある。このため今後S社はオンライン販売を重視し、オンライン店舗に経営資源を集中することが望ましい。

次の問題へ

正解!素晴らしいです

残念...

この過去問の解説 (3件)

01

1.正しい。オムニチャネルとは、実店舗やECサイト、スマートフォン向けアプリ、ソーシャルメディアといった、昨今存在しているさまざまな顧客との接点を統合し、時間や空間の制約なく、質の高い顧客体験を提供することを目指すというコンセプトです。

2.誤り。オムニチャネルの目的は顧客の利便性向上であり、オンライン店舗の活性化は悪いことではありません。

3.誤り。目的によってそれぞれのデータを合わせて活用した方が良い場合があります。

4.誤り。オムニチャネルを導入する場合には、顧客の購買スタイルに合わせて仕組みづくりを進める必要があります。

5.誤り。実店舗においても、実際の商品に触れられるというメリットがあります。

参考になった数13

02

「オムニチャンネル」に関する問題です。

オムニチャネルは、企業と顧客のタッチポイントや販売経路をすべて統合し、総合的に顧客へアプローチする方法です。

正解は1です。

1.〇 問題文の通りです。

2.× オムニチャネルは、個々のチャネルの売上向上ではなく、チャネルを統合することにより全体の売上向上をめざします。

3.× オムニチャネルは、各チャネルの両方で顧客の行動に関するデータを収集し、総合的に分析することで、販促・マーケティングの施策を行います。

4.× オムニチャネルは、顧客の情報・購買行動を理解してチャネルを提供することが重要であり、社内体制に併せて顧客には検討から購入までを一貫して同一店舗内で行ってもらう必要はありません

5.× オムニチャネルは、顧客に商品の購入を促すためには複数のチャネルを用意し、それぞれの場面で顧客が最も利用しやすい方法を選べるようにします。

参考になった数6

03

S社が取り組もうとしているオムニチャネル化とは、顧客が実店舗やオンラインなど異なる複数のチャネルを横断できるように、企業が持つチャネルを統合することです。

各選択肢をそれぞれ解説します。

選択肢1. S社が店舗を最初の1つから現在の状態まで増やしてきた過程においては、顧客接点が物理的に増加した。今後同社がオムニチャネル化を進めるためには、顧客管理方法を変更することが必要であるが、現在の顧客接点をさらに増やすことは必ずしも必要ではない。

S社はすでに顧客接点を十分に保有していますので、オムニチャネル化への対応は顧客管理方法を変更することで対応できます。

そのため本選択肢が正解です。

選択肢2. S社では、9つの実店舗で多くの顧客が商品を見たり試着したりした後にオンライン店舗で購入すると、オンライン店舗に売り上げが偏り、9つある実店舗の従業員のモチベーションが低下するリスクがある。このため、S社は顧客が実店舗からオンライン店舗へ流れることを防いだ方がよい。

顧客が実店舗からオンライン店舗へ流れることを防いだ方がよいという点が誤っています。

実店舗でのトライアルからオンライン店舗での購入は、自社の売上を増加できることが見込めるので率先して促進するべきです

実店舗の従業員のモチベーションの低下には他の施策で対応することが望ましいと考えられます。

そのため本選択肢は不正解です。

選択肢3. 近年は同一の消費者であっても、実店舗を利用する場合とオンライン店舗を利用する場合とでは、利用動機や購入頻度、単価などが大きく異なることが顧客データから分かってきた。このため、実店舗における顧客データとオンライン店舗のそれとは切り離して活用することが望ましい。

データは切り離すべき時もあれば、そうではない場合もあります。

そのため本選択肢は不正解です。

選択肢4. 顧客対応のための組織体制や従業員の評価システム、在庫データの管理などの観点からは、各顧客には検討から購入までを一貫して同一店舗内で行ってもらうことが望ましい。S社がオムニチャネル化の推進の可否を今後検討していく上では、こうした点を十分に考慮する必要がある。

各顧客には検討から購入までを一貫して同一店舗内で行ってもらうことが望ましいという点が誤りです。

消費者が実店舗とオンライン店舗を横断して購買行動できるようにするのが望ましい対応です。

そのため本選択肢は不正解です。

選択肢5. 消費者便益の観点からは、店舗外でもパソコンやスマートフォンなどからいつでも購入できるオンライン店舗に明らかにメリットがある。このため今後S社はオンライン販売を重視し、オンライン店舗に経営資源を集中することが望ましい。

実店舗には、顧客が実際に商品を手に取ってトライアルできることや、その場で商品を手に入れられるなどのメリットがあるので、オンライン店舗に経営資源を集中することが望ましいとは断言できません

そのため本選択肢は不正解です。

まとめ

オムニチャネルやクロスチャネルは、マーケティングの手法でトレンドの一つです。

今後も出題される可能性があるので基本的な内容は学習しておきましょう。

参考になった数2