中小企業診断士の過去問
令和3年度(2021年)
運営管理 問39
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問題
中小企業診断士試験 第1次試験 運営管理 令和3年度(2021年) 問39 (訂正依頼・報告はこちら)
小売業におけるCRMと、それに関連する分析方法や手法に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- CRMにおいて、RFM分析などを利用して、優良顧客層のような着目すべき顧客層を識別することは重要である。
- FSPは、EDLPにとっては有効な手法の1つであるが、CRMには関係がない。
- RFM分析のFの評価値は、顧客の購買額の分散値が大きな値であることによって、高い評価値と判断することができる。
- 顧客の購買機会ごとの購買額と購買商品数の相関係数が大きければ、RFM分析におけるRの評価値も高いと考えられる。
- 優良顧客層を特定するために、顧客の年齢や性別などの属性データを説明変数としてクラスター分析を行うことは、CRMにとって重要である。
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この過去問の解説 (3件)
01
選択肢1は適切です。CRMにおいて、RFM分析などを利用して優良顧客層を識別することにより、既存顧客の囲い込みを行うことは重要です。
選択肢2は不適切です。FSPとは長期的な視点で顧客のロイヤルティを高めることを目的とする販売促進活動のことです。一方でEDLPとは、いつでもすべての商品を低価格で販売することで、商品が低価格であることを消費者に訴求することで来店客数の増加を目指すことです。したがって、FSPはEDLPにとっては有効な手段の一つではありません。
選択肢3は不適切です。RFM分析とは、「Recency(最新購買日)・「Frequency(購買頻度)」・「Monetary(購買金額)」という3つの指標で顧客セグメントを分類する方法です。よって、RFM分析のFとは購買頻度を評価する指標であるため、購買額の分散値を評価するものではありません。
選択肢4は不適切です。相関関係とは、2つのデータが存在する場合、片方のデータが変動すると他方のデータも変動する関係のことです。顧客の購買機会ごとの購買額と購買商品数の相関係数が大きければ、RFM分析におけるMの評価値が高いと考えられます。
選択肢5は不適切です。クラスター分析とは、異なるものが混ざり合っている集団から似たものを集めて集落(クラスター)を作り、対象を分類する方法です。優良顧客層を選定するための手段の一つとして重要なものと考えられます。
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02
この問題は、CRMについての語句の理解が試されています。語句のレベル感は、本試験までには抑えていただきたい内容です。
【CRMとは】
CRMは「Customer Relationship Management」の略で顧客との関係性を深め、一顧客から得られる利益を最大化させていく取り組みになります。いかにして収益性の高い顧客を選別し、そこにアプローチし、長くお付き合いしながら利益を最大化していくかということを管理していきます。
【RFM分析とは】
RFM分析は「最終購入日(Recency)」「購入頻度(Frequency)」「購入金額(Monetary)」これら3つの指標を用いて顧客をグループに分ける分析手法です。例えば、FとMが非常に多いが、Rが古いような場合、顧客が離反している可能性があり、それを踏まえ対策を打つ必要があります。このような分析にRFM分析は利用されます。
この時点で選択肢3は購入頻度(F)ではなく、購買額(M)の議論をしていますので、間違いだとわかります。また、選択肢4についても購買額と購買商品数が相関係数が大きくとも、必ずしも最近の購買につながりませんので、間違いだとわかります。
【FSPとは】
次にFSPについてです。これは、「Frequent Shoppers Program」の略で、Frequentは頻繁、Shoppersは買い物客という意味で、よく買いに来てくれる顧客を優遇していくプログラムのことになります。ポイントカードなどがその例になります。CRMの手法の一つになります。よって、この時点で選択肢2のFSPはCRMと関係がないという記載は間違いになります。ちなみにEDLPとは「EveryDay Low Price」の略で、特売だけでなく、一貫して低価格で商品を提供していく戦略です。
【クラスター分析とは】
クラスター分析は顧客の中から、一定の共通した特徴から優良顧客を探し出す分析です。選択肢5は一見正しそうな記載に見えますが、「共通した特徴」に年齢、性別を当てはめており、これでは優良顧客を探し出すことはできません。
よって正解は1になります。
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03
CRMおよび、関連する分析方法や手法に関する問題です。
各選択肢で問われている用語の説明は、以下のとおりです。
CRM(Customer Relationship Management):顧客関係管理
→顧客との良好な関係構築を通じて、収益性の向上を図る取り組みです。
RFM分析:「直近でいつ購入したか(Recency)」「購入頻度(Frequency)」「購入金額(Monetary)」という3つの指標の頭文字を取ったもの
→この3つの指標が高い(大きい)顧客を優良顧客として、他の顧客よりも割引率を高くするなどして優遇して自店に囲い込むための判断基準として用いられます。
FSP(Frequent Shoppers Program):顧客を優良顧客として囲い込むCRMを目的として実施される施策
→代表的なものに、航空会社のマイレージサービスがあります。
EDLP(Every Day Low Price):毎日が低価格、特売日を設けないという価格戦略です。
→米スーパー最大手のウォルマートの経営理念が発端となっています。
正解の選択肢となります。
FSPは、CRMにとっては有効な手法の1つであるが、EDLPには関係がありません。
「ELDPには関係がない」と断言するのも違和感がありますが、ELDPは毎日が低価格であることを訴求しているため、FSPとは特に関係があるともいえません。
RFM分析のMの評価値は、顧客の購買額が大きな値であることによって、高い評価値と判断することができます。
RFM分析におけるRの評価値が高いと考えられるのは、顧客の直近購買日が新しいことです。
顧客がRの評価値が最も高くなるのは本日来店してもらうことですが、その後ずっと来店がなければRの評価値は低くなっていきます。
そのため、毎週1回来店してもらうなど「F」の評価値を高くすることができれば、Rの評価値も高くなります。
顧客の年齢や性別などの属性データを説明変数としてクラスター分析を行うことは、CRMにとって重要であるとはいえません。
優良顧客層を特定したいのであれば、他の選択肢で問われているRFM分析を行なうことが、CRMにとって重要であるといえます。
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