中小企業診断士の過去問 令和3年度(2021年) 経営法務 問9
この過去問の解説 (2件)
選択肢1は不適切です。アイスクリームのように一定時間が経過すると形状が変化するものであっても、一定時間は形が定まっているため、意匠として登録することは可能です。
選択肢2は適切です。設問の内容は秘密意匠制度であり、同制度では設定登録日から3年を限度として意匠を秘密にすることが認められております。
選択肢3は不適切です。乗用自動車においても新規性・創造性のあるデザインについては意匠登録が可能です。
選択肢4は不適切です。選択肢の内容は組物意匠制度です。スプーン・フォークのセットのように「組物全体として統一感があるもの」を一意匠として出願することが出来ます。
知的財産権関連は企業戦略上重要であり、特に技術を強みとする中小企業はこれをきっちりと守る必要があるため、診断士として理解を深めておく必要があります。
選択肢1について。意匠法が改正され、2020年、2021年に施行されています。この中で対象の拡充が行われています。建築物など、それまでは対象外であったものが対象に加わっています。また、写真技術やインターネットの拡充で、特に画像等に対する意匠権が不十分であったことを踏まえて改正されています。改正後の意匠は「物品の形状、模様もしくは色彩もしくはこれらの結合、建築物等の形状等または画像であって、視覚を通じて美感を起こさせるもの」という定義に変わっています。問題のアイスクリームは当改正前から認められており、時間の経過により形状が変化する食品であっても意匠登録は可能です。大きく対象が拡充傾向であることを押さえておいてください。
よって、1は不適切です。
選択肢2について。設定登録日から3年を限度として意匠を秘密にすることを認める秘密意匠制度があります。意匠は特許などと比べて模倣が簡単であるため、意匠が公開されると模倣されるリスクが生じます。模倣を一定期間防ぐために秘密保証制度があります。
よって、2は正解です。
選択肢3について。乗用自動車は規格が厳しいこともあり、その中でデザイン等は重要な意味合いを持っています。全体の形状だけでなく、部分的な意匠権も設定されています。
よって、3は誤りです。
選択肢4について。意匠権は原則1物品1意匠となっていますが、飲食用ナイフ、フォーク、スプーンのように同時に使用される2以上の物品等で、組物全体として統一感があるものを一つの意匠として出願し、意匠登録を受けることができます。近年、複数のものを組み合わせることで統一的なデザインとしていくシステムデザインの考えによるものです。
よって、4は誤りです。
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