中小企業診断士の過去問
令和4年度(2022年)
経済学・経済政策 問1

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問題

中小企業診断士試験 第1次試験 経済学・経済政策 令和4年度(2022年) 問1 (訂正依頼・報告はこちら)

下図は、1990年以降の日本について、ジニ係数を使い、所得再分配政策による所得格差の改善状況の推移を示したものである。「当初所得ジニ係数」は当初所得(所得再分配前の所得)のジニ係数、「再分配所得ジニ係数」は再分配所得(所得再分配後の所得)のジニ係数、「改善度」は所得再分配によるジニ係数の改善度(%)である。
この図から分かる日本の所得格差に関する記述の正誤の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

a  1990年代に比べて、2000年代以降には、所得再分配前の所得格差が拡大している。
b  2010年代は、それ以前に比べて、所得再分配政策による所得格差の改善度が大きい。
c  2010年代は、所得再分配政策によって、かえって所得格差が拡大している。
問題文の画像
  • a:正  b:正  c:誤
  • a:正  b:誤  c:正
  • a:正  b:誤  c:誤
  • a:誤  b:正  c:誤
  • a:誤  b:誤  c:正

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この過去問の解説 (3件)

01

ジニ係数に関する出題です。ジニ係数とは、所得などの分布の均等度を示すもので、数値としては0~1の間となり、数値が0に近づくほど所得格差が小となり、逆に1に近づくほど所得格差が大となります。政府の国民経済計算などでも使用されているものです。

本問では、グラフを読んで設問の正誤を解答するものですが、落ち着いて確認すれば難しくありません。

まず解答群のaです。1990年代の所得再分配前ジニ係数は「0.4~0.5の間」ですが、2000年代以降には、所得再分配前ジニ係数は「0.5」を超えています。したがって所得格差が拡大していることになるので「正」となります。

次に解答群bです。2010年代の所得再分配後ジニ係数と所得再分配前ジニ係数の差(改善度)は0.1以上あるのは明らかですが、それ以前の時期のジニ係数の差はそれほどではありません。したがって改善度が大きいと言えるので「正」となります。

最後に解答群cです。これは解答群bと同じ点を問われていますが、解答群bの解説の通り所得格差は改善していますので、「誤」となります。

したがって正解は「a:正  b:正  c:誤」となります。

選択肢1. a:正  b:正  c:誤

冒頭の解説の通り正解です。

選択肢2. a:正  b:誤  c:正

解答群bとcが誤りです。

選択肢3. a:正  b:誤  c:誤

解答群bが誤りです。

選択肢4. a:誤  b:正  c:誤

解答群aが誤りです。

選択肢5. a:誤  b:誤  c:正

解答群aとcが誤りです。

まとめ

ジニ係数に関する基本的な問題でした。ジニ係数の意味や内容が理解できなかった方は復習しておきましょう。

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02

(基本知識)

 ジニ係数の理解とグラフの読み取りの問題です。

 まず、ジニ係数とは所得などの分布の均等度合いを示す指標になります。単純に言えば、不平等の度合いを表すもので、0~1までの値を取ります。1で完全不平等、0で完全平等となります。

 

 例えば人口が10人の国があり、それぞれの年間所得が、2人が1億円、2人が2億円、4人が3億円、2人が5億円とします。合計の所得は1億円×2人+2億円×2人+3億円×4人+5億円×2人=28億円となります。

この時、1億円の人の人数の比率は2人/10人で0.2、所得の比率は2億円/28億円で0.071‥となります。

 1億円~2億円~3億円~5億円
人数累計24810
人数比率0.20.40.81.0
所得累計261828
所得比率0.0710.2140.6431.0

 

同様に2億円、3億円と計算し、縦軸に累計比率、横軸に累計人数比率を取ると、右下に凸となるグラフが描けるのがお分かりいただけると思います。もし完全平等の場合で全員1億円の収入とすると、グラフは45度線になるのがお分かりいただけると思います。この45度線と下に凸となるグラフの間の面積の2倍がジニ係数になります。一度図を作ってみていただきたいと思います。完全不平等の場合は、9人が0円で1人が10億円といった形なりますので、下に凸ではなく、横軸が1の時に縦軸も1となる三角形になり、ジニ係数は1=完全不平等となります。

選択肢1. a:正  b:正  c:誤

正しい記載です。

選択肢2. a:正  b:誤  c:正

bは、2010年以降とそれ以前では改善度の折れ線グラフが右上がり=改善度が高くなっているため、正しい記載です。cは2010年代は再分配後にジニ係数が低くなっている=所得格差は縮小しているため、誤りです。

選択肢3. a:正  b:誤  c:誤

bは、2010年以降とそれ以前では改善度の折れ線グラフが右上がり=改善度が高くなっているため、正しい記載です。

選択肢4. a:誤  b:正  c:誤

aは当初所得ジニ係数のグラフが増加していますので、正しい記載です。

選択肢5. a:誤  b:誤  c:正

a:当初所得ジニ係数のグラフが増加していますので、正しい記載です。

b:2010年以降とそれ以前では改善度の折れ線グラフが右上がり=改善度が高くなっているため、正しい記載です。

c:2010年代は再分配後にジニ係数が低くなっている=所得格差は縮小しているため、誤りです。

まとめ

ジニ係数の基本的な問題です。ジニ係数がどういった曲線で、1が完全不平等、0が完全平等であるという知識があれば、解ける問題です。

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03

ジニ係数にを使用したグラフ解読の問題です。

a:当初所得ジニ係数と再分配所得ジニ係数の棒グラフを比較すると、2000年代以降はそれ以前と比べて差が大きくなっています。

b:改善度の折れ線グラフを見ると、2010年以降は30%以上で推移しており、それ以前より高い水準となっています。

c:2010年以降、改善度はそれ以前より高い水準となっていますので、所得再分配政策によって、かえって所得格差が拡大しているとは言えません。

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