中小企業診断士の過去問
令和4年度(2022年)
企業経営理論 問3
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問題
中小企業診断士試験 第1次試験 企業経営理論 令和4年度(2022年) 問3 (訂正依頼・報告はこちら)
組織内外の環境を分析するための枠組み(フレームワーク)に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 「PESTフレームワーク」では、企業を取り巻く外部環境を、政治、経済、社会、技術の観点から分析する。
- 「VRIOフレームワーク」によると、経営資源について、経済的価値が認められるか、希少性が高いか、模倣が困難であるか、その経営資源を活用できる組織能力があるか、という条件のうち、1つでも満たされていれば持続的競争優位に資する経営資源と判断される。
- 「戦略分析の3C」はマーケティング環境を分析するための枠組みであり、資本、顧客、競合に着眼して分析を行う。
- M.ポーターが提示した「価値連鎖(Value Chain)」は、価値がどの機能で生み出されるかを可視化する分析枠組みであり、購入物流、製造、出荷物流、サービスなどの主要活動と、技術開発、人事・労務管理、調達活動、販売・マーケティングなどの支援活動から構成される。
- M.ポーターによる「5つの競争要因(Five Forces)」は、当該業界の成長性を決定する諸要因である。
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この過去問の解説 (3件)
01
環境分析のフレームワークに関する横断的な知識問題です。
特に二次試験では、これらのフレームワークを使いこなし、事例企業を読み解く能力が求められます。
中小企業診断士試験における基本的な分析ツールは"SWOT"です。
SWOTの各象限を深掘りするツールとして以下が挙げられます。
①S→VRIO分析
自社の経営資源で、強みの中の強み(コア・コンピタンス)は何か?
V(価値)、R(希少性)、I(模倣困難性)、O(組織的活用能力)の順に問いかけます。
②O&T→PEST分析
自社のマクロ的外部環境を、
P(Political/Legal:政治的・法律的)
E(Economical:経済的)
S(Social/Cultural:社会的・文化的)
T(Technological:技術的)
の4つの視点で把握し、機会と脅威は何かを考えます。
③T→5フォース
業界や自社の収益性を考えるモデルです。
売り手(仕入先)、買い手(得意先)、新規参入者、代替品、既存の競合の5つの要素から、収益性向上のネックとなる脅威は何かを考えます。
正しい
冒頭の説明の通りです。
誤り
VRIO分析ではV→R→I→Oの順に競争優位性が築かれると考えます。
経営資源の競争優位性は以下のように考えます。
①Vだけ満たされている:競争優位の源泉とはならない。
②VとRが満たされている:一時的な競争優位
③VとRとIが満たされている:持続的な競争優位
④全て満たされている:真に持続的な競争優位
よって「1つでも満たされていれば持続的競争優位に資する経営資源と判断される」の記述が誤りです。
誤り
3C分析の対象は顧客(Customer)・競合(Competitor)・自社(Company)です。
3C分析をSWOTの変形と捉えることもできます。
①顧客のニーズ・動向は何か?(機会・脅威は何か?)
②競合他社は顧客にどのように対応しているか?
(競合が対応できていないことは自社にとって機会であり、
対応していることは脅威となります。)
③顧客・競合を把握したうえで、自社の強みと弱みは何か?
というふうに問いかけます。
二次試験対策的には、顧客・競合・自社の3要素に対して、それぞれプラス面とマイナス面を記述する、ということになります。
誤り
「販売・マーケティング」は支援活動ではなく、主要活動です。
製品・サービスの提供に直接関係する活動は主要活動、直接関与しない活動は支援活動と覚えましょう。
二次試験の事例Ⅲ(生産・技術)では、設計→調達→製造→販売のどの活動に問題があり、どのように改善するか、と問われます。
「企業の活動や工程を分解して考える」という思考は重要ですので、留意してください。
誤り
5フォースは業界や自社の収益性を考えるモデルです。
ちなみに、「自社をどう成長させるか?」と考えるツールには「アンゾフの成長ベクトル」があります。
一次試験ではVRIOや5フォースからの出題が多いです。
二次試験ではこれらのツールを使いこなせるよう、過去問で練習しましょう。
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02
事業環境の分析に使用する各種フレームワークに関する問題です。「価値連鎖(Value Chain)」、「5つの競争要因(Five Forces)」は頻出の論点ですのでよく覚えておきましょう。
正解です。
PESTフレームワークとは、企業をとりまく外部環境を政治、経済、社会、技術の4つの要因に分類し、自社に与える影響を読み解く分析手法です。
政治(Politics)、経済(Economy)、社会(Society)、技術(Technology)の4つの頭文字を取ってPESTフレームワークと呼ばれています。
「VRIOフレームワーク」では、経営資源に関する条件のすべてを満たす場合に持続的競争優位に資する経営資源と判断されます。
「戦略分析の3C」とは、「Customer(市場・顧客)」「Competitor(競合)」「Company(自社)」の3つの視点からマーケティング環境を分析する手法です。
「価値連鎖」における「販売・マーケティング」は支援活動ではなく主要活動に含まれます。
「5つの競争要因」は、業界における収益性の決定要因を分析するものです。
冒頭に申し上げたように、「価値連鎖(Value Chain)」、「5つの競争要因(Five Forces)」は最優先で整理すべき論点です。他の選択肢については余力があれば覚えておきましょう。
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03
内部環境および外部環境を分析するためのフレームワークに関する問題です。
適切です。
不適切です。
VRIOフレームワークでは、価値、希少性、模倣困難性、組織能力の順番に競争優位性が築かれるとされ、持続的競争優位となるにはすべての経営資源が満たされている必要があります。
不適切です。
3Cとは、Customer(市場・顧客)、Company(自社)、Competitor(競合)のことです。
不適切です。
販売・マーケティングは主要活動に分類されます。
不適切です。
Five Forcesは収益性分析です。
買い手、売り手、新規参入者、代替品、既存の競合他社の5つの脅威を分析します。
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