中小企業診断士の過去問
令和5年度(2023年)
経済学・経済政策 問20

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問題

中小企業診断士試験 第1次試験 経済学・経済政策 令和5年度(2023年) 問20 (訂正依頼・報告はこちら)

外部不経済の内部化を意図して採用されると想定される政策や制度に関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • 一定の自動車駐車場に対して、身体障がい者用駐車施設の設置を義務付けること
  • 市街化区域内の農地などを対象として、一定の条件の下で固定資産税等を減免する生産緑地制度
  • 他地域から移住してきた世帯を対象に、子ども一人あたり定額の補助金を給付する制度
  • 二酸化炭素の排出量を基準とした化石燃料への課税
  • 入札談合などの事実を自主申告した企業に対して、当該違反への課徴金を減免する制度

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この過去問の解説 (2件)

01

外部不経済とは、市場取引において価格に反映されていないコストや利益が存在する状態を指します。例えば、二酸化炭素の排出は気候変動などの環境への悪影響を引き起こすが、これに対するコストが市場価格に含まれていないことがあります。

化石燃料への課税は、これらの外部不経済を考慮しています。二酸化炭素の排出は環境への悪影響をもたらすため、その排出量に応じて企業や個人に課税することで、環境への影響を内部化し、より持続可能な選択を促進する効果があります。この政策は環境への負荷を市場に組み込むことで、経済活動を環境に配慮した方向に誘導することが期待されます。

選択肢1. 一定の自動車駐車場に対して、身体障がい者用駐車施設の設置を義務付けること

誤りです。これは社会的な包摂を促進するための政策であり、外部不経済の内部化とは直接関係がありません。

選択肢2. 市街化区域内の農地などを対象として、一定の条件の下で固定資産税等を減免する生産緑地制度

誤りです。これは生態系への影響を考慮していますが、外部不経済を内部化する直接的な手段ではありません。

選択肢3. 他地域から移住してきた世帯を対象に、子ども一人あたり定額の補助金を給付する制度

誤りです。これは地域振興や移住促進のための政策であり、外部不経済の内部化とは無関係です。

選択肢4. 二酸化炭素の排出量を基準とした化石燃料への課税

正解です。

選択肢5. 入札談合などの事実を自主申告した企業に対して、当該違反への課徴金を減免する制度

誤りです。これは企業の規律維持を促進する政策であり、外部不経済への対応とは異なります。

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02

外部不経済とは、経済活動により環境破壊や健康被害などの社会問題の費用を社会が負担する状態のことです。

外部不経済の内部化は、外部不経済をもたらし、社会にとって余計な費用の負担が発生する場合において、その発生者や受益者に費用を負担させることを意味します。

各選択肢をそれぞれ解説します。

選択肢1. 一定の自動車駐車場に対して、身体障がい者用駐車施設の設置を義務付けること

身体障がい者用駐車施設の設置が、社会に対して費用を負担させているとは考えにくいため本選択肢は不正解です。

選択肢2. 市街化区域内の農地などを対象として、一定の条件の下で固定資産税等を減免する生産緑地制度

外部不経済に該当する内容とは判断できないため、本選択肢は不正解です。

選択肢3. 他地域から移住してきた世帯を対象に、子ども一人あたり定額の補助金を給付する制度

他地域から移住してくることは外部不経済に該当しないため、本選択肢は不正解です。

選択肢4. 二酸化炭素の排出量を基準とした化石燃料への課税

環境破壊は外部不経済に該当し、二酸化炭素の排出量を基準とした化石燃料への課税は外部不経済の内部化としても適切であるため、本選択肢が正解です。

選択肢5. 入札談合などの事実を自主申告した企業に対して、当該違反への課徴金を減免する制度

外部不経済の内部化に該当する内容ではないため、本選択肢は不正解です。

まとめ

外部不経済の内容に照らして各選択肢を読めば、正解を絞り込むことは可能な問題でした。

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