中小企業診断士の過去問
令和5年度(2023年)
経済学・経済政策 問22

このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。

問題

中小企業診断士試験 第1次試験 経済学・経済政策 令和5年度(2023年) 問22 (訂正依頼・報告はこちら)

下図は、ある地域で独占的な地位にある電力会社の平均費用AC、限界費用MC、限界収入MRおよび同地域での電力の需要曲線Dを示している。この図から読み取れる記述の正誤の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

a  平均費用価格形成原理の下で、この企業の総収入と総費用はともに四角形P2OQ2Gで示される。
b  平均費用価格形成原理の下で、生産者余剰は四角形P1P2GFで示される。
c  限界費用価格形成原理の下で、消費者余剰は三角形EP1Fで示される。
d  限界費用価格形成原理の下で、この企業には四角形P3P4IHに相当する損失が生じる。
問題文の画像
  • a:正  b:正  c:正  d:誤
  • a:正  b:誤  c:誤  d:正
  • a:誤  b:正  c:正  d:誤
  • a:誤  b:正  c:誤  d:誤
  • a:誤  b:誤  c:誤  d:正

次の問題へ

正解!素晴らしいです

残念...

この過去問の解説 (2件)

01

費用逓減産業における余剰分析を行う問題です。

本問を解説する前に次の二つの点を図に加えることにします。

取引量Q2におけるMCとの交点K。

上記をふまえて各選択肢を解説します。

a

平均費用価格形成とは、価格と平均費用が一致する点で取引を行うことです。

交点Gで取引が行われることになるので、その時の価格はP2で取引量はQ2です。

総収入は価格と取引量の積、総費用は平均費用と取引量の積で求められるため、両者とも四角形P2OQ2Gとなります。

そのため本選択肢は正しいです。

b

生産者余剰は総収入と限界費用での総費用の差となります。

限界費用の合計は、四角形P4OQ2Kとなり、両者の差額である生産者余剰は四角形P2P4KGであるため、本選択肢は誤っています。

c

限界費用価格形成とは、価格と限界費用が一致する点で取引を行うことです。

交点Iで取引が行われることになるので、その時の価格はP4で取引量はQ3です。

消費者余剰は三角形EP4Iとなるため、本選択肢は誤っています。

d

限界費用価格形成によると、価格はP4であるため、平均費用はHとなります

そのためこの時には、四角形P3P4IHの損失が生じることになるため、本選択肢は正しいです。

正しい選択肢の組み合わせは、 a:正 b:誤 c:誤 d:正 です。

選択肢1. a:正  b:正  c:正  d:誤

本選択肢は不正解です。

選択肢2. a:正  b:誤  c:誤  d:正

本選択肢が正解です。

選択肢3. a:誤  b:正  c:正  d:誤

本選択肢は不正解です。

選択肢4. a:誤  b:正  c:誤  d:誤

本選択肢は不正解です。

選択肢5. a:誤  b:誤  c:誤  d:正

本選択肢は不正解です。

まとめ

応用力を問われる問題でしたが、各選択肢の条件に沿って手を動かしながら取り組めば正解できる問題でした。

参考になった数5

02

選択肢にある平均費用価格形成原理と限界費用価格形成原理は、企業が価格を決定する際に考慮される経済学の原理です。

1. 平均費用価格形成原理:

原理の概要: 平均費用は、企業の総費用を生産量で割ったものであり、これが最小となる生産量で、企業は最も効率的に生産しているとされます。

価格の決定: 企業は平均費用と同じくらいの価格で販売すると、収益が最大化されます。この原理に基づいて、価格を平均費用に等しくすることが企業の利益最大化を追求する手段とされます。

図解: 平均費用曲線の底部が、最小の平均費用を示し、これが価格として設定される。

2. 限界費用価格形成原理:

原理の概要: 限界費用は、生産量の1単位増加に伴う総費用の変化を示します。価格が限界費用に等しいとき、企業は最適な収益を得ているとされます。

価格の決定: 企業は価格を限界費用に等しく設定すると、追加的な生産が収益を増加させず、収益が最大化されます。

図解: 限界費用曲線と需要曲線が交差する点が、価格を限界費用に等しくする最適な生産量を示します。

これらの原理は、企業が収益を最大化するために生産量と価格をどのように決定するかを理解する上で重要です。両原理を組み合わせて使用することで、企業は効率的かつ収益最大化を目指すことができます。

以上の原理を踏まえ、各記述の正誤を確認します。

a: 平均費用価格形成原理の下で、この企業の総収入と総費用はともに四角形P2OQ2Gで示される。

正しいです。平均費用価格形成原理の下で、企業の総収入と総費用は、生産量に応じて平均費用と限界費用の関係に基づいて決定されます。この場合、四角形P2OQ2Gは総収入を示しており、これは平均費用と生産量の関係から得られるものです。

b:平均費用価格形成原理の下で、生産者余剰は四角形P1P2GFで示される。

誤りです。平均費用価格形成原理の下では、生産者余剰は価格と平均費用曲線の間に形成される三角形の面積です。しかし、図においては四角形P1P2GFが生産者余剰を示しており、これは正しくありません。

c:限界費用価格形成原理の下で、消費者余剰は三角形EP1Fで示される。

誤りです。限界費用価格形成原理の下では、消費者余剰は価格と限界費用曲線の間に形成される三角形の面積です。しかし、図においては三角形EP1Fが消費者余剰を示しており、これは正しくありません。

d:限界費用価格形成原理の下で、この企業には四角形P3P4IHに相当する損失が生じる。

正しいです。限界費用価格形成原理の下で、企業は限界収入が限界費用に等しい生産量で最大の利益を得ます。しかし、図においては四角形P3P4IHが損失を示しており、これは限界費用と限界収入が等しくない状況を反映しています。

参考になった数2