中小企業診断士の過去問
令和5年度(2023年)
財務・会計 問18
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問題
中小企業診断士試験 第1次試験 財務・会計 令和5年度(2023年) 問18 (訂正依頼・報告はこちら)
次の文章の空欄A~Cに入る語句の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
100万円のコストで製造した機械装置1台に対して、G社とH社の2社から、これを購入したい旨の引き合いがあった。G社は120万円、H社は130万円の価格を提示している。どちらかに販売すると他方を断らなければならないため、( A )はG社に販売したときは130万円、H社に販売したときは120万円であ る。100万円の支出原価は、どちらを選択しても変化しないため、( B )と呼 ばれる。それに対して、( A )はどちらを選ぶかによって変化するため、( C )と呼ばれる。
100万円のコストで製造した機械装置1台に対して、G社とH社の2社から、これを購入したい旨の引き合いがあった。G社は120万円、H社は130万円の価格を提示している。どちらかに販売すると他方を断らなければならないため、( A )はG社に販売したときは130万円、H社に販売したときは120万円であ る。100万円の支出原価は、どちらを選択しても変化しないため、( B )と呼 ばれる。それに対して、( A )はどちらを選ぶかによって変化するため、( C )と呼ばれる。
- A:機会原価 B:固定原価 C:変動原価
- A:機会原価 B:埋没原価 C:関連原価
- A:限界原価 B:固定原価 C:変動原価
- A:限界原価 B:埋没原価 C:関連原価
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この過去問の解説 (2件)
01
意思決定のための原価分析についての出題です。
特に知識を問われているのは、機会原価、埋没原価、関連原価です。
空欄Aは機械装置をG社に販売するときは、H社に販売した場合に得られるはずの130万円の売上は放棄しなければならないものです。
ある目的のために放棄しなければならない価値を原価と捉えることが、機会原価の考え方であるため、空欄Aに入るのは機会原価です。
空欄Bでは、どちらに販売した場合でも変化しない原価のこと、言い換えると意思決定に無関連で無視できる原価のことですので、空欄Bに入るのは埋没原価です。
機会原価(空欄A)は、どちらを選ぶかによって変化するため、関連原価と呼ばれるので空欄Cに入るのは関連原価です。
正しい選択肢の組み合わせは、 A:機会原価 B:埋没原価 C:関連原価 です。
本選択肢は不正解です。
本選択肢が正解です。
本選択肢は不正解です。
本選択肢は不正解です。
問題文にある支出原価とは、現金を支出する原価のことです。
全ての用語の意味がわからなくても、判断できる空欄から埋めていって正解を絞り込む方法でも回答できる問題でした。
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02
各選択肢に定義されている用語の意味は以下の通りです。
機会原価(Opportunity Cost)は、ある選択肢を選んだ場合に放棄される代替の最良の選択肢に関連するコストです。つまり、特定の意思決定において他の選択肢から得られる潜在的な利益を示します。機会原価は、資源や時間を最も有効に活用するために、異なる選択肢の間での比較に使用されます。
埋没原価(Sunk Cost)は、既に発生したかつ回収できないコストを指します。これは、過去の意思決定や投資によって発生した費用であり、将来の判断においては考慮されず、無視されるべきです。埋没原価は、新たな意思決定をする際に避けて考えるべきです。
関連原価(Relevant Cost)は、特定の意思決定において変化することになるコストを指します。これは将来の選択においてのみ重要なコストであり、過去のコストや既存のコストは関連原価に含まれません。関連原価を考慮することで、意思決定がより適切になります。
固定原価(Fixed Cost)は、生産量や売上高にかかわらず一定の金額で発生するコストです。これは期間ごとに変動しないため、生産規模の変動に対して変化しません。固定原価は企業が基本的な運営に必要なコストを指し、一度発生すると変更が難しい特徴があります。
変動原価(Variable Cost)は、生産量や売上高に比例して変動するコストです。生産規模が拡大するときに増加し、減少するときに減少します。変動原価は生産活動の拡大縮小に直接関連しているため、経営者が収益性やコスト構造を理解する上で重要です。
限界原価(Marginal Cost)は、生産量を1単位増やした場合に生じる追加コストを指します。限界原価は変動原価の概念と密接に関連しており、新たな生産単位を生産する際の追加コストを把握するために使用されます。限界原価は価格設定や生産最適化の判断材料として役立ちます。
「どちらかに販売すると他方を断らなければならない」、とあることから、Aは機会原価と分かります。
次に、「どちらを選択しても変化しない」というところを見ると、埋没原価と固定原価は両方当てはまりそうですが、固定原価はあくまで製造過程上の原価構成の話です。
過去に発生したかつ回収できないコストを指し、将来の意思決定に影響を与えない(与えてはいけない)ことを表すのは埋没原価であり、Bは埋没原価と分かります。
A,Bが決まったので選択肢は確定できますが、Cで裏取りをすると、同様に変動原価は固定原価と対になる製造過程上の原価構成の話で今回の解答には合いません。特定の意思決定において変化することになるコストとして関連原価が適当であり、Cは関連原価が正となります。
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