中小企業診断士の過去問
令和5年度(2023年)
財務・会計 問22

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問題

中小企業診断士試験 第1次試験 財務・会計 令和5年度(2023年) 問22 (訂正依頼・報告はこちら)

以下のデータに基づいて、A社の株主価値を割引キャッシュフローモデルに従って計算したとき、最も適切なものを下記の解答群から選べ。ただし、これらの数値は毎年3%ずつ増加する。また、A社には現在も今後も負債がなく、株主の要求収益率は6%である。
問題文の画像
  • 15,000万円
  • 30,000万円
  • 35,000万円
  • 70,000万円

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この過去問の解説 (2件)

01

割引キャッシュフロー法(DCF)を用いて企業価値を計算する問題です。

 

まずそれぞれの価値の定義を確認します。

企業価値:企業が生み出す将来のフリー・キャッシュ・フローの現在価値の合計

負債価値:債権者に分配されるキャッシュ・フローの現在価値の合計

株主価値:株主に分配されるキャッシュ・フローの現在価値の合計

企業価値 = 負債価値 + 株主価値が成り立ちます。

 

本問では割引キャッシュフロー法(DCF)を用いて、企業価値を計算するため計算式を確認します。

企業価値 = 1年後のフリー・キャッシュ・フロー / 加重平均資本コスト- フリー・キャッシュ・フローの成長率

 

次にフリー・キャッシュ・フローの求め方を本問に合わせて確認します。

FCF = 税引後純利益 + 減価償却費 - 正味運転資本増加額 - 設備投資額

 

A社の次期の予測データを用いて、1年後のフリー・キャッシュ・フローを計算します。

1,200万円 + 300万円 - 100万円 - 500万円 = 900万円

 

本問の条件より、フリー・キャッシュ・フローの成長率は3%です。

A社には今後も負債がないことから企業価値=株主価値になるため、加重平均資本コストは株主の要求収益率の6%が該当します。

 

A社の株主価値を計算します。

900万円 / (6% - 3%) = 30,000万円

選択肢2. 30,000万円

本選択肢が正解です。

まとめ

フリー・キャッシュ・フローが永続的に成長すると想定しにくい場合は、成長率を0として計算します。

その場合の企業価値の計算式は以下のように簡略化できます。

企業価値 = 1年後のフリー・キャッシュ・フロー / 加重平均資本コスト

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02

まず、問題文の内容から、フリーキャッシュフローを求めます。

 

フリーキャッシュフロー(FCF)は、税引き後純利益から減価償却費、設備投資額、賞味運転資本増加額を加減したものです。

FCF = 税引き後純利益 + 減価償却費 - 設備投資額 - 賞味運転資本増加額

FCF = 1,200万円+ 300万円 - 500万円 - 100万円

FCF = 900万円

 

次に、永続的な割引キャッシュフローモデルの公式に当てて、現在価値を算出します。

PV = FCF ÷ {r - g}

 

ここで、各変数は以下の意味を持ちます。

PV:現在価値(Present Value)

FCF:最新のフリーキャッシュフロー(Free Cash Flow)

r:株主の要求収益率(Required Rate of Return)

g:永続的な成長率(Perpetual Growth Rate)

 

数字を当てはめると以下になります。

PV = 900万円 ÷ { 6% - 3%}

= 30,000万円

 

従い、A社の株主価値は30,000万円となります。

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