中小企業診断士の過去問
令和5年度(2023年)
財務・会計 問23
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問題
中小企業診断士試験 第1次試験 財務・会計 令和5年度(2023年) 問23 (訂正依頼・報告はこちら)
サステナブル成長率に関する記述として、最も適切なものはどれか。ただし、ROEおよび配当性向は毎期一定とする。
- 企業が毎期の純利益の全額を配当する場合、サステナブル成長率はリスクフリー・レートに一致する。
- サステナブル成長率は、ROEに配当性向を乗じることで求められる。
- サステナブル成長率は、事業環境に左右されるが、内部留保率には左右されない。
- サステナブル成長率は、配当割引モデルにおける配当成長率として用いることができる。
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この過去問の解説 (2件)
01
サステナブル成長率(Sustainable Growth Rate, SGR)は、企業が将来にわたって持続可能なペースで成長できる率を示す指標です。具体的には、企業が自己資本を活用して成長する場合、その成長率がどれだけ持続可能かを示します。SGRは一般的に以下の式で計算されます:
SGR = ROE × 留保率
ここで、各変数の意味は以下の通りです:
ROE(Return on Equity): 株主資本利益率。これは企業が株主の資本をどれだけ収益化できるかを示す指標です。ROEが高いほど、企業は効率的に資本を活用して収益を上げていると言えます。
留保率(Retention Ratio): 内部留保率や再投資率とも呼ばれます。これは企業が利益をどれだけ留保して再投資に destine するかを示します。留保率は通常 \(1 - \text{配当性向}\) で計算され、配当性向は配当額を純利益で割ったものです。
SGRは、企業が自己資本を使って成長する場合の成長率を示すものであり、この成長率が持続可能であるかどうかは、企業が将来にわたって十分な利益を生み出し、それを再投資して成長できるかどうかに依存します。投資家やアナリストは、SGRを通じて企業の将来の成長ポテンシャルを評価する際に参考にします。
誤りです。サステナブル成長率は、企業が将来においても持続可能な利益の成長率を指します。配当が全額である場合でも、それが将来にわたって持続するかどうかは別の要因に依存します。サステナブル成長率とリスクフリー・レートが一致するとは限りません。
誤りです。サステナブル成長率はROE(Return on Equity)に配当性向(配当/純利益)を乗じることで求めることが一般的ですが、単純にROEと配当性向をかけ合わせるだけでなく、留保率(1 - 配当性向)も考慮する必要があります。従って、この記述はROE × 配当性向ではなく、ROE × 留保率で求めるべきです。
誤りです。サステナブル成長率は事業環境にも左右されますし、内部留保率も影響を与える可能性があります。内部留保率が高い場合、企業はその資本を再投資して成長することができるため、サステナブル成長率が高くなる傾向があります。
正解です。配当割引モデルでは、将来の配当の成長率を考慮するためにサステナブル成長率が使用されます。これは企業が将来にわたって継続的に成長できる率を示しています。
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02
サステナブル成長率とは、外部調達には頼らずに内部留保のみを事業に投資した場合の純資産の成長率と定義されています。
純資産に対する当期純利益の比率がROE、当期純利益のうち配当として分配する比率を配当性向と定義します。
当期純利益に対する内部留保の比率(内部留保比率)は(1 - 配当性向)であるため、以下のように式に表せます。
内部留保 = ROE x 内部留保率 x 純資産 = ROE x ( 1- 配当性向) x 純資産
内部留保は純資産の成長であるため、ROE x ( 1 - 配当性向 )の割合で毎年成長するということになるため、この割合がサステナブル成長率になります。
サステナブル成長率 = ROE x ( 1 - 配当性向 )
上記をふまえて各選択肢をみていきます。
企業が毎期の純利益の全額を配当すると、サステナブル成長率の計算式で確認できるように計算結果は0になります。
そのため本選択肢は不正解です。
サステナブル成長率は、ROEに(1 - 配当性向)を乗じて計算するため、本選択肢は不正解です。
サステナブル成長率は、ROEに内部留保率を乗じて計算するため、本選択肢は不正解です。
ROEと配当性向が毎期一定であれば、配当の成長率とサステナブル成長率は等しくなります。
そのため配当割引モデルにおける配当成長率として用いることができるため、本選択肢が正解です。
サステナブル成長率についての問題は令和4年にも出題されているため、対応できるように学習しておきましょう。
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