中小企業診断士の過去問
令和5年度(2023年)
企業経営理論 問5
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問題
中小企業診断士試験 第1次試験 企業経営理論 令和5年度(2023年) 問5 (訂正依頼・報告はこちら)
下表では、ある市場のある年度におけるメーカー企業(企業A~D)の売上高(売上数量と売上金額)が示されている。「競争地位別戦略」に基づいた、各社のとる戦略に関する記述として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
- 企業Aは、数量シェアを増加させるために、積極的に価格を下げる。
- 企業Bは、製品単価が最も高く市場拡大の利益が大きいため、市場全体の拡大を第一に目指す。
- 企業Cは、製造コストを上げて製品品質を高めながら、競合からの顧客獲得を狙う。
- 企業Dは、最大のシェアを維持するためには、他社の行動に対して同質化を行うだけでなく、自社からのイノベーションも検討する。
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この過去問の解説 (3件)
01
競争地位別戦略に関する問題です。
競争地位別戦略とは、企業が置かれている業界上の地位により、リーダー、チャレンジャー、フォロワー、ニッチャーの各戦略を選択するというものです。
本問では、リーダーは企業D、チャレンジャーは企業A、フォロワーは企業C、ニッチャーは企業Bが該当します。
【採るべき戦略】
リーダー企業:シェアの維持もしくは拡大、そのために企業内部でのイノベーションを促進する、チャレンジャーからの差別化戦略に同質化で対抗(差別化要因を無効にする)
チャレンジャー企業:差別化
フォロワー企業:現状維持
ニッチャー企業:限られた市場の中で高い収益性を獲得することにより生き残りを志向する
企業Aはチャレンジャーのため、数量シェアを増加させることは正しいですが、積極的に価格を下げることは好ましくありません。
企業Bはニッチャーのため、製品単価が最も高く市場拡大の利益が大きいことは正しいですが、市場全体の拡大を第一に目指すことが採るべき戦略ではありません。
企業Cはフォロワーのため、現状維持が採るべき戦略です。(製品品質を高めたり、競合からの顧客獲得を狙うことができれば、より望ましいです)
正解の選択肢となります。
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02
競争地位別の戦略について基本的な知識を問う問題です。
図表の内容から各企業の競争上の地位を読み解くところから手をつけると、比較的容易に正答できる問題です。
各企業の地位を以下に示します。
企業Aは業界第2位のシェアを持ち、リーダー企業に追随していることからチャレンジャーです。
企業Bは市場シェアは低いですが、収益性は高いためニッチャーとなります。
企業Cはリーダーやチャレンジャーよりも市場シェアが低く、低価格戦略を採用していることからフォロワーです。
企業Dは業界トップのシェアであるのでリーダーとなります。
以上を踏まえて各選択肢をそれぞれ解説します。
企業Aの競争地位はチャレンジャーです。
チャレンジャーの戦略は価格競争でリーダーからシェアを奪うのではなく、同質化できない差別化でリーダーからシェアを奪うことになります。
そのため本選択肢は不正解です。
企業Bの競争地位はニッチャーです。
ニッチャーはリーダーやチャレンジャーと競合しない、狭い市場でトップシェアを取ることを目的にしています。
市場全体が拡大するとリーダーやチャレンジャーの参入を招きかねないため、選択肢の内容は不適切です。
そのため本選択肢は不正解です。
企業Cの競争地位はフォロワーです。
フォロワーの定石は製造コストを下げて低価格販売を行うことです。
そのため本選択肢は不正解です。
企業Dの競争地位はリーダーです。
リーダーの戦略として適切な内容であるため、本選択肢が正解です。
出題の方法が特徴できあるため難問のように感じるかもしれませんが、問われている内容は競争地位の基本的な事項です。
落ち着いて各企業の競争地位を分析すれば十分正しい選択肢を選ぶことができます。
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03
競争地位別戦略に関する問題です。
不適切です。
企業Aは4社の中でチャレンジャーに位置付けられます。数量シェアを増加させ、リーダーに迫ることを目指しますが、積極的に価格を下げると利益率が低下してしまいます。
不適切です。
企業Bは4社の中でニッチャーに位置付けられます。シェアは大きくありませんが、差別化を図り利益率の改善に努めます。
不適切です。
企業Cは4社の中でフォロワーに位置付けられます。製造コストを上げては利益率が低下してしまいます。
適切です。
企業Dは4社の中でリーダーに位置付けられます。
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