中小企業診断士の過去問
令和5年度(2023年)
企業経営理論 問13

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問題

中小企業診断士試験 第1次試験 企業経営理論 令和5年度(2023年) 問13 (訂正依頼・報告はこちら)

企業の社会的責任に関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • A. キャロルの社会的責任ピラミッドのフレームワークでは、社会貢献責任をピラミッドの土台に、経済的責任を最上部を形成するものと位置づけた。
  • M. フリードマンによると、企業の社会的責任とは株主利益の最大化であるが、彼の企業の社会的責任論は、法律や社会規範を遵守した上での競争を行うというルールを前提としたものである。
  • P. ドラッカーによると、20世紀初頭までの経営者に企業経営における社会的責任を意識した者はいなかったので、企業の社会的責任は現代の経営者の持つべき新しい課題であるとした。
  • 企業の社会的責任に関し、R. フリーマンは、企業とステークホルダーは利害を巡って決定的な対立関係にあることを指摘し、両者の相互依存的関係を危険視する主張を展開した。

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この過去問の解説 (3件)

01

企業の社会的責任に関する問題です。

選択肢1. A. キャロルの社会的責任ピラミッドのフレームワークでは、社会貢献責任をピラミッドの土台に、経済的責任を最上部を形成するものと位置づけた。

A. キャロルの社会的責任ピラミッドのフレームワークでは、経済的責任をピラミッドの土台に、社会貢献責任を最上部を形成するものと位置づけました。

選択肢2. M. フリードマンによると、企業の社会的責任とは株主利益の最大化であるが、彼の企業の社会的責任論は、法律や社会規範を遵守した上での競争を行うというルールを前提としたものである。

正解の選択肢となります。

選択肢3. P. ドラッカーによると、20世紀初頭までの経営者に企業経営における社会的責任を意識した者はいなかったので、企業の社会的責任は現代の経営者の持つべき新しい課題であるとした。

P. ドラッカーは、自著「マネジメント」の序文で「私は、経営の『社会的責任』について論じた歴史的人物の中で、かの偉大な人物の一人である渋沢栄一の右に出るものを知らない。彼は世界のだれよりも早く、経営の本質は“責任”にほかならないということを見抜いていた」と述べています。

したがって、本選択肢は不適切な選択肢となります。

なお、ドラッカーの書籍を読んだことがなくても、本選択肢では「社会的責任を意識した者はいなかった」という100%断定表現が用いられており、このような言い切り表現は一般的に誤りの選択肢である可能性が高いです。

あくまでも可能性が高いというだけなので、他の選択肢と比較検討した上で正誤判断をして頂くことを推奨します。

選択肢4. 企業の社会的責任に関し、R. フリーマンは、企業とステークホルダーは利害を巡って決定的な対立関係にあることを指摘し、両者の相互依存的関係を危険視する主張を展開した。

R. フリーマンは、自身が提唱したステークホルダー理論において、企業は株主、従業員、顧客、取引先、行政機関、地元住民といったステークホルダー(利害関係者)との関係に配慮し、長期的な企業経営を実行する上での障害やリスクを取り除くことを主張しています。

したがって、企業とステークホルダーは決定的な対立関係にあるわけでもなく、両者の相互依存的関係を危険視する主張を展開しているわけでもありません

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02

企業の社会的責任について改めて簡単に確認すると、企業は利益の追求だけでなく、法令順守は当然として、ステークホルダーや環境に配慮した責任ある行動を取る必要があるという考え方のことです。

各選択肢をそれぞれ解説します。

選択肢1. A. キャロルの社会的責任ピラミッドのフレームワークでは、社会貢献責任をピラミッドの土台に、経済的責任を最上部を形成するものと位置づけた。

社会貢献責任と経済的責任の位置付けが逆です。

まず、経済的責任を果たした上で、社会貢献責任に取り掛かるものと示されているため、本選択肢は不正解です。

選択肢2. M. フリードマンによると、企業の社会的責任とは株主利益の最大化であるが、彼の企業の社会的責任論は、法律や社会規範を遵守した上での競争を行うというルールを前提としたものである。

M. フリードマンの提唱した理論の説明として適切であるため、本選択肢が正解です。

選択肢3. P. ドラッカーによると、20世紀初頭までの経営者に企業経営における社会的責任を意識した者はいなかったので、企業の社会的責任は現代の経営者の持つべき新しい課題であるとした。

P. ドラッカーはその著書において、「はるか前の時代のリーダーたちの方が、企業の社会的責任を正面からとらえていた」と述べています。

そのため本選択肢は不正解です。

選択肢4. 企業の社会的責任に関し、R. フリーマンは、企業とステークホルダーは利害を巡って決定的な対立関係にあることを指摘し、両者の相互依存的関係を危険視する主張を展開した。

R. フリーマンは、企業はステークホルダーとの相利共生を目指すことが企業の長期的利益を生み出すと定義しています。

企業とステークホルダーは利害を巡って決定的な対立関係にあるとは示していません

そのため本選択肢は不正解です。

まとめ

企業の社会的責任とはCSRとも呼ばれ、企業価値を判断する材料にもなっています。

今後も出題される可能性は高いため学習しておきましょう。

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03

企業の社会的責任に関する問題です。

選択肢1. A. キャロルの社会的責任ピラミッドのフレームワークでは、社会貢献責任をピラミッドの土台に、経済的責任を最上部を形成するものと位置づけた。

不適切です。

社会的責任ピラミッドのフレームワークでは、経済的責任をピラミッドの土台としています。

選択肢2. M. フリードマンによると、企業の社会的責任とは株主利益の最大化であるが、彼の企業の社会的責任論は、法律や社会規範を遵守した上での競争を行うというルールを前提としたものである。

適切です。

選択肢3. P. ドラッカーによると、20世紀初頭までの経営者に企業経営における社会的責任を意識した者はいなかったので、企業の社会的責任は現代の経営者の持つべき新しい課題であるとした。

不適切です。

20世紀初頭までの経営者に企業経営における社会的責任を意識した者はいなかったというわけではありません。

選択肢4. 企業の社会的責任に関し、R. フリーマンは、企業とステークホルダーは利害を巡って決定的な対立関係にあることを指摘し、両者の相互依存的関係を危険視する主張を展開した。

不適切です。

企業とステークホルダーは互いに配慮する必要があるとしています。

参考になった数3