中小企業診断士の過去問
令和5年度(2023年)
企業経営理論 問26

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問題

中小企業診断士試験 第1次試験 企業経営理論 令和5年度(2023年) 問26 (訂正依頼・報告はこちら)

労働時間に関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • 1週間の所定労働時間が37時間30分で1日の所定労働時間が7時間30分の完全週休二日制の事業場において、就業規則に延長勤務を指示することがある旨規定され労働者に周知されている場合に、使用者は、時間外労働に関する書面による労使協定を締結していなくても、所定労働時間外の労働の制限がない労働者を法定労働時間以内である30分間は延長して勤務させることができる。
  • 12時から13時までを昼食休憩として休憩時間を与えている事業場において、一斉休憩の適用除外に関する書面による労使協定を締結したうえで、この時間帯に電話及び来客対応のために労働者の一人を当番制により待機させている場合、当番中に電話も来客も全くなかったときは、当該時間は労働時間ではなくなる。
  • 使用者が実施する技術水準向上のための教育又は研修が所定労働時間外に実施される場合には、当該教育又は研修が、参加しない労働者に就業規則で定めた制裁を科すなど不利益取り扱いによって参加を強制するものではない自由参加制であっても、その時間は時間外労働になるため、時間外労働に関する書面による労使協定の締結が必要となる。
  • 定期路線トラック業者において、運転手に対してトラック運転の他に貨物の積み込みを行わせることとして、トラック出発時刻の数時間前に出勤を命じている場合、貨物の積み込み以外の時間の労務の提供がない手待ち時間は労働時間ではない。

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この過去問の解説 (3件)

01

労働時間に関する問題です。

選択肢1. 1週間の所定労働時間が37時間30分で1日の所定労働時間が7時間30分の完全週休二日制の事業場において、就業規則に延長勤務を指示することがある旨規定され労働者に周知されている場合に、使用者は、時間外労働に関する書面による労使協定を締結していなくても、所定労働時間外の労働の制限がない労働者を法定労働時間以内である30分間は延長して勤務させることができる。

正解の選択肢となります。

法定労働時間は1日8時間(1週40時間)のため、計算すると1日30分間は延長可能です。

法定労働時間を超えて労働させる場合は労使協定の締結が必要ですが、所定労働時間を法定労働時間より短くすることは任意です(労働者にとって不利益とはならないため)。

選択肢2. 12時から13時までを昼食休憩として休憩時間を与えている事業場において、一斉休憩の適用除外に関する書面による労使協定を締結したうえで、この時間帯に電話及び来客対応のために労働者の一人を当番制により待機させている場合、当番中に電話も来客も全くなかったときは、当該時間は労働時間ではなくなる。

12時から13時までを昼食休憩として休憩時間を与えている時間帯に、電話及び来客対応のために労働者の一人を当番制により待機させている場合は、当該時間は労働時間とみなされます

休憩時間中は労働者を業務から解放しなければなりません。

なお、当番中に電話も来客も全くなかったかどうかは関係ありません(あくまで結果論であり、電話や来客があった場合のみ労働時間とカウントされるわけではありません)。

選択肢3. 使用者が実施する技術水準向上のための教育又は研修が所定労働時間外に実施される場合には、当該教育又は研修が、参加しない労働者に就業規則で定めた制裁を科すなど不利益取り扱いによって参加を強制するものではない自由参加制であっても、その時間は時間外労働になるため、時間外労働に関する書面による労使協定の締結が必要となる。

参加を強制するものではない自由参加制であれば、時間外労働に関する書面による労使協定の締結は不要です。

但し、自由参加制でありながら、参加しない労働者が就業規則で定めた制裁を科されるなど不利益な取り扱いを受ける場合は、事実上の強制であると考えられるため労使協定の締結が必要となります。

選択肢4. 定期路線トラック業者において、運転手に対してトラック運転の他に貨物の積み込みを行わせることとして、トラック出発時刻の数時間前に出勤を命じている場合、貨物の積み込み以外の時間の労務の提供がない手待ち時間は労働時間ではない。

トラック出発時刻の数時間前に出勤を命じている場合、その時間から業者の指揮命令管理下にあると判断されるため、貨物の積み込み以外の時間の労務の提供がない手待ち時間だったとしても労働時間とみなされます

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02

労働時間に関する問題です。

選択肢1. 1週間の所定労働時間が37時間30分で1日の所定労働時間が7時間30分の完全週休二日制の事業場において、就業規則に延長勤務を指示することがある旨規定され労働者に周知されている場合に、使用者は、時間外労働に関する書面による労使協定を締結していなくても、所定労働時間外の労働の制限がない労働者を法定労働時間以内である30分間は延長して勤務させることができる。

適切です。

選択肢2. 12時から13時までを昼食休憩として休憩時間を与えている事業場において、一斉休憩の適用除外に関する書面による労使協定を締結したうえで、この時間帯に電話及び来客対応のために労働者の一人を当番制により待機させている場合、当番中に電話も来客も全くなかったときは、当該時間は労働時間ではなくなる。

不適切です。

待機時間に電話も来客も全くなかった場合でも、当該時間は拘束されているので労働時間となります。

選択肢3. 使用者が実施する技術水準向上のための教育又は研修が所定労働時間外に実施される場合には、当該教育又は研修が、参加しない労働者に就業規則で定めた制裁を科すなど不利益取り扱いによって参加を強制するものではない自由参加制であっても、その時間は時間外労働になるため、時間外労働に関する書面による労使協定の締結が必要となる。

不適切です。

自由参加制の研修の場合は、時間外労働に関する書面による労使協定の締結は不要です。

選択肢4. 定期路線トラック業者において、運転手に対してトラック運転の他に貨物の積み込みを行わせることとして、トラック出発時刻の数時間前に出勤を命じている場合、貨物の積み込み以外の時間の労務の提供がない手待ち時間は労働時間ではない。

不適切です。

労務の提供がない手待ち時間であっても、当該時間は拘束されているので労働時間となります。

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03

正解は、「1週間の所定労働時間が37時間30分で1日の所定労働時間が7時間30分の完全週休二日制の事業場において、就業規則に延長勤務を指示することがある旨規定され労働者に周知されている場合に、使用者は、時間外労働に関する書面による労使協定を締結していなくても、所定労働時間外の労働の制限がない労働者を法定労働時間以内である30分間は延長して勤務させることができる。」です。

 

【基礎知識】

「労働時間とは何か?」という根本的な理解を問う問題です。

 

労働時間とは、「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間」のことを指し、以下の時間になります。

・使用者の明示または黙示の指示により業務に従事する時間

・使用者の明示または黙示の指示に基づき、参加等が事実上強制されている時間

 

上記の判断については、就業規則等に左右されるものではなく、客観的に見て労働者の行為が使用者から義務付けられたかどうかによって決まります。

 

労基法上、労働時間には以下の上限があります。

  8時間/日、40時間/週

これを超えて労働させる場合は、労働組合または労働者代表と36協定という協定を結び、就業規則に時間外労働をさせる旨を記載し、労働者に周知しておく必要があります。

 

 ここで、時間外労働には以下の2つがあります。

 ・時間外労働:法の定める8時間/日、40時間/週を超えて労働させること。36協定が必要。

 ・所定外労働:所定労働時間を超えて労働させること

 

所定労働時間は企業により定められています。例えば1日7時間労働の企業があったとします。

法では8時間まで労働させることができますので、7時間から8時間の1時間は法定内ではあるものの、所定労働時間外となります。この1時間は労働者との取り決めで労働をさせることができますので、就業規則等に定めがあれば労働させることが可能です。8時間を超えて労働させる場合は、法に抵触しますので36協定が必要ということになります。

選択肢1. 1週間の所定労働時間が37時間30分で1日の所定労働時間が7時間30分の完全週休二日制の事業場において、就業規則に延長勤務を指示することがある旨規定され労働者に周知されている場合に、使用者は、時間外労働に関する書面による労使協定を締結していなくても、所定労働時間外の労働の制限がない労働者を法定労働時間以内である30分間は延長して勤務させることができる。

正しい。所定外時間の問題です。法には抵触せず、労働者との約束(就業規則等)で定められていれば労働は可能となります。

選択肢2. 12時から13時までを昼食休憩として休憩時間を与えている事業場において、一斉休憩の適用除外に関する書面による労使協定を締結したうえで、この時間帯に電話及び来客対応のために労働者の一人を当番制により待機させている場合、当番中に電話も来客も全くなかったときは、当該時間は労働時間ではなくなる。

誤り。電話がかかってきた場合に電話に出るということが仕事になります。これを手待ち時間といい、電話に出ることを待っているときも指揮者の命令下に置かれていると考えられますので、労働時間となります。

選択肢3. 使用者が実施する技術水準向上のための教育又は研修が所定労働時間外に実施される場合には、当該教育又は研修が、参加しない労働者に就業規則で定めた制裁を科すなど不利益取り扱いによって参加を強制するものではない自由参加制であっても、その時間は時間外労働になるため、時間外労働に関する書面による労使協定の締結が必要となる。

誤り。不利益のない自由参加制となっていますので、指揮下にあるとは考えにくくなります(受ける受けないは本人の自由)。よって労働時間にはなりません。

選択肢4. 定期路線トラック業者において、運転手に対してトラック運転の他に貨物の積み込みを行わせることとして、トラック出発時刻の数時間前に出勤を命じている場合、貨物の積み込み以外の時間の労務の提供がない手待ち時間は労働時間ではない。

誤り。手待ち時間ですので労働時間となります。積み込まない間も積み込めるようになれば対応する必要があります。

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