中小企業診断士の過去問
令和5年度(2023年)
企業経営理論 問27

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問題

中小企業診断士試験 第1次試験 企業経営理論 令和5年度(2023年) 問27 (訂正依頼・報告はこちら)

次の記述は、株式会社Aを経営するB社長から、C中小企業診断士への相談内容をまとめたものである。健康保険諸法令及び厚生年金保険諸法令に照らし、各相談事項に対する正しい回答として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

雑貨を製造・販売する株式会社Aを新しく設立したB社長は、従業員から「健康保険と厚生年金保険はどうなっていますか。」と質問を受けた。B社長は、健康保険及び厚生年金保険(以下、両者を併せて社会保険ということがある)については全く理解していなかったため、会社を設立する際に支援を受けたC中小企業診断士に相談することとした。B社長の相談内容は、「社会保険の手続きはどのようにするのか。従業員に対してどのように説明するのか。社会保険の保険料の納付と負担は誰がどのようにするのか。手続きをした後の毎月の保険料は変わらないのか。ボーナス支給時にも保険料がかかるのか。」というものであった。
株式会社Aでは、従業員として30歳代の正社員3名を使用しており、被扶養者に該当する家族を有する者はいない。ボーナスは夏期と年末の年2回支給を予定している。なお、株式会社Aは全国健康保険協会管掌健康保険の適用事業所であり、電子申請は行っていないものとする。
  • 社会保険の手続きについては、事業主は、事業所が新規に社会保険の適用事業所となったこと及び従業員が被保険者の資格を取得したことについて、新規適用届及び被保険者資格取得届など必要書類を日本年金機構に提出することが必要です。
  • 社会保険の保険料の納付と負担については、事業主が毎月、従業員の給与から源泉徴収して納付することになっていますが、口座振替の申出をすることもできます。また、事業主の義務は源泉徴収した保険料を納付することであって、保険料を負担する義務は保険給付の受給者になり得る被保険者だけが負います。
  • 従業員に対しては、被保険者資格取得の確認通知書が届いたらその内容を従業員に通知して、今後資格情報に変更が生じた場合や被扶養者が増えるときは、従業員が各自で住所地最寄りの年金事務所に届け出るように説明してください。
  • 手続き後の毎月の社会保険の保険料については、昇給の都度変更することがあります。ボーナス支給時には厚生年金保険に関してのみ保険料を納付することになっており、健康保険に関する保険料の納付は不要です。

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この過去問の解説 (3件)

01

社会保険に関する問題です。

選択肢1. 社会保険の手続きについては、事業主は、事業所が新規に社会保険の適用事業所となったこと及び従業員が被保険者の資格を取得したことについて、新規適用届及び被保険者資格取得届など必要書類を日本年金機構に提出することが必要です。

正解の選択肢となります。

選択肢2. 社会保険の保険料の納付と負担については、事業主が毎月、従業員の給与から源泉徴収して納付することになっていますが、口座振替の申出をすることもできます。また、事業主の義務は源泉徴収した保険料を納付することであって、保険料を負担する義務は保険給付の受給者になり得る被保険者だけが負います。

保険料の負担義務は、事業所と保険給付の受給者になり得る被保険者との折半になります。

選択肢3. 従業員に対しては、被保険者資格取得の確認通知書が届いたらその内容を従業員に通知して、今後資格情報に変更が生じた場合や被扶養者が増えるときは、従業員が各自で住所地最寄りの年金事務所に届け出るように説明してください。

今後資格情報に変更が生じた場合や被扶養者が増える場合は、事業所を経由して該当住所地を管轄する年金事務所に届け出る必要があります。

選択肢4. 手続き後の毎月の社会保険の保険料については、昇給の都度変更することがあります。ボーナス支給時には厚生年金保険に関してのみ保険料を納付することになっており、健康保険に関する保険料の納付は不要です。

ボーナス支給時には、厚生年金保険及び健康保険に関する保険料を納付することになります。

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02

正解は、「社会保険の手続きについては、事業主は、事業所が新規に社会保険の適用事業所となったこと及び従業員が被保険者の資格を取得したことについて、新規適用届及び被保険者資格取得届など必要書類を日本年金機構に提出することが必要です。」です。

 

【基礎知識】

社会保険に関する基本的な知識が問われています。

 

社会保険は法人で1人でも従業員を雇用している場合は、強制加入となります。問いでは株式会社を設立し、正社員3名を雇っていますので、強制加入となります。

 

ここで、社会保険とは以下の2つの保険を指します。

 

 社会保険 - 健康保険

      - 厚生年金保険

 

・適用事業所

社会保険は企業単位ではなく事業所単位で適用され、適用される事業所を適用事業所と言います。

適用されるかどうかは業種、会社形態・規模によって下表のとおり異なります。

ここで非適用業種とは、①農林水産業、②サービス業の一部(飲食、理容等)、③宗教業などを言います。

 適用業種非適用業種
法人強制適用強制適用
個人5人以上非該当
5人未満非該当

 

・保険料の負担

保険料は、事業主、本人で負担します。原則半額となりますが、健康保険の場合、事業主の負担比率を上げることができます(下げることはできません)。

保険料の納付義務は事業主にあり、本人負担と合わせて納付する必要があります。

保険料額は、本人の月収がどのレンジにあるかによってレンジごとに標準報酬月額が設定されており、その標準報酬月額に基づいて金額が決定します。ただし、3か月以上に1回支払われるものは賞与扱いとされ、賞与の場合は金額×保険料率で金額が決定します。

 

・被保険者資格の手続きについて

企業等に雇用されればその時から被保険者の資格を取得します。雇用すると企業は届出を行う義務を負います。家族の変更や入退社など様々な手続きが発生しますが、原則企業側(雇用側)が手続きを行う必要があります。

選択肢1. 社会保険の手続きについては、事業主は、事業所が新規に社会保険の適用事業所となったこと及び従業員が被保険者の資格を取得したことについて、新規適用届及び被保険者資格取得届など必要書類を日本年金機構に提出することが必要です。

正しい。手続き等は日本年金機構(年金事務所)を通じて行われます。

選択肢2. 社会保険の保険料の納付と負担については、事業主が毎月、従業員の給与から源泉徴収して納付することになっていますが、口座振替の申出をすることもできます。また、事業主の義務は源泉徴収した保険料を納付することであって、保険料を負担する義務は保険給付の受給者になり得る被保険者だけが負います。

誤り。保険料は原則、事業主、本人で折半負担することになります。

選択肢3. 従業員に対しては、被保険者資格取得の確認通知書が届いたらその内容を従業員に通知して、今後資格情報に変更が生じた場合や被扶養者が増えるときは、従業員が各自で住所地最寄りの年金事務所に届け出るように説明してください。

誤り。すべての手続きは事業主を通じて行われます。ただし、健康保険の任意継続や厚生年金の高齢者の任意加入など一部本人が行う手続きもあります。

選択肢4. 手続き後の毎月の社会保険の保険料については、昇給の都度変更することがあります。ボーナス支給時には厚生年金保険に関してのみ保険料を納付することになっており、健康保険に関する保険料の納付は不要です。

誤り。社会保険は賞与支給時もすべて保険料の支払いが必要です。

参考になった数2

03

健康保険諸法令及び厚生年金保険諸法令に照らして社会保険等の手続に関する問題です。

選択肢1. 社会保険の手続きについては、事業主は、事業所が新規に社会保険の適用事業所となったこと及び従業員が被保険者の資格を取得したことについて、新規適用届及び被保険者資格取得届など必要書類を日本年金機構に提出することが必要です。

適切です。

事業主が行う必要があります。

選択肢2. 社会保険の保険料の納付と負担については、事業主が毎月、従業員の給与から源泉徴収して納付することになっていますが、口座振替の申出をすることもできます。また、事業主の義務は源泉徴収した保険料を納付することであって、保険料を負担する義務は保険給付の受給者になり得る被保険者だけが負います。

不適切です。

保険料の負担は、事業主と被保険者である従業員で折半します。

選択肢3. 従業員に対しては、被保険者資格取得の確認通知書が届いたらその内容を従業員に通知して、今後資格情報に変更が生じた場合や被扶養者が増えるときは、従業員が各自で住所地最寄りの年金事務所に届け出るように説明してください。

不適切です。

事業主が行う必要があります。

選択肢4. 手続き後の毎月の社会保険の保険料については、昇給の都度変更することがあります。ボーナス支給時には厚生年金保険に関してのみ保険料を納付することになっており、健康保険に関する保険料の納付は不要です。

不適切です。

ボーナス支給時も厚生年金保険と健康保険の納付が必要です。

参考になった数2