中小企業診断士の過去問
令和5年度(2023年)
企業経営理論 問28
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問題
中小企業診断士試験 第1次試験 企業経営理論 令和5年度(2023年) 問28 (訂正依頼・報告はこちら)
顧客価値に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 顧客が製品やサービスに期待する最も基本的な機能によってもたらされる価値を、機能的価値という。最も基本的な価値であるため、機能的価値が不十分であったり不明確であったりする製品やサービスが顧客に受け入れられることはない。
- 実際に製品やサービスを購入し、使用感などを経験してみなければ分からない価値を経験価値という。経験価値によって製品やサービスを訴求するためには、すでに利用した顧客によるクチコミなどをなるべく発生させないようにしつつ、プロモーションを行うべきである。
- 製品やサービスの機能的価値は、「あって当たり前」の本質機能と、付加的な付随機能に分けることができる。このうち本質機能による機能的価値は、1つでも欠ければ競合する製品やサービスに比べて大幅に魅力が劣るため、自社の製品やサービスを差別化するために最も力を入れなければならない価値である。
- どのような基本的な機能を期待するかは顧客ごとに異なるのに対して、多くの顧客が製品やサービスに期待する感覚的価値は一般的に似通っているため、感覚的価値を訴求する製品やサービスは差別化が難しく、価格競争に陥りやすい。
- 文脈価値とは、顧客が製品やサービスを利用した際の状況に依存する。すなわち、顧客による特定の製品やサービスの利用と、その際の周辺環境や情景あるいは誰と一緒に利用したか、などの状況とともに創り出される価値である。
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この過去問の解説 (3件)
01
顧客価値に関する問題です。
機能的価値が不十分であったり不明確であったりする製品やサービスが顧客に受け入れられることはないとは言い切れません。
「顧客に受け入れられることはない」というような100%断定表現は、一般的に誤りの選択肢である可能性が高いです。あくまでも可能性が高いというだけなので、他の選択肢と比較検討した上で正誤判断をして頂くことを推奨します。
経験価値によって製品やサービスを訴求するためには、すでに利用した顧客によるクチコミなどをなるべく発生させるようにしつつ、プロモーションを行うべきです。
本質機能による機能的価値は、「あって当たり前」であるため、自社の製品やサービスを差別化するために最も力を入れなければならない価値ではありません。
例えば、時計でいえば「時を刻む」ことが機能的価値に該当します。時を刻む機能が欠けていれば、時計としての存在価値がないため大幅に魅力は劣りますが、どのメーカーの製品にも時を刻む機能が備わっていれば、時を刻む機能自体で差別化することは難しいです。
機械が音声で時刻を読み上げる等の機能があるとすれば差別化要因になり得ますが、その場合は付加的な付随機能となります。
どのような基本的な機能を期待するかは一般的に似通っているのに対して、多くの顧客が製品やサービスに期待する感覚的価値は一般的に顧客ごとに異なります。
正解の選択肢となります。
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02
顧客価値に関する問題です。
不適切です。
機能的価値が不十分であったり不明確であったりする製品やサービスが顧客に受け入れられることは難しいかもしれませんが、「ない」と断定することはできません。
不適切です。
経験価値はクチコミなどを活用してプロモーションすべきです。
不適切です。
差別化するのは付随機能です。
不適切です。
基本的な機能への期待と感覚的価値の説明が反対です。
適切です。
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03
正解は、「文脈価値とは、顧客が製品やサービスを利用した際の状況に依存する。すなわち、顧客による特定の製品やサービスの利用と、その際の周辺環境や情景あるいは誰と一緒に利用したか、などの状況とともに創り出される価値である。」です。
【基礎知識】
顧客に提供する価値は4つあると言われています。
①機能的価値 ・・・役に立つ機能を提供する価値
②経験価値 ・・・使ったり、参加することで得ることができ価値
③感覚的価値 ・・・数値で表せない感覚的な価値
④文脈価値 ・・・体験するシチュエーション等で変化する価値
これらの価値の総和が顧客を満たすかどうかで購買行動が決まります。
例えば、パソコンを例に考えます。
①機能的価値
パソコンですので表計算ができる、ワープロができる、ネット閲覧ができることや、スピードが速い、記憶容量が大きいなどはパソコンの機能に起因する価値になります。
②経験価値
例えばMacを使って非常に使いやすいという経験をするなど。ここを刺激するために店舗で操作を試すことができます。
③感覚的価値
何となく、MACはかっこいいなどです。人それぞれ感覚は異なりますので、ターゲットを絞り、提案をしていきます。
④文脈価値
顧客の持っている文脈と製品の文脈が出会うことで価値を作り出します。例えば、祖父が大切にしていたパソコンを現在でも使えるようにリメークするなどが当てはまります。
誤り。他の価値との合計で決まるため、不十分でも受け入れられることはあります。(明らかに使いにくい旧車を使うなど)
誤り。疑似経験のためにもクチコミを発生させるべきです。
誤り。基本的に備えておくべき価値ではあるが差別化が難しくなってきているため、他の価値創出が重要視されています。
誤り。基本的な機能は似通っていますが、感覚的価値は人により差が出ます。
正しい。他の価値と比較して、文脈価値は顧客にとって提供されるものではなく、一緒に作り出すものであり、人や状況によっても異なります。
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