中小企業診断士の過去問
令和5年度(2023年)
企業経営理論 問32

このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。

問題

中小企業診断士試験 第1次試験 企業経営理論 令和5年度(2023年) 問32 (訂正依頼・報告はこちら)

次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。

食品メーカーA社では、これまで①卸売業者や小売業者を介した間接流通チャネルと電子商取引を用いてきた。近年は多くの食品メーカーが②D2Cに乗り出しており、この動きにどのように対応するかも1つの課題であると考えている。

文中の下線部②に関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • 一般にD2Cとは、卸売業者や小売業者から構成される従来の流通チャネルを介することなく、自社サイトや大手ネットショッピング・モールを通じて、自社の製品を直接消費者に販売することを指す。
  • 米国のスタートアップ企業などが自社サイトを活用して自社の世界観を伝え、顧客との接点を育てながら自社製品を直接販売して急速に成長したのがD2Cの始まりであるが、SNSを積極的に利用することも多くのD2Cに見られる特徴の1つである。
  • メーカーがD2Cに進出するためには、自社サイトを構築し、顧客管理、決済システムなどを単独で開発する必要がある。
  • メーカーが流通チャネルを介さずに直接消費者に自社製品を販売することは、従来「メーカー直販」と呼ばれてきた。ほとんどのメーカーは、既存の間接流通チャネルとメーカー直販を両立させ、間接流通チャネルの卸売業者や小売業者の支持を得ながらメーカー直販を拡大してきた。

次の問題へ

正解!素晴らしいです

残念...

この過去問の解説 (3件)

01

D2C(Direct to Consumer=メーカー直販)に関する問題です。

メーカーが自社サイト等で消費者から直接注文を受け、消費者宅へ配送もしくは予め指定した受け取りポイント(メーカー直営の販売店、提携先の小売店舗、宅配業者の営業所など)で消費者が受け取る形態です。

選択肢1. 一般にD2Cとは、卸売業者や小売業者から構成される従来の流通チャネルを介することなく、自社サイトや大手ネットショッピング・モールを通じて、自社の製品を直接消費者に販売することを指す。

冒頭の解説から、大手ネットショッピング・モールを通じた販売はD2Cではありません。

選択肢2. 米国のスタートアップ企業などが自社サイトを活用して自社の世界観を伝え、顧客との接点を育てながら自社製品を直接販売して急速に成長したのがD2Cの始まりであるが、SNSを積極的に利用することも多くのD2Cに見られる特徴の1つである。

正解の選択肢となります。

選択肢3. メーカーがD2Cに進出するためには、自社サイトを構築し、顧客管理、決済システムなどを単独で開発する必要がある。

メーカーがD2Cに進出するためには、自社サイトを構築し、顧客管理、決済システムなどを単独で開発する必要があるわけではありません

サイト構築、顧客管理、決済システムなどは外注したり、他社が提供しているサービスを活用しているケースは多くあります。

選択肢4. メーカーが流通チャネルを介さずに直接消費者に自社製品を販売することは、従来「メーカー直販」と呼ばれてきた。ほとんどのメーカーは、既存の間接流通チャネルとメーカー直販を両立させ、間接流通チャネルの卸売業者や小売業者の支持を得ながらメーカー直販を拡大してきた。

ほとんどのメーカーは、既存の間接流通チャネルとメーカー直販を両立させ、間接流通チャネルの卸売業者や小売業者の支持を得ながらメーカー直販を拡大してきたとはいえません

特に、小売業者との関係でいえば、販売価格の決定権がメーカー主導から小売主導になっており、力関係は小売業者の方が強いです。

そのため、流通チャネルを介さずに直接消費者に自社製品を販売することは、小売業者との関係悪化を招き、容易ではないと想像されます。

参考になった数10

02

正解は、「米国のスタートアップ企業などが自社サイトを活用して自社の世界観を伝え、顧客との接点を育てながら自社製品を直接販売して急速に成長したのがD2Cの始まりであるが、SNSを積極的に利用することも多くのD2Cに見られる特徴の1つである。」です。

 

【基礎知識】

D2Cとは、「Direct To Consumer」のことで、製造者が、卸や小売りなどの中間流通を介さずに、自社サイト等を通じて直接消費者に販売するビジネスのことです。中間流通には卸、小売りの他に大手プラットフォームなども含みます。問題は語句の定義について確認している問題です。

 

ポイントは

・製造業者が行っていること

・中間流通を介さないこと

・直接消費者に販売すること

になります。

 

収益率の高さ、マーケティングの自由度が高い、顧客データの蓄積が可能といったメリットがありますが、顧客開拓が難しい、商品力が問われる、軌道に乗るまで時間がかかるといったデメリットもあります。

選択肢1. 一般にD2Cとは、卸売業者や小売業者から構成される従来の流通チャネルを介することなく、自社サイトや大手ネットショッピング・モールを通じて、自社の製品を直接消費者に販売することを指す。

誤り。大手ネットショッピングモールは中間流通になりますので、D2Cではありません。

選択肢2. 米国のスタートアップ企業などが自社サイトを活用して自社の世界観を伝え、顧客との接点を育てながら自社製品を直接販売して急速に成長したのがD2Cの始まりであるが、SNSを積極的に利用することも多くのD2Cに見られる特徴の1つである。

正しい。顧客開拓が難しいため、SNS等を活用したマーケティングが行われます。

選択肢3. メーカーがD2Cに進出するためには、自社サイトを構築し、顧客管理、決済システムなどを単独で開発する必要がある。

誤り。単独開発する必要はありません。

選択肢4. メーカーが流通チャネルを介さずに直接消費者に自社製品を販売することは、従来「メーカー直販」と呼ばれてきた。ほとんどのメーカーは、既存の間接流通チャネルとメーカー直販を両立させ、間接流通チャネルの卸売業者や小売業者の支持を得ながらメーカー直販を拡大してきた。

誤り。既存の流通はカニバリを起こすため、間接流通とメーカー直販を両立することは難しいです。

参考になった数4

03

D2Cに関する問題です。

D2Cとは、Direct to Consumerの略で、メーカーが直接最終消費者に販売することを指します。

選択肢1. 一般にD2Cとは、卸売業者や小売業者から構成される従来の流通チャネルを介することなく、自社サイトや大手ネットショッピング・モールを通じて、自社の製品を直接消費者に販売することを指す。

不適切です。

大手ネットショッピング・モールを通じるものはD2Cではありません。

選択肢2. 米国のスタートアップ企業などが自社サイトを活用して自社の世界観を伝え、顧客との接点を育てながら自社製品を直接販売して急速に成長したのがD2Cの始まりであるが、SNSを積極的に利用することも多くのD2Cに見られる特徴の1つである。

適切です。

選択肢3. メーカーがD2Cに進出するためには、自社サイトを構築し、顧客管理、決済システムなどを単独で開発する必要がある。

不適切です。

顧客管理、決済システムなどは外注して開発してもらっても問題ありません。

選択肢4. メーカーが流通チャネルを介さずに直接消費者に自社製品を販売することは、従来「メーカー直販」と呼ばれてきた。ほとんどのメーカーは、既存の間接流通チャネルとメーカー直販を両立させ、間接流通チャネルの卸売業者や小売業者の支持を得ながらメーカー直販を拡大してきた。

不適切です。

メーカー直販を拡大させるのに、間接流通チャネルの卸売業者や小売業者の支持を得ていたとは考えにくいです。

参考になった数4