中小企業診断士の過去問
令和5年度(2023年)
企業経営理論 問33

このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。

問題

中小企業診断士試験 第1次試験 企業経営理論 令和5年度(2023年) 問33 (訂正依頼・報告はこちら)

次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。

さまざまな新しいSNSの登場や、メタバースなどの新しい技術の登場により、①デジタル・マーケティングが急速に進展している。このようなトレンドを背景にして、②消費者同士のクチコミやインフルエンサーの影響力などに対しても、ますます注目が集まっている。

文中の下線部①に関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • アドネットワーク・プラットフォーマーは、広告枠の運用を効率化したい大規模メディアからの委託を受け、これらのメディアの運営者に代わり広告枠を広告主に販売する。自ら広告枠を販売することができない個人サイトや中小サイトなどのメディアが、アドネットワーク・プラットフォーマーに広告枠の運用を委託することはできない。
  • オフライン店舗を中心にマーケティングを展開してきた企業が、新たにオンライン・チャネルを開設した際にしばしば問題となるのが、両チャネル間で消費者の認知・検討と購買が分離することである。この対策として、店舗を利用する従来の顧客を新たなオンライン・チャネルへ誘導するO2Oに加えて、近年はオンラインとオフラインを融合するOMOなどの方策も採られるようになった。
  • 広告主が対価を払って出稿する広告はペイド・メディアと呼ばれてきたが、その中でも特に複数の広告主が共同で支出する大規模なキャンペーンなどは、近年はシェアード・メディアと呼ばれる。
  • 需給バランスや時期などによって製品やサービスの価格を変動させるダイナミック・プライシングの方法は、デジタル技術とAIの登場によって広く行われるようになった。また、利用者ごとに柔軟に価格を変える方法もダイナミック・プライシングに含まれる。

次の問題へ

正解!素晴らしいです

残念...

この過去問の解説 (3件)

01

デジタル・マーケティングに関する問題です。

選択肢1. アドネットワーク・プラットフォーマーは、広告枠の運用を効率化したい大規模メディアからの委託を受け、これらのメディアの運営者に代わり広告枠を広告主に販売する。自ら広告枠を販売することができない個人サイトや中小サイトなどのメディアが、アドネットワーク・プラットフォーマーに広告枠の運用を委託することはできない。

自ら広告枠を販売することができない個人サイトや中小サイトなどのメディアが、アドネットワーク・プラットフォーマーに広告枠の運用を委託することができます

選択肢2. オフライン店舗を中心にマーケティングを展開してきた企業が、新たにオンライン・チャネルを開設した際にしばしば問題となるのが、両チャネル間で消費者の認知・検討と購買が分離することである。この対策として、店舗を利用する従来の顧客を新たなオンライン・チャネルへ誘導するO2Oに加えて、近年はオンラインとオフラインを融合するOMOなどの方策も採られるようになった。

O2Oは「オンライン・トゥ・オフライン」の略であり、オンライン・チャネルを利用する従来の顧客を新たに実店舗(オフライン)へ誘導するものです。

選択肢3. 広告主が対価を払って出稿する広告はペイド・メディアと呼ばれてきたが、その中でも特に複数の広告主が共同で支出する大規模なキャンペーンなどは、近年はシェアード・メディアと呼ばれる。

シェアード・メディアは、アーンド・メディアの中の1つです(ペイド・メディアではありません)

選択肢4. 需給バランスや時期などによって製品やサービスの価格を変動させるダイナミック・プライシングの方法は、デジタル技術とAIの登場によって広く行われるようになった。また、利用者ごとに柔軟に価格を変える方法もダイナミック・プライシングに含まれる。

正解の選択肢となります。

なお、筆者の個人的な意見として申し添えておきますが、「ダイナミック・プライシングの方法は、デジタル技術とAIの登場によって広く行われるようになった」という記述については、デジタル技術とAIの登場以前から(日本でいえば昭和の時代から)行なわれていました。具体的には、繁忙期におけるホテルの宿泊料金や航空機の座席代金などですが、デジタル技術とAIの登場を受けて「広く行われるようになった」という意味合いで正解としている可能性があります。

また、本選択肢は他の選択肢と比較しても明らかに不適切な内容ではなく、「最も適切なもの」として適切です。

参考になった数10

02

デジタルマーケティングに関する問題です。

選択肢1. アドネットワーク・プラットフォーマーは、広告枠の運用を効率化したい大規模メディアからの委託を受け、これらのメディアの運営者に代わり広告枠を広告主に販売する。自ら広告枠を販売することができない個人サイトや中小サイトなどのメディアが、アドネットワーク・プラットフォーマーに広告枠の運用を委託することはできない。

不適切です。

自ら広告枠を販売することができない個人サイトや中小サイトなどのメディアが、アドネットワーク・プラットフォーマーに広告枠の運用を委託することもできます。

選択肢2. オフライン店舗を中心にマーケティングを展開してきた企業が、新たにオンライン・チャネルを開設した際にしばしば問題となるのが、両チャネル間で消費者の認知・検討と購買が分離することである。この対策として、店舗を利用する従来の顧客を新たなオンライン・チャネルへ誘導するO2Oに加えて、近年はオンラインとオフラインを融合するOMOなどの方策も採られるようになった。

不適切です。

O2Oとは、オンラインからオフラインへ誘導することです。

選択肢3. 広告主が対価を払って出稿する広告はペイド・メディアと呼ばれてきたが、その中でも特に複数の広告主が共同で支出する大規模なキャンペーンなどは、近年はシェアード・メディアと呼ばれる。

不適切です。

シェアード・メディアとは、SNSの共有機能を活用することです。

選択肢4. 需給バランスや時期などによって製品やサービスの価格を変動させるダイナミック・プライシングの方法は、デジタル技術とAIの登場によって広く行われるようになった。また、利用者ごとに柔軟に価格を変える方法もダイナミック・プライシングに含まれる。

適切です。

参考になった数4

03

正解は、「需給バランスや時期などによって製品やサービスの価格を変動させるダイナミック・プライシングの方法は、デジタル技術とAIの登場によって広く行われるようになった。また、利用者ごとに柔軟に価格を変える方法もダイナミック・プライシングに含まれる。」です。

 

【基礎知識】

デジタルマーケティングに関する知識を問う問題です。

 

インターネットの出現により、マーケティングは大きな変化を遂げました。

 

◇Pricing(価格戦略)

デジタルデータや顧客データを活用し、一律価格から需要・顧客に応じて価格設定する方向へと変化しています。

 

・ダイナミックプラインシング

 需要と供給の状況に応じて、適時商品やサービスの価格を変動させる戦略。ホテルや航空券などではすでに始まっています。最近ではデジタルを組み合わせ、RFIDで消費期限の近い商品を値引くなどの取り組みも出ています。

 

・パーソナルプライシング

 ダイナミックプライシングをより進め、顧客タイプごとに価格設定します(ダイナミックプライシングの一部)。よく購入する顧客には還元ポイントを多くするなどはその一例です。

 

◇Placing(流通戦略)

オンラインとオフラインで別れていた世界をつなげる動きがあります。

 

これまでも以下のように様々なチャネルを活用する動きはありました。

マルチチャネル:複数のチャネルを使い、顧客認知度を上げる取り組み。

オムニチャンネル:店舗、インターネット、SNSなどを連携して消費者の利便性を向上。

 

更にオンラインとオフラインを結びつける概念には以下のようなものがあります。

 

・O2O(Online To Offline)

集客しやすい(エリアを問わず集客可能など)オンラインを使って集客し、それをオフライン(実店舗等)へつなげていく取り組み。クーポンを配信し、来店を促すなど。

 

・OMO(Online Merge with Offline)

オンラインとオフラインを融合し、消費者がその違いを意識せずにサービスを受けれるようにマーケティングしていく。Taxi Goなど。 

 

◇Promotion(販売促進)

トリプルメディアの活用 

・ペイドメディア:バナー広告、アフィリエイト広告など。検索キーワードで表示されるページにバナー広告を載せるなど。

・オウンドメディア:自社ECサイト、コーポレートサイトなど。自社でメディアを構築し、活用する。

・アーンドメディア:FacebookなどのSNSやブログ、CGM(Consumer Generated Media:消費者自身が商品の評価などを発信するサイト等)など。

 

ネット広告等の進展

これまではページにリンクを貼る程度であったネット広告もAdvertising Technology(アドバタイジングテクノロジー、「広告の配信・最適化における技術」)により進化。

 

・RTB:Real-Time Bidding(リアルタイムビディング)。広告主とメディアとのマッチングを最適化させる。

メディアがSSP(Supply Side Platform)に広告枠、希望価格を入力。広告主はDSP(Demand-Side Platform)にターゲット、予算等を入稿。

 ⇒メディアと広告主の最適なマッチングが行われる。SSPではフロアプライス(最低価格)を設定することも可能

 

 広告主(Demand側) ⇔ DSP ⇔ アドエクスチェンジ・アドネットワーク ⇔ SSP ⇔ メディア(Supply側)

 

アドエクスチェンジ:広告配信が可能なメディアやWebサイトをまとめ、広告主の代わりに広告掲載媒体と広告主をつなげる役割をする仕組み。

 

アドネットワーク:複数の広告媒体(Webサイトやソーシャルメディア、ブログ等)を集めて広告配信ネットワークを作り、それらの媒体に広告をまとめて配信する仕組み。

選択肢1. アドネットワーク・プラットフォーマーは、広告枠の運用を効率化したい大規模メディアからの委託を受け、これらのメディアの運営者に代わり広告枠を広告主に販売する。自ら広告枠を販売することができない個人サイトや中小サイトなどのメディアが、アドネットワーク・プラットフォーマーに広告枠の運用を委託することはできない。

誤り。前半は正しいです。後半の個人・中小サイトで利用できないといったことはありません。

選択肢2. オフライン店舗を中心にマーケティングを展開してきた企業が、新たにオンライン・チャネルを開設した際にしばしば問題となるのが、両チャネル間で消費者の認知・検討と購買が分離することである。この対策として、店舗を利用する従来の顧客を新たなオンライン・チャネルへ誘導するO2Oに加えて、近年はオンラインとオフラインを融合するOMOなどの方策も採られるようになった。

誤り。間口の広いオンラインからオフラインへ誘導していく取り組みであり、反対になっています。

選択肢3. 広告主が対価を払って出稿する広告はペイド・メディアと呼ばれてきたが、その中でも特に複数の広告主が共同で支出する大規模なキャンペーンなどは、近年はシェアード・メディアと呼ばれる。

誤り。シェアードメディアは消費者が制御するSNS、掲示板などのメディアです。

選択肢4. 需給バランスや時期などによって製品やサービスの価格を変動させるダイナミック・プライシングの方法は、デジタル技術とAIの登場によって広く行われるようになった。また、利用者ごとに柔軟に価格を変える方法もダイナミック・プライシングに含まれる。

正しい。記載の通りです。

参考になった数3