中小企業診断士の過去問
令和5年度(2023年)
企業経営理論 問39

このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。

問題

中小企業診断士試験 第1次試験 企業経営理論 令和5年度(2023年) 問39 (訂正依頼・報告はこちら)

次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。

持続可能な社会実現への要請が強まるなか、企業には、①利益と社会的責任を両立させるマーケティングを検討するだけでなく、消費者に②サステイナブルな消費行動を促す努力も求められている。

文中の下線部①に関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • M. ポーターが提示したCSV(Creating Shared Value)の概念では、本業と関係のある事柄で、本業の利益に還元されるものが重視され、CSR(Corporate Social Responsibility)の概念よりも社会的課題を事業活動そのものと結びつけようとする側面が強調されている。
  • SDGs経営を目指す企業は、積極的に社会的課題の解決に取り組むことを通じて取り残されてきた市場を新たに獲得するために、経済的利益にこだわってはならない。
  • 社会へ良いことをすることが企業への好感度や売り上げの向上につながるという考えの下で実施されるプロモーションのうち、本業の利益への還元を強く意識して実施されるものをソーシャル・グッドという。
  • 製品やサービスの売り上げの一部を特定の社会的課題への支援に活用するマーケティング活動はメセナと呼ばれ、この活動を増やすほど当該課題に対する関心が高まり、企業の新規顧客の獲得やブランド・イメージの醸成につながりやすい。
  • 直接的な顧客のニーズや満足だけではなく、社会全体の幸福を維持・向上させながら顧客価値を創造し、伝達し、説得していこうとするマーケティングはソサイエタル・マーケティングと呼ばれ、P. コトラーが提唱するマーケティング4.0と対応する。

次の問題へ

正解!素晴らしいです

残念...

この過去問の解説 (3件)

01

利益と社会的責任を両立させるマーケティングに関する問題です。

選択肢1. M. ポーターが提示したCSV(Creating Shared Value)の概念では、本業と関係のある事柄で、本業の利益に還元されるものが重視され、CSR(Corporate Social Responsibility)の概念よりも社会的課題を事業活動そのものと結びつけようとする側面が強調されている。

正解の選択肢となります。

選択肢2. SDGs経営を目指す企業は、積極的に社会的課題の解決に取り組むことを通じて取り残されてきた市場を新たに獲得するために、経済的利益にこだわってはならない。

SDGs経営を目指す企業は、経済的利益にこだわってはならないということはありません

経済産業省が取りまとめた「SDGs経営ガイド」では、SDGs経営の姿勢として経済合理性を生み出すイノベーションを先導することが求められています。

経済的利益にこだわってはならないのであれば、営利企業ではなくNPO法人として活動していかなければなりません。

選択肢3. 社会へ良いことをすることが企業への好感度や売り上げの向上につながるという考えの下で実施されるプロモーションのうち、本業の利益への還元を強く意識して実施されるものをソーシャル・グッドという。

ソーシャル・グッドとは、地球環境や地域コミュニティなどに対して良い影響を与える活動や製品、サービスを総称したものであり、本業の利益への還元を強く意識して実施されるものというわけではありません

選択肢4. 製品やサービスの売り上げの一部を特定の社会的課題への支援に活用するマーケティング活動はメセナと呼ばれ、この活動を増やすほど当該課題に対する関心が高まり、企業の新規顧客の獲得やブランド・イメージの醸成につながりやすい。

製品やサービスの売り上げの一部を特定の社会的課題への支援に活用するマーケティング活動はコーズリレーテッド・マーケティングと呼ばれます。

選択肢5. 直接的な顧客のニーズや満足だけではなく、社会全体の幸福を維持・向上させながら顧客価値を創造し、伝達し、説得していこうとするマーケティングはソサイエタル・マーケティングと呼ばれ、P. コトラーが提唱するマーケティング4.0と対応する。

ソサイエタル・マーケティングは、P. コトラーが提唱するマーケティング3.0と対応します。

参考になった数10

02

正解は、「M. ポーターが提示したCSV(Creating Shared Value)の概念では、本業と関係のある事柄で、本業の利益に還元されるものが重視され、CSR(Corporate Social Responsibility)の概念よりも社会的課題を事業活動そのものと結びつけようとする側面が強調されている。」です。


【基礎知識】
〇CSV(Creating Shared Value)とCSR(Corporate Social Responsibility)の考え方の違い
・CSV 企業の経済的価値と社会的価値は同時に実現できる、企業利益と公共の利益は両立する
・CSR 企業は社会で存在していくにあたり果たすべき責任を持つ、企業利益と公共の利益はトレードオフ
 
以上のようにCSVは社会的価値(環境問題や貧困問題等の解決)を企業が追及することがイノベーションを生み出し、企業の利益につながると考えます。
一方CSRは企業の社会的な責任として、社会的価値やコンプライアンスなどへ取り組むことを求めており、企業の利益の追求と異なる活動としてとらえています。

CSVの背景にあるのは、「ポーター仮説」と呼ばれる環境規制を強化するほど技術革新を起こし、企業の国際競争力は高まるという考え方があります。

選択肢1. M. ポーターが提示したCSV(Creating Shared Value)の概念では、本業と関係のある事柄で、本業の利益に還元されるものが重視され、CSR(Corporate Social Responsibility)の概念よりも社会的課題を事業活動そのものと結びつけようとする側面が強調されている。

正しい。CSVは社会的課題の解決が事業の利益につながっており、CSRはトレードオフとなっています。

選択肢2. SDGs経営を目指す企業は、積極的に社会的課題の解決に取り組むことを通じて取り残されてきた市場を新たに獲得するために、経済的利益にこだわってはならない。

誤り。SDGsでは“持続可能”な開発目標を掲げます。その中で経済的合理性のない市場では長期的視点で経済的合理性を生み出すイノベーションが求められます。

選択肢3. 社会へ良いことをすることが企業への好感度や売り上げの向上につながるという考えの下で実施されるプロモーションのうち、本業の利益への還元を強く意識して実施されるものをソーシャル・グッドという。

誤り。ソーシャル・グッドとは、地球環境や地域コミュニティなどの「社会」に対して良いインパクトを与える活動や製品、サービスの総称を指します。

選択肢4. 製品やサービスの売り上げの一部を特定の社会的課題への支援に活用するマーケティング活動はメセナと呼ばれ、この活動を増やすほど当該課題に対する関心が高まり、企業の新規顧客の獲得やブランド・イメージの醸成につながりやすい。

誤り。企業が主として資金を提供して、文化・芸術活動を支援すること。企業の社会的責任の一環として取り組まれます。

選択肢5. 直接的な顧客のニーズや満足だけではなく、社会全体の幸福を維持・向上させながら顧客価値を創造し、伝達し、説得していこうとするマーケティングはソサイエタル・マーケティングと呼ばれ、P. コトラーが提唱するマーケティング4.0と対応する。

誤り。ソーシャルマーケティング(ソサイエタル・マーケティング)とはビジネスにおけるマーケティングの考え方を社会全体の利益を追求するために適用し、問題の解決を図ることです。その中でマーケティング3.0では社会的価値にも注目する考え方となっています。

参考になった数4

03

利益と社会的責任を両立させるマーケティングに関する問題です。

選択肢1. M. ポーターが提示したCSV(Creating Shared Value)の概念では、本業と関係のある事柄で、本業の利益に還元されるものが重視され、CSR(Corporate Social Responsibility)の概念よりも社会的課題を事業活動そのものと結びつけようとする側面が強調されている。

適切です。

選択肢2. SDGs経営を目指す企業は、積極的に社会的課題の解決に取り組むことを通じて取り残されてきた市場を新たに獲得するために、経済的利益にこだわってはならない。

不適切です。

SDGs経営を目指す企業であっても、経済的利益にこだわってはならないというわけではありません。

選択肢3. 社会へ良いことをすることが企業への好感度や売り上げの向上につながるという考えの下で実施されるプロモーションのうち、本業の利益への還元を強く意識して実施されるものをソーシャル・グッドという。

不適切です。

ソーシャル・グッドとは、地球環境や地域に対して良い影響を与えることであり、本業の利益への還元を強く意識して実施されるものではありません。

選択肢4. 製品やサービスの売り上げの一部を特定の社会的課題への支援に活用するマーケティング活動はメセナと呼ばれ、この活動を増やすほど当該課題に対する関心が高まり、企業の新規顧客の獲得やブランド・イメージの醸成につながりやすい。

不適切です。

メセナとは、企業が文化活動や芸術活動を支援することです。

選択肢5. 直接的な顧客のニーズや満足だけではなく、社会全体の幸福を維持・向上させながら顧客価値を創造し、伝達し、説得していこうとするマーケティングはソサイエタル・マーケティングと呼ばれ、P. コトラーが提唱するマーケティング4.0と対応する。

不適切です。

ソサイエタル・マーケティングはP. コトラーが提唱するマーケティング3.0と対応します。

参考になった数2