中小企業診断士の過去問
令和5年度(2023年)
企業経営理論 問41
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問題
中小企業診断士試験 第1次試験 企業経営理論 令和5年度(2023年) 問41 (訂正依頼・報告はこちら)
パッケージに関する記述として、最も適切なものはどれか。
- アフォーダンスのルールをうまく取り入れたパッケージ・デザインは、製品利用における消費者の利便性を高めることはできないが、地球環境に配慮する行動を自然に促すことはできる。
- グローバル市場での製品導入を目指す企業では、パッケージに特定の国で隠語的な意味を持ってしまう言語や記号、表現を避け、地理的境界や文化を超えて利用できる移転可能性が高いブランド要素を使用すべきである。
- 市場で最大の経営資源とシェアをもつリーダー企業が現在の競争地位を維持するために、チャレンジャーやフォロワーといった競合他社のパッケージと類似のデザインを採用することはない。
- パッケージのデザイン開発の現場では、従来型のアンケート調査に加え、アイトラッキングやAI分析を用いた精度の高い調査データが得られるようになっているため、パッケージのリニューアルなどの意思決定において、マーケターの判断は不要になっている。
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この過去問の解説 (3件)
01
パッケージに関する問題です。
アフォーダンスのルールをうまく取り入れたパッケージ・デザインは、製品利用における消費者の利便性を高めることができます。
アフォーダンスとは、さまざまな環境の要素が人間や動物に影響を及ぼし、感情や動作が生まれることをいいます。
例えば、目の前にドアがあれば、ドアを開けることでドアの向こうへ行くことができます。
また、ドアに取っ手(ノブ)が付いていれば、ノブを押すか引くことでドアを開けるという動作を与えることができます。
正解の選択肢となります。
市場で最大の経営資源とシェアをもつリーダー企業が現在の競争地位を維持するために、チャレンジャーやフォロワーといった競合他社のパッケージと類似のデザインを採用することがあります。
これは「同質化」戦略と呼ばれます。
チャレンジャーやフォロワーといった競合他社は、自社の存在感を示すためにリーダー企業と何らかの形で差別化を図ろうとします(本選択肢では、デザインでの差別化)が、リーダー企業は競合他社と類似のデザインを採用することにより競合他社の差別化戦略を無効にする(同質化する)ことで対抗します。
なお、本選択肢では「採用することはない」という100%断定表現が使われていますが、一般的に誤りの選択肢である可能性が高いです。
あくまでも可能性が高いというだけなので、他の選択肢と比較検討した上で正誤判断をして頂くことを推奨します。
パッケージのリニューアルなどの意思決定において、マーケターの判断は不要になっているわけではありません。
なお、本選択肢では「不要になっている」という100%断定表現が使われていますが、一般的に誤りの選択肢である可能性が高いです。
あくまでも可能性が高いというだけなので、他の選択肢と比較検討した上で正誤判断をして頂くことを推奨します。
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02
正解は、「グローバル市場での製品導入を目指す企業では、パッケージに特定の国で隠語的な意味を持ってしまう言語や記号、表現を避け、地理的境界や文化を超えて利用できる移転可能性が高いブランド要素を使用すべきである。」です。
【基礎知識】
パッケージに関する問題です。
〇パッケージの役割
パッケージは製品の実態を形作っています。
製品や商品、サービスは3層構造を持っています。
製品の中核:中核となるサービス、ベネフィットです。例えば携帯電話はどこでもコミュニケーションをとることができるというベネフィットを提供しています。
製品の実態:パッケージや機能、品質、ブランドなど、その製品を形作るものになります。
製品の付随機能:アフターサービス、品質保証などのことです。
〇パッケージの目的
① 製品・商品の運搬
② 製品・商品の保護
③ 情報提供
④ 販売促進
〇パッケージの価値
パッケージは感覚価値を表しており、ブランド構築等にも影響します。
① 基本価値:製品として成り立つための基本的な価値。時計→正確な時間、スマホ→通話ができネットへの接続ができるなど。
② 便宜価値:消費者に便宜性をもたらすような価値。買いやすい、掃除機のコード→コードレスにするなど。
③ 感覚価値:楽しさ、ビジュアルなどに訴えかけ、楽しさを与える価値。ロゴやパッケージなど。
④ 観念価値:購買意欲を掻き立てる等といった品質・機能以外のストーリーを付加する価値。キャラクターがCMでカッコよく振る舞う、商品の誕生秘話など。
誤り。
アフォーダンスとは、物理的な形状などが人に与える影響・知覚は、網膜の影響ではなく、人のその形状に対する認識(どのように使えるのかなど)に影響するというものです。
例えば日本のトイレの使い方は日本人はすぐわかりますが、海外では便座のないトイレなど、使い方がわからなかったりします。
よって、形状で認識できるため、消費者の利便性を高めることができます。しかし、環境配慮などの行動を自然に促すことはありません。
正しい。
移転可能性は、同じブランドがブランドエクイティにどれだけ貢献するかということを意味します。
より幅広く移転可能性を高めるためには、文化、国による違いを確認する必要があります。
誤り。
同質化政策において、リーダーは模倣の手段をとる場合があります。
誤り。
マーケティングにアイトラッキング(消費者が商品を見る際にどこを見るかを分析し、無意識の行動を解析することでパッケージ等に生かす)、AIなどを活用したマーケティング戦略の研究も進んでいるものの、課題もあります。
利用に際してはマーケターの判断が不要になっているとは言えません。
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03
パッケージに関する問題です。
不適切です。
製品利用における消費者の利便性を高めることはできないとは言えません。
適切です。
不適切です。
リーダー企業はチャレンジャーやフォロワーといった競合他社の差別化を防ぐために、模倣する戦略を取ることがあります。
不適切です。
アイトラッキングやAI分析を用いた精度の高い調査データが得られるようになっていますが、マーケターの判断は重要です。
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