中小企業診断士の過去問
令和5年度(2023年)
運営管理 問44

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問題

中小企業診断士試験 第1次試験 運営管理 令和5年度(2023年) 問44 (訂正依頼・報告はこちら)

あるスーパーマーケットでは、直近3年分のID-POSデータ、およびそれに連動した顧客属性データを蓄積している。いま、このスーパーマーケットでは、CRMを強化するため、購買金額や購買頻度などからロイヤルカスタマーを定義したいと考えている。
このとき、ロイヤルカスタマーを定義する方法に関する記述として、最も適切なものはどれか。なお、以下の方法を実行する際に必要となるデータ項目は、すべて利用可能であるとする。
  • ID-POSデータからRFM分析を行い、適切な分割数を設定していずれの項目でもランクの高い顧客をロイヤルカスタマーとして定義する。
  • ID-POSデータから、各商品の売上金額ベースのABC分析を行い、Aランクの商品のみを購買している顧客をロイヤルカスタマーとして定義する。
  • 各顧客について日別の購買金額を算出し、全期間における標準偏差を計算する。この標準偏差の値でデシル分析を行い、最も標準偏差の大きな顧客群をロイヤルカスタマーとして定義する。
  • 顧客属性データから、顧客の年齢と性別のデータを用いて、k平均法で10のクラスターを形成し、顧客の所属が最も多いクラスターをロイヤルカスタマーとして定義する。
  • 顧客属性データから、顧客の年齢のデータを用いてデシル分析を行い、年代層が一番高い顧客群をロイヤルカスタマーとして定義する。

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この過去問の解説 (2件)

01

ID-POSデータとは、POSの購買データに顧客を識別できるIDを付加したデータのことです。

具体的にはポイントカードなどの番号がIDに該当します。

 

CRM(Customer Relationship Management)とは、顧客関係管理とも言われて、商品やサービスを提供する企業が、顧客と親密な信頼関係を構築し、顧客と企業相互の利益を向上させることを目指す経営手法や取組のことです。

 

各選択肢をそれぞれ解説します。

選択肢1. ID-POSデータからRFM分析を行い、適切な分割数を設定していずれの項目でもランクの高い顧客をロイヤルカスタマーとして定義する。

RFM分析(Recency, Frequency, Monetary analysis)とは、最終購入日、購入頻度、購入金額の指標に基づいて顧客の購買行動を評価する手法です。

いずれの項目でのランクの高い顧客は、商品や企業、ブランドに対して愛着や信頼を持っている顧客であるロイヤルカスタマーと定義するのは適切です。

そのため本選択肢が正解です。

選択肢2. ID-POSデータから、各商品の売上金額ベースのABC分析を行い、Aランクの商品のみを購買している顧客をロイヤルカスタマーとして定義する。

ABC分析は、商品を3つのカテゴリ(A、B、C)に分けて分析することです。

Aランクの商品とは売上金額が高いと考えられますが、利益率は低い商品である可能性もあるため、各商品の売上金額ベースのABC分析だけで、ロイヤルカスタマーを定義することは適切ではありません。

そのため本選択肢は不正解です。

選択肢3. 各顧客について日別の購買金額を算出し、全期間における標準偏差を計算する。この標準偏差の値でデシル分析を行い、最も標準偏差の大きな顧客群をロイヤルカスタマーとして定義する。

最も標準偏差の大きな顧客群とは、日によって購買金額の変動が大きいことを意味しているため、ロイヤルカスタマーを定義することは適切ではありません。

そのため本選択肢は不正解です。

選択肢4. 顧客属性データから、顧客の年齢と性別のデータを用いて、k平均法で10のクラスターを形成し、顧客の所属が最も多いクラスターをロイヤルカスタマーとして定義する。

k平均法とは、クラスターの平均的な位置を求めて、データをk個のクラスターに分ける手法のことです。

顧客の年齢と性別でクラスターに分けても、愛着がある顧客であるかは判断できないため、ロイヤルカスタマーを定義することは適切ではありません。

そのため本選択肢は不正解です。

選択肢5. 顧客属性データから、顧客の年齢のデータを用いてデシル分析を行い、年代層が一番高い顧客群をロイヤルカスタマーとして定義する。

年代層が一番高い顧客は購入に至る金銭的な余裕がある顧客が多い可能性はありますが、商品などへの忠誠心があるのかはわからないため、ロイヤルカスタマーを定義することは適切ではありません。

そのため本選択肢は不正解です。

まとめ

ID-POSデータのRFM分析は過去に出題されたこともあるため、本問の復習も含めて学習しておきましょう。

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02

ロイヤルカスタマーを定義する方法に関する問題です。

 

与件文に「購買金額や購買頻度などからロイヤルカスタマーを定義したいと考えている」という記述がある点に注意してください。

選択肢1. ID-POSデータからRFM分析を行い、適切な分割数を設定していずれの項目でもランクの高い顧客をロイヤルカスタマーとして定義する。

正解の選択肢となります。

選択肢2. ID-POSデータから、各商品の売上金額ベースのABC分析を行い、Aランクの商品のみを購買している顧客をロイヤルカスタマーとして定義する。

ABC分析では、Aランクに位置付けられた商品を優先的に取り扱うものとされます。「各商品の売上金額ベース」とあるため、Aランクは売上金額が高いものと考えられますが、売上金額が高い=購買頻度が高いとは限りません。(高額な商品が1回だけ購入された可能性があります)

選択肢3. 各顧客について日別の購買金額を算出し、全期間における標準偏差を計算する。この標準偏差の値でデシル分析を行い、最も標準偏差の大きな顧客群をロイヤルカスタマーとして定義する。

標準偏差が大きい=バラツキが大きいということであり、購買金額や購買頻度も多いとは限りません。

選択肢4. 顧客属性データから、顧客の年齢と性別のデータを用いて、k平均法で10のクラスターを形成し、顧客の所属が最も多いクラスターをロイヤルカスタマーとして定義する。

顧客の所属が最も多いクラスター=購買金額や購買頻度も多いとは限りません。

選択肢5. 顧客属性データから、顧客の年齢のデータを用いてデシル分析を行い、年代層が一番高い顧客群をロイヤルカスタマーとして定義する。

年代層が一番高い顧客群=購買金額や購買頻度も多いとは限りません。

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