中小企業診断士の過去問
令和5年度(2023年)
経営法務 問18

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問題

中小企業診断士試験 第1次試験 経営法務 令和5年度(2023年) 問18 (訂正依頼・報告はこちら)

以下の会話は、X株式会社の代表取締役である甲氏と、中小企業診断士であるあなたとの間で行われたものである。この会話を読んで、下記の設問に答えよ。

甲氏 :「弊社は、米国ニューヨーク市に本拠を置くY社から商品を輸入し、国内で販売しようと考えています。それに当たって、Y社から届いた契約書案を検討しているのですが、以下の条項はどのような内容でしょうか。」
1. This Agreement shall be governed by and construed in accordance with the laws of the state of New York, the United States of America, without reference to conflict of laws principle.
2. All dispute arising out of or in connection with this Agreement, including any question regarding its existence, validity or termination, shall be referred to and finally resolved by arbitration in New York City, New York, the United States of America by the American Arbitration Association in accordance with the Arbitration Rules of the American Arbitration Association.
あなた:「1項は( A )を定めており、2項は( B )を規定しております。御社は日本でY社から輸入した商品を販売されるとのことですので、準拠法は日本法で提案するのはいかがでしょうか。」
甲氏 :「ありがとうございます。その点については、Y社と交渉しようと思います。裁判と仲裁はどのような違いがあるのでしょうか。
あなた:「それぞれメリット・デメリットがありますので、その点も含めて、知り合いの弁護士を紹介しますので、相談に行きませんか。」
甲氏:「ぜひ、よろしくお願いします。」

会話の中の空欄AとBに入る記述として、最も適切なものはどれか。
  • A:本契約がアメリカ合衆国ニューヨーク州法に準拠し、同法に従って解釈されること  B:本契約から、または本契約に関連して発生するすべての紛争はニューヨーク市における米国仲裁協会による仲裁に付託され、最終的に解決されること
  • A:本契約がアメリカ合衆国ニューヨーク州法に準拠し、同法に従って解釈されること  B:本契約から、または本契約に関連して発生するすべての紛争はニューヨーク市の連邦地方裁判所の管轄に属すること
  • A:本契約がアメリカ合衆国の連邦法に準拠し、同法に従って解釈されること  B:本契約から、または本契約に関連して発生するすべての紛争はニューヨーク市における米国仲裁協会による仲裁に付託され、最終的に解決されること
  • A:本契約がアメリカ合衆国の連邦法に準拠し、同法に従って解釈されること  B:本契約から、または本契約に関連して発生するすべての紛争はニューヨーク市の連邦地方裁判所の管轄に属すること

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この過去問の解説 (2件)

01

解答は、「A:本契約がアメリカ合衆国ニューヨーク州法に準拠し、同法に従って解釈されること  B:本契約から、または本契約に関連して発生するすべての紛争はニューヨーク市における米国仲裁協会による仲裁に付託され、最終的に解決されること」です。

 

【基礎知識】

英文契約の問題です。だいたい2問程度(8点)出題されますが、なかなかポイントを押さえづらく、捨て問となっている方も多くいらっしゃいます。

 

「基本単語を抑えて、あとは選択肢間を見比べて回答する」が有効な勉強法かと思います。

英文の契約ですので、英単語の訳がそのままでなく、契約書で使われる内容に読み替える必要のあるものがあります。

 

〇当問題で出題されている頻出単語・・・これは覚えましょう。だいたい100語くらいです。ここでは問題に出てきた頻出単語を説明します。

 

赤字:覚えるべき頻出単語、青字:誰でも知っている英単語(筆者想定)

 

1. This Agreement shall be governed by and construed in accordance with the laws of the state of New York, the United States of America, without reference to conflict of laws principle.

2. All dispute arising out of or in connection with this Agreement, including any question regarding its existence, validity or termination, shall be referred to and finally resolved by arbitration in New York City, New York, the United States of America by the American Arbitration Association in accordance with the Arbitration Rules of the American Arbitration Association.

 

【頻出単語(赤字)】

Agreement:契約

governed:準拠する

in accordance with~:~にしたがい

without reference to conflict of laws principle:without regard to conflict of lawsとも表現される場合があります。訳は、「抵触法は適用なしに」です。

 

日本では他国との紛争が生じた際にどの国の法律に準拠するという法律が定められています。これを抵触法と言います。これが発動されてしまうと、契約で準拠法を定めても意味がなくなってしまうので、衝突法に関わらずという前提を置くことでこういった事態を回避しています。

 

coflict:争い

dispute:紛争

termination:契約終了

arbitration:仲裁

court:裁判所

 

上記の頻出単語をベースに訳していきます。

 

1.     This Agreement(この契約は) shall be governed(準拠する) by and construed in accordance with(~にしたがい) the laws of the state of New York(ニューヨーク州の法律), the United States of America(アメリカ), without reference to conflict of laws principle(抵触法の適用なしに).

 

頻出単語と簡単単語で契約がニューヨーク州の法律に準拠しているということが宣言されていることがわかります。抵触法の適用もしないことが謳われています。

  

2. ①All dispute(紛争) arising out of or in connection with this Agreement(契約), including any question regarding its existence, validity or termination(契約終了), ②shall be referred to and finally resolved by arbitration(仲裁) in New York City, New York, the United States of America by the American Arbitration(仲裁) Association in accordance with(~にしたがい) the Arbitration(仲裁) Rules of the American Arbitration Association.

 

「この契約に伴うすべての紛争は」(①下線部)が主語になります。述語は「参照され、最終的に解決される」(②下線部)とあります。By以下に誰が解決するのかが書いています。American Arbitration Associationがby以下にあります。選択肢では米国仲裁協会と連邦裁判所の文字がありますが、頻出単語のcourtが裁判所であることを認識していれば、米国仲裁協会であることがわかります。

選択肢1. A:本契約がアメリカ合衆国ニューヨーク州法に準拠し、同法に従って解釈されること  B:本契約から、または本契約に関連して発生するすべての紛争はニューヨーク市における米国仲裁協会による仲裁に付託され、最終的に解決されること

正しい。記載の通りです。

選択肢2. A:本契約がアメリカ合衆国ニューヨーク州法に準拠し、同法に従って解釈されること  B:本契約から、または本契約に関連して発生するすべての紛争はニューヨーク市の連邦地方裁判所の管轄に属すること

誤り。Aは正しいが、Bの連邦地方裁判所の記載はありません。

選択肢3. A:本契約がアメリカ合衆国の連邦法に準拠し、同法に従って解釈されること  B:本契約から、または本契約に関連して発生するすべての紛争はニューヨーク市における米国仲裁協会による仲裁に付託され、最終的に解決されること

誤り。Aの「アメリカ合衆国の連邦法に準拠」が誤り。

選択肢4. A:本契約がアメリカ合衆国の連邦法に準拠し、同法に従って解釈されること  B:本契約から、または本契約に関連して発生するすべての紛争はニューヨーク市の連邦地方裁判所の管轄に属すること

誤り。Aの「アメリカ合衆国の連邦法に準拠」が誤り、Bの「連邦地方裁判所」の記載も誤りです。

参考になった数9

02

本科目で毎年2マーク程度出題される、英文契約に関する問題です。

 

本問に関しては、以下の英単語が判別できれば絞り込みが可能です。

空欄A:the laws of the state of New York, the United States of America(米国ニューヨーク州法)

空欄B:arbitration(仲裁)

選択肢1. A:本契約がアメリカ合衆国ニューヨーク州法に準拠し、同法に従って解釈されること  B:本契約から、または本契約に関連して発生するすべての紛争はニューヨーク市における米国仲裁協会による仲裁に付託され、最終的に解決されること

正解の選択肢となります。

選択肢2. A:本契約がアメリカ合衆国ニューヨーク州法に準拠し、同法に従って解釈されること  B:本契約から、または本契約に関連して発生するすべての紛争はニューヨーク市の連邦地方裁判所の管轄に属すること

Bが不適切です。

選択肢3. A:本契約がアメリカ合衆国の連邦法に準拠し、同法に従って解釈されること  B:本契約から、または本契約に関連して発生するすべての紛争はニューヨーク市における米国仲裁協会による仲裁に付託され、最終的に解決されること

Aが不適切です。

選択肢4. A:本契約がアメリカ合衆国の連邦法に準拠し、同法に従って解釈されること  B:本契約から、または本契約に関連して発生するすべての紛争はニューヨーク市の連邦地方裁判所の管轄に属すること

A・Bともに不適切です。

参考になった数4